表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/270

第28話:汚い依頼

 ハヤテとの戦いの翌日、取りあえず俺はガラムに経緯を報告して置くことにした。万が一の時に盾は多い方がいいからな。


「全く……お主は何故こんなにも問題事を持ってくるのか……」


「それについては申し訳ございません」


 本当だよ全く……俺、前世ではこんなに連続で巻き込まれた事なんか一度も無かったぞ。せいぜい三角関係をどうかしてくれとか言われたぐらいだ……今考えれば、あれは泥沼の戦いだったな……思い出しただけでも寒気がしてくるぜ、前世の思い出にいい思い出とかほとんどないよなぁ……。


「それで、ギルドはどう動くのでしょうか?」


 というのも、ギルドは大陸の人間領にはほとんどありギルドは独立した機関として運営されている。他種族では自分の問題は自分でと言う意識が強いか、またはよそ者の力を借りるのが恥となっているのか、怖いのかは知らないがほとんどないらしい。

 今回の件は俺と国との関係だが、一応確かめておきたかった。これで国に手伝うとか言ったら俺、全力で逃げるからな。


「この前も言ったがギルドはあくまで中立機関。どこの国にもつかない。それが基本にして絶対的なルールじゃ。それは各国との協定でも決まっており、もしギルドを吸収や配下に納める様なら他の国が止める仕組みになっておる」


 後半の事はどうでもいいがどこの国にも付かないのはありがたいな。


「まあお主の事じゃから大丈夫じゃろう。Bクラスのコアを持ち帰った情報は他国にも知れ渡る。そうすれば自然とお主の名声も上がるもんじゃ。そうなれば国も迂闊には手を出せなくなるだろうな」


 ですよね~


「……正攻法ではな」


 やっぱりか


「裏で無理やりとかもあり得ますよね」


「無論だ。むしろ裏で来なかった方がおかしいぐらいじゃ」


 ぐっ、俺はまた……いやもう何も言うまい。こうなった以上、悪いが今まで封印していた者を使ってでもこの状況を打開してやる!!!!


「ま、わしとしてはお主にはこの街はいて欲しいのじゃが、逃げることも考えといたほうがいいぞ」


「逃げる? まさか」


 俺は笑ってその案を拒否した。


「とんでもない、向こうが来るなら迎撃するまでですよ」


「……時々お主は本当に怖くなるのぉ」


「そうですね。そう考えている自分も恐ろしいですよ。ではこれからもここで仕事はやりますので」


「構わぬ。お主見たいな強者がいればそれだけこの街も安心出来るからの。デメリットもあるがな」


「メリットになるように善処しますよ」


 さて、これから忙しくなるな。まあサラリーマン時代の俺からしてみれば自由気ままに好き勝手にやりやがって羨ましいっぞ! とか言うレベルなんだけどな多分。













 早速始めるとしますか。 俺は宿に戻ると久々のメニューを開く。


>>スキル《メニュー》コマンドスキル《ノート》発動


 これは、俺が市場にある紙(日本のより遥かに劣化版)を見て思いついたのだ。このノートなら俺の頭の中にあるだけだから外部に漏れることもないから安心だ。前世でもこれさえあれば複雑なPパスワードいくつも作ったんだけどな。


 どれがいいかな……これとこれとこれだな。俺は思いついた限りの事を書いたノートの中を探し回り色々な魔法やスキルを作り上げた。後日使ったときに説明するとしよう。


 あとはあれを買うか。逃げないって宣言したからな。形だけでも用意するか。


 俺はラミさんからとある店の場所を聞くとそこに出かけて行った。出ていくときに少しラミさんの顔が曇っていたのは気のせいだと信じたい。



 













 それからおよそ2ヵ月。この間は殆ど何も起きず、俺は無事6歳になった。本当に平和だった。恐ろしい位に平和だった。

 ソラとも和解してから随分と親しくなった。もともとこっちの方が素なんだろうな。なんか前世とかでもクラスの中心的人物って感じだもんな。

 あとエリラが新しく治癒魔法を覚えた。だいぶ前から覚えたいと言っており本を買ってきて勉強した成果がようやく実ったと言えよう。性格の割に頑張り屋なのはやっぱり家の事だろうな。

 俺? 俺は色々な魔法を思いついたり新しいスキル作ったり覚えたりしたよ。もっとも一番進んだのは魔法道具系統だけどな。

 例えば前に魔法剣を作った時に思いついたんだが火魔法と風魔法の魔法式を筒状の中に入れて持つところを付けて魔力動力型ドライヤーってのを作って見た。

 そしたら意外と使えてビックリだ。そこに魔力制御の魔法式を組み込めば、誤って暴発する心配も無くなった。

 ちなみに魔法制御魔法式が無かったらちょっとした火炎放射器になっちゃいます。


 試にエリラに使わせてみたら大好評でした。あっちなみにこっちの世界では高価なお風呂も俺にかかればすぐにできちゃいます。(もっとも宿屋に付いてるので使う機会は旅先とかしか無いが)

 後は電気系も出来たらいいんだけど、俺、電池の中身とか見とか知らないんだよな。魔石と雷魔法で作ったり出来るのかな。

 他にも色々作って見た、なんだか某子供向けテレビの進化バージョンをやっている感覚だ。


 そんなある日の事、俺が珍しくギルドで食事を取っていた時だ。


「ん? なんだこれは?」


 ふと地面で何か動いたようなと思うとそこには一枚の依頼票が落ちていた。


「? 落ちたのかな?」


 地面から拾い上げ何となく内容を見ようとしたが


「……字下手くそだな」


 正直に言おう何を書いているかさっぱりわかりません。


「それは依頼箱に入っていた依頼ですね」


 ミュルトが俺に頼んでいた果実水を持ってきてくれた。ちなみにリンゴ味がお気に入りだ。

 依頼箱とはギルドに正式な手続きをしないでも通せる依頼票を入れる箱の事で最大の特徴は誰でも依頼を作ることが出来ることだ。

 もちろんギルド員も一度目を通してから張り出す。報酬も書いていた分を出さなければ一発でブラックリスト行きになることもあるらしいので、悪戯で入れるようなバカはそうは居ないらしいがたまにこうやって悪戯で書いてくる奴も多少なりともいるようだ。


「それも悪戯かと思い処分したはずなんですけどね。多分処理中に落としてしまったのでしょう」


 なるほどね、まあこの文字なら仕方ないか。


 でもただ単に汚い文字には見えないんだよな。なんか規則性って言うか形があるっていうか、う~ん……


「あっ、そうだ」


 俺の頭に豆電球マークが浮かび上がった感じがした。


―――スキル《解析》発動


 これは俺が対罠型魔方陣用にハヤテが来た夜に作ったスキルで罠型の魔方陣を解読するスキルだ。魔法制御があれば一発で壊せるんだが、念には念を入れて作っておいた。他にも見たことない文字を読むのにも使ったりできる。

 もし、これが何らかの意味が込められているなら何かしら浮かんでくるのではと思ったのだ。


 思ったより解析に時間がかかっている。ハズレかな?


 そう思っていた矢先「解読が完了しました」という文字と共に解析内容が俺の目の前に浮かび上がってきた。(と、見えるのは俺だけで傍から見れば紙を見ているようにしか見えないが)

 その内容を見て俺はギョッとした。そこには



依頼名:お姉ちゃんをたすけて!!

内容:お姉ちゃんがわるい人につれさられました。

   だれかたすけて下さい。くわしいことは直せつ話ます。

報酬:私が大切にしているものをあげます



 と、書かれていたのだ。もしこれが本当だとしたらやばくね? そう思ったときに


>スキル《獣族語》を取得しました。


 おっ、久々に聞いたな不意打ちでの脳内アナウンス。……って


「はぁっぁぁ!?」


 思わず飛び出してしまう絶叫。周りの目視線が一斉に俺に集まる。あっこれはやばい。


「ど、どうしたんですか!?」


 ミュルトが心配しているような声で俺に話しかけて来た。そりゃあ急に叫びあがれば誰でも心配しますよね。


「い、いやなんでもありません、凄い依頼かと思ったんですけど間違えましたね。第一読めません」


 そう俺は誤魔化すと依頼票をミュルトに渡した。若干怪しがってしたがその後、あの依頼票は問題無く処分されたそうだ。

 だが、俺にとっては処分とかでは済まされない内容だ。


 まず問題なのが獣族語で書かれていることだ。この街は人族の街。当然異種族はいたとしても奴隷だけのはず。もちろん奴隷がこんなことをすれば主人に何をされるか分からないからな。俺が例外過ぎるんだなおそらく。


 そうなると、どこから侵入したんだ? この街って城壁に覆われているから並大抵では入れないはずなんだが、しかも入口には種族などが分かるセキュリティーもあるオマケ付きだ。


「……考えても仕方がねぇか一度行ってみるとするか」


 俺はエリラも連れて行くかどうか迷いながら宿屋に戻った。

 よ、ようやく話しを本編に持っていけれた。皆さんも主人公の当初の目的を忘れかけてないか心配です(汗)


 ※アドバイス、感想などありましたら気軽にどうぞ。

 ※誤字脱字などがありましたら報告よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ