第239話:あっと言う間の1ヵ月
それから1ヶ月が経過した。
この1ヵ月色々な事があった。まず帝国の方だが反乱の首謀者であったミロの正式な処罰が下されたとのこと。内容は一生牢屋の中で拷問を受けさせるというもので皇帝が俺に言った「死よりも恐ろしい罰」をマジで実行した形となる。きっと死なない程度に逃げられない苦痛を与え続けるのだろう。本人もそうだが、執行者もたまには変えないと発狂しそうな罰だと思う。
で、反乱関係のお話はこれだけではなく、やはりと言うかこの混乱のさなかに領土をかっぱらおうとする国が現れそこと多少のいざこざがあったようだ。幸いにも領土自体は取られなかったが、身内で争えばどういうことになるかを痛烈に感じたことだろう。
そして、エルシオンとの不可侵条約の正式な発表もこのころされた。最初はこの内容に疑問を持つものは多かったが、エルシオンでの戦いの内容が広がるにつれてその数は少なくなっていった。
次に俺の方だが、まず市民権の発行手続きを無事開始することが出来た。基本的には俺、エリラ、テリュール、ソラの四人で二人組になって交代で受付をやることにしていたのだが、最初の頃は人が一斉に来たので4人全員で受付をすることになったりして意外と大変だった。それも2週間程度で落ち着いて来たので、途中からは二人組に戻して空いた時間を使って俺は例のスキルを作ろうと奮闘していた。あのスキルさえ出来れば獣族達にも無駄な労力をかけさせないで済むのでなんとしても完成させたいところだ。
次に今まで続いてきていた家の建築が無事終了したとの報告をアーキルドから受けた。と言っても終わったのはあくまで家の建築だけで、新しい学園の建設や追加したトイレなどの建設は今からだし、家の建設も申し込みがあれば追加で行わないといけないしで、やる事満載なんだけどな。聞けば最近は全く寝ないで建設を行っているらしく、建築関係のスキルが大幅に強化されていた。それに伴って建設速度も上がり、予定よりか早い段階から学園の建設に手を付けられる様だ。瞼にどす黒いくまを作っていたが本人は幸せそうだったのでそっとしておこう。精霊だから死ぬことはないだろうきっと、おそらく、多分……そうであろうと願おう。
そして、次にガラムの方だがちょいと面倒な事になってしまった。いや、逆にチャンスなのかもしれないが。
と言うのも、グレムスという都市に着いたみたいなのだが、そこでまさかの魔王と会見を開きやがったのだ。そこで、ガラムの体から僅かに発信される微量な魔力を魔王が感じ取り、あろうことか発信機がばれてしまったのだ。
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「なんだこれは?」
「?」
「……ふむ、どうやらお主も知らなかったらしいな。これから僅かな魔力が発せられている、それも特定方向にな」
「魔力が……? 私には感じられませんが?」
「だろうな、我もごくわずかにしか感じ取れぬしな……ともかく、これは預かっておく」
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会見を聞き終わったときの姿はまさにorzだった。まさかバレるとは思ってもしなかった。それもバレた相手は魔王やし……い、いやいくら魔王でもここで受信していることは気付かないはずだ。あっ……でも確か特定方向に魔力が放たれているとか言っていたから不味いか……?
ともかく、これは非常にまずい事になった。最悪のパターンはここの場所がバレて魔王との決戦になりかねない。魔王の強さが分からない以上下手に行動に出れないのが痛いな。さらにこの発信機の保管場所は魔法を無効にする部屋らしく《交換》機能がまだ無かったころに作った発信機からは何も報告が来なくなってしまった。幸いにも1時間程度のバッファがあるから全部だめになる事は無いが、それでもかなりの情報が切り捨てられてしまうことだろう。
運が良ければ魔王から良い情報が得られたかもしれないのに……。ともかく、これでガラムから情報を得られることが出来なくなってしまったので、ガラムの追跡はここで終了することとなった。
実はこれが原因で魔王の思わぬ一面を見る事になるのだが、それはまだ後の話である。
と、こんな感じで1ヵ月があっと言う間に過ぎて行った。蛇足だがこの間の夜は毎晩獣族たちに搾り取られていた。少しは休ませてもらいたかったが、問答無用で搾り取られた。俺じゃなかったら今頃ミイラにでもなっているレベルだよ、君たちには手加減という言葉が無いのかね? エリラと二人で過ごせる夜が静かなほどだよ(でもそこでもエリラから搾り取られる)
ま、まあ、俺の内情は置いておくことにして、俺は次なる課題である「治安」に手を付けようとしていた。
今回、少なくて申し訳ありません。
今週は色々あり時間が取れませんでした(土下座)
次回に取り返せるように頑張りますので、次回もよろしくお願いします。




