第33話:自宅と打ち上げ花火
クロウです、買ったばかりの屋敷の庭で子供たちのお相手をしています。遊び内容は「鬼ごっこ」です。でもただの鬼ごっこではありません。まるで某世界最速ランナー並の速度で行われています。そして数にして15名。全員が鬼です。そう俺はなぜか逃げる方になっているのです。
素晴らしい、脚力です。あっちの世界なら全員間違いなく足で世界一になれます。オリンピックとかメダル完全独占している気がします。
えっ、つまり何が言いたいかって?
助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!
=====前日=====
エルシオンの郊外で俺はどうしようか悩んでいた。
「さて、どうやって街に入ろうか」
忘れていたが街に入るには異種族は奴隷である必要があるのだ。侵入するだけならあのリバースしような悪臭が漂っている下水道を通ればいいんだからな。
でも、街中で奴隷の首輪を付けていない異種族が歩いていたら捕縛ものである。
「でもなぁ……」
解決方法は簡単である。俺の《契約》を使えばいいのだが、どうも気が……でもなぁ……
そんな俺を助けてくれたのは他でもない獣族の人たちだった。
「心配なされずとも、私たちもそれを覚悟で来ているのです。気にすることなく奴隷にしてください」
「……すまないな」
「いえ、感謝しなければならないのはこちらの方なのですから」
俺は総勢25名の獣族たち全員に《契約》を施した。つまり全員が俺の奴隷と言うことだ。だが契約内容はエリラとやや強制的になった時のと内容は大きく違う。
一、命令の指示があるとき以外は好きにしてよい
これのみである。本当は形契約内容なんかいらないんだけど、さすがにゼロにすることは出来ないようで何らかの服従関係の証が必要見たいなのだ。。だから【命令】という指示を出すとき以外は自由にしていいと言う契約内容が限界だった。ちなみにこの契約内容は既にエリラにも反映してある。
エリラ曰く、「普通こんな契約内容ありえないわよ」との事。いいじゃん、俺の好き勝手で。
見知られた兵士や街の人々にかなり驚かれたが「奴隷を入れていた行商人が襲われて助けたんだけど、行商人は死んでいて仕方なく連れてきた」と嘘を言っておいた。一応、これから奴隷になった理由はと聞かれるとこう答えるようにと【命令】しておいた。これで口外されたら俺やばいよな?
あと俺の《倉庫》の中身ももう絶対に見られてはまずい内容になってしまっていた。何故なら回収したアイテムの中にこんなものが混じっていたからだ。
>>アイテム名:アルダスマン国の旗
他にも剣とか、魔法符とかどう考えても一個の山賊が持っているような装備じゃないものがてんてこ舞いだった。
さらに統領の称号にも
>>称号:アルダスマン国軍騎士
つまり、俺が襲撃した山賊は国の正式な手続きを踏んだ軍だったのだ。
表上では有名な山賊で裏では異種族狩りをする兵士と言う事か。
一応、全滅させておいたし問題はないと思うけど、ちなみに助けた山賊もこれを見た瞬間抹殺しました。本当二度としたくねぇよ……。
つまりバレれば俺は国で指名手配犯になるということだ。つーか下手すれば世界規模での指名手配犯になりかねんぞこれは。
今のところはバレてないと思うがこれがいつなんどきまで続くか……不安で胃が痛くなりそうだ。
そして、俺はその足でとある所に顔を出してさっさと取引をして来た(半分逃げるように)。もらったのは家の契約書。数か月前に俺が逃げないと宣言した形で一番でけぇのと頼んだ結果がこれだ。
=====そして時間は次の日(今日)に=====
正直に言おう、お城じゃないですよね? エルシオンの北部にあるその豪邸は2階建てだったが、とんでも無く広かった。
敷地面積:普通の高校ぐらい?
部屋の数:……200名ぐらいは行けそう?(詳しい数は不明)
その他設備:完☆璧
……って、思わず☆マークつけちゃった。いやマジですげぇ、さすがに鍛冶屋まではなかったけど、調合セット一式があるし、風呂もあるし、めっちゃいいじゃん、台所もきれいだ。さすがに日本のレベルと比べると酷になっちゃうけどな。
あっ前日は全員で仲良く野宿しました。携帯食料しか持ってなかったけどそれなりに楽しい夜だったなぁ。
ちなみに、この家のお値段……小さな村なら軽く買えそうな金額です。さすがに俺でも足りなかったが、ランクC以上の冒険者が特別に借りれるギルドからのお金があるらしい。基本的に無尽蔵だが、当然期限までに返しきれなかったらブラックリスト入り+全ギルドに緊急依頼として討伐依頼が出されるとのこと、oh...ギルド本気になりすぎでしょう。自分のお金が持ち逃げされればまあ起こりますけどね。
まあ、今回は俺だから良かったみたいだけど。ここ最近すっかり有名になった見たいだしな。
で、部屋の中にも色々装飾品があったんだけど、なんつーか俺、貴族じゃないからそんなの分からないんだけどな。
と、言う事で
「エリラ、この装飾はそのままでいいのか確かめてくれないか?」
「えっ、私でいいの?」
「仮でも、貴族の家に入った事あるんならいくらかわかるだろ?」
「まあ、わかった、じゃあこの人たち連れて行くよ?」
と、言って獣族の女性を連れて行こうとする。
「ん? 連れて行ってどうするの?」
「そりゃあ、手伝わせる」
キリッじゃねーよ。
「子供どうする?」
「遊ばせておいたら?」
「遊ばせるねぇ……獣族って何するの?」
「知らないわよ。そもそも私言葉分からないし」
「じゃあ、どうやって指示出すんだよ」
「気合いで」
いや、そんな問題じゃなと思うんだが。まあ、そんな感じでアリサは10名の獣族を連れてお部屋探索に行った。
で、残った俺と子供たち。フェイも一応いるから大丈夫かな?
「なあ、フェイ、獣族って何して遊ぶんだ?」
「おにごっこー」
「鬼ごっこ?」
おっ、それなら出来そうだな。
「でも、クロウお兄ちゃんでだいじょうぶかな」
「……何度聞いても慣れないな」
お、お兄ちゃんって、というのも年齢も俺とほぼ同じみたいだったので「じゃあお兄ちゃんで!」と言われまあそのままおkしたパターンだ。ちなみに聞いた瞬間フェイのお姉ちゃんが吹いていました。最初は驚いていたみたいですけどそのうち「弟が出来たみたい」なんて言いながら照れていた。いや、なんでお前が照れるんだよ。
「まっ、いいか、わかったじゃあ鬼は?」
「えっ、もちろんきまっていますよ」
そういうと獣族の子供が全員前に出る。
「……えっ、もしかして」
「そうです。わたしたちたちぜんいんがおになのです」
そして、冒頭の嘆きに場面は戻ってくる。いや、これ意外ときついよ、俺みたいなチートクラスのスキル&ステータス持ちでもきついよ。よく子供たち出来るな。あっ、そういえば獣族って素早さに補正がかかるんだっけ? それで走って体力の底上げが行われているのか?
「ヘルプゥ!! 誰か俺を助けてくれぇ!!」
「お兄ちゃんまてぇ!」
「かこめーかこめー」
あ、アカン最初はみんな単独で来ていたのにマジで捕まえに来ている! 作戦練りだしているよ。どうしよう本気になれば余裕だけど土抉っちゃうし、魔法もあまりに高威力過ぎるし、だぁああああああ!!!!
「あっ、クロー終わったわよー」
装飾隊が戻ってきてくれたこれで終わった!
「ちょ、エリラ! 助けてくれ!」
「がんばれ☆(キュピーン」
ぎゃぁぁぁぁぁぁ、フラグが回収されたぁぁぁぁぁ!!!!
つーか、何その笑顔! ぺ○ちゃん思い出したの俺だけですかね!? ええ、俺だけですよね少なくともこの世界では!! 俺しか知ってないもんね!
「すごい、クロウ様あの子たち全員を相手にしているわ」
「大人でも3人が限界なのに」
「魔法を使っても5人が限界ですよね」
おとなぁ!! 仕事しろよ! つーか、ただの遊びに魔法使ってるの!? どんだけデンジャラスなんだよ獣族の子供たちは!
「くそぉ、魔法は使わないぞ! 俺のプライドが許さないからな!!」
でも、せめて地面は硬くしていいですか?
「魔法無しでは10分と持たないはずですけど……」
嘘つけ! もうかれこれ30分は動いているぞ! こいつらもさすがに息が上がって来てるけどおかしいぞ! いや、それに付いて行ってる俺もどうかと思うけどさ。普通人間って200メートルを全力疾走すればリバースしてしまうんだよな!?
そして、いよいよ連携を本格的に組んできて俺を捕まえに入ったようだ。
「ぜんほうこうから行くです!」
「「「おおおっっっ!!!!」」」
あっ、やべ囲まれた。こうなるとやべぇなあ……仕方ない悪く思うなよ。
俺は足を上げると、強めに地面を踏み抜く。ドッと音と共にわずかに地面が揺れ俺を中心に衝撃波が走った。
「ぎゃっ」
「うきゅー!」
「な、なんなのですぅぅ!?」
風圧に負け転がりながら爆心地である俺から離れていく。煙が無くなると俺の辺りは地面が凹んでおりクレーターを作ってしまっていた。
「「「……」」」
それを見た全員がその場で固まってしまう。ま、まだこれでも全力じゃないんだよ!? 俺も自分の全力なんてほとんど見ないけど。
「……す」
ん?
「すごいですぅ!」
フェイのその言葉を皮切りに子供たちが近寄ってくる。「もっと見せてー」とせがまれるのとか初めてだな。
「……あのなんで獣族はこんなに元気なのでしょうか?」
無邪気とは恐ろしいです。
「わかったから、はい、ここを離れて……って面倒だからまとめてやっちゃえ《空術》!」
子供たち全員を浮かび上がらせる。子供たちはキョトンとしていたり、どうなってるのとはしゃいでいるのもいる。反対に女性たちからは「あわわわわ、だ、大丈夫なの!?」とか言っているが、まあそこは俺を信じて下さい。てか地上5メートルぐらいから落としても猫みたいな反射神経で着地しそうだよな……いや、やるなこいつらなら。
「さて、整地整地~」
俺は魔法で地面を埋めていく。子供たちからしてみればすべてが見たことないような魔法なのだろう。(まあ威力がただ単に桁違いなだけなのが多そうだけど)
その後がんばっておかげで、地面は綺麗に元通りになりました。
「……相変わらずクロの魔法には驚かされるわね」
「これが得意分野だからな」
エリラが半分呆れたような顔をした。まあそうですよね。もっとも修行していたときはもっとえげつないクレーターを作っていたのですが。
「クロウお兄ちゃんもっと~」
ああ、完全にさっきの魔法を見せたのは失敗だった。そんなキラキラした目で見つめないでくれよ。
それに綺麗な物でもないし……綺麗? ……あっ
すげぇ、俺、超お手軽な魔法を忘れていたジャン。お手軽って言っても魔力はそれなりに使うと思うけど、これなら派手だし楽しめるよな。
「《花火》!」
手を天に突き上げる。丸い火の玉が真っ直ぐに上空へ飛んでいきそして
―――――ドーン
それは暗くなり始めた夕方の空に綺麗な円形の光を写し出し一瞬にして消えてしまった。
「すご~い」
「きれいなのです~」
「……すごい綺麗でしたね」
「はは、私も見たことなかったわよあんな魔法」
花火の文化ってこっちには無いんかな? まあそれならよりこの美しさが分かるって物でしょ。
「ほら、あんまり打ち上げないからしっかり見てろよ」
こうして、俺は10分間の間魔法を撃ち続けた。炎ばかりでは色が悲しいので氷を混ぜたり雷を応用してはじけさせたり、またはすべての属性を織り交ぜた特大を打ち上げたりと結局1000発ぐらい撃った気がする。さすがにこれ以上撃ったら近所にも迷惑を掛けそうです。と言っても近くが敷地内なのですが。
「楽しかったです!」
「また明日もやるです!」
いや、勘弁して俺の体力が持たないから。
―――特別条件『無尽蔵なスタミナ』を満たしました。
>スキル《絶倫》を取得しました。
なんかいかにもこれっと言った感じのスキルだな。ちなみに昨日もかなりの称号やスキルが手に入ったけど割愛させてもらっています。なぜかって? だって《世界の異端者》とか《アルマスダン国の朝敵》とかおかしすぎる称号手に入れちゃったもん! これはもう絶対に見せれない! 隠蔽だ! 隠蔽!
称号:『世界の異端者』
取得条件:世界の常識に反することをやること。
取得スキル;:―
効果:精神耐性に大幅補正
称号:『アルマスダン国の朝敵』
取得条件:特定の国に対しての犯行を行うこと。
取得スキル:―
効果:もし称号がバレたら……ねぇ
称号:『無尽蔵なスタミナ』
取得条件:特定の体力を使う事。
取得スキル:《絶倫》
効果:筋力・敏捷・生命ステータスに大幅補正
スキル名:《絶倫》
分類:戦闘スキル
効果:筋力・敏捷・生命のステータスが2倍になる。
……もう突っ込まないぞ、つーか殆どが文字通りだな……っておい、真ん中の称号! 効果説明しろ! いや大体わかってるからいいけどさ。怖いよ! 《神眼の分析》さん仕事して! 人間離れした称号得ても仕事していたでしょ! 初心を思い返して! ……いやまて、何で俺はスキルにツッコミを入れているんだ?
ああ、多分疲れているんですよね。まあ一晩寝れば……
―――特別条件『華やかな魔法』を取得しました。
>>スキル《装飾技師》を取得しました。
スキル名:《装飾技師》
分類:生活スキル
効果:製作系に関わるすべてのスキル発動時に器用の
ステータスが大幅修正。
常に器用のステータスに補正がかかる。
クロウ ノ ライフ ハ ゼロ ニ ナリマシタ
この後、装飾を変えた家の中で灰になったかのように燃え尽きていたのだ。燃え尽きたぜ……真っ白になと言うどこかで聞いたことある名言がピッタリ合いそうな雰囲気がただよっていたとのことです。
ちなみに部屋は親族に一部屋ずつ振り分け、親がいない所は逆に子供がいない女性に任せることにした。「成長したら一部屋だよなぁ」と俺が呟くと一緒に振り分けをしていた獣族の女性たちが一斉に青ざめた気がした。何か言ったか? と聞くと「ふ、普通こんなところで過ごせるのもすごいのにさらに部屋を一人に一つ与えるものなのですか?」との事。
こういう時はエリラに聞くのが一番だ。
「おかしい、獣族たちに普通は与えないよ」
デスヨネー。まっ俺らの家だから好きにやっていいよなと言う事で決めました。皆さん出来る限り近い所がいいですよね。
遠くの部屋で「このお布団やわらかいです!」「こんなの始めてだ!」とか言う声が聞こえている。まあ喜んでくれたのならよかったよ。
こうして、俺の新しい住居での生活は始まったのだ。
後日
「あれ? どうしたんですか? ミュルトさん?」
「あっ、クロウさんちょうどよかったです、緊急の依頼なのですがいいですか?」
「緊急依頼? ケルベロスでも現れたのですか?」
「いえ、国の森林調査隊が昨夜全滅させられたとのことがあり協力要請が国から来ているのですよ。なんでも隊長だったバーカスも戦死したとか」
「ヘータイヘンデスネー」
「?? どうしたのですか? ちょっと顔色が優れないようですが?」
「いえ、昨日、走り回らされたので疲労が……」
「ああ、そういえば昨日町の北部で何か音がし続けていたらしいのですが何か知っていますか?」
「それは、俺が魔法をちょいと練習していたときですね。特に何も知りませんけど?」
「なにやら町中の魔道士たちが騒いでいるのですよ、「何としても正体を突き止めて教えてもらわなければとかいって血眼で探しているみたいですが?」
「ハハ ガンバッテ ホシイデスネ」
「……大丈夫ですか? ご自宅に戻られた方が……」
「……そうさせてもらいます。まだちょっとフラフラするので」
別の意味でな。こうして俺は逃げるかのようにギルドを後にしたのだ。まずいな今後は打つ場所を考えておかないとな。
最近、主人公のスキルとか称号の説明もしていませんでしたので、それを兼ねての花火をしました。
これ以外にも書いていないところでたくさんの称号を持っているのですが、それはまた後日、公開したいと思います。
※アドバイス、感想などがありましたら気軽にどうぞ。
※誤字脱字報告などがありましたら報告お願いします。




