第24話:勧誘(?)
2015年
1/13 誤字を修正しました。
クロウです。時々無理やり勧誘してくる人がいますが、日本ではやんわりと断ることしかできませんでしたよね。今、改めてこの世界って弱肉強食なんだなと思っています。
「君がクロウ君だね」
白銀鎧を着た男が俺に話しかけて来た。金髪に顔立ちは凛々しいな。さぞかしモテるんでしょうね。憎んでいませんよ。俺は前世でも彼女はいらないと豪語していましたから、強いて言うならゲームが彼女でした。
……誤解するかもしれないので補足しておくが決して脳内彼女とかじゃないからな、マジだからな。エロゲはすk……ゲフンゲフン。
「そうです」
「出会っていきなりだが率直に言おう、君をアルダスマン国軍に正式にスカウトs」
「お断りします」
「せ、せめて最後まで言わs」
「国と関わる気はありませんので」
俺の無礼な振る舞いに後ろにいる兵士たちの視線が痛いです。うん俺も理解してるけどさ
「自分の名前を言わない人と関わりたくないので」
まずは名刺交換とか常識でしょ。戦闘中じゃないですしこれくらい当たり前だよね? 少なくとも日本では。
「そうだね、私の名前はハヤテ・シーオン。アルマスダン国軍第2部隊の隊長を務めている」
おっ、意外と礼儀正しいな。まあだからと言って関わらないぞ。
「私の名前は……言う必要もありませんね」
「クロウ君とエリラ君だね。君たちの事はギルドマスターから聞いた、なんでもここ最近現れた期待の新人を超えてかなりの実力者だとね」
「買い被りすぎですよ」
「残念だけどその言葉は信じれないね、現に君たちはBクラスの転異種を倒している。国でも討伐出来る人はそうはいない。特に君たちは二人で討伐している。異例しかいいようがないよ」
やっぱりそうなるか……コア今からでも奪えないかな? つーか全員の記憶から抹消したい。
「まっ、私としては別にどうでもいいことなんだけどね。君たちみたいな子供が倒したことすら怪しいし」
その言葉にエリラが一瞬ピクッとなる。おい青筋浮かびそうだから落ち着けよ、どう考えても安い挑発だろ。マジで勧誘する気ならそんな相手を落とすようなマネをするだけ無駄だろ。馬鹿だろ。つーか後ろの兵士笑ってるぞ。隠しているつもりかもしれないけどバレバレだぞ。
まあ、嘘でもカチンと来るのが人間ですよね。ええ、私の場合はちょっと人間からずれていますが。それでもカチンと来ますね。
それじゃあ、俺もそれなりの対応をしましょうか、これが通常ならキレるところだな。そして無理やり抑えられ連行かな? よし、俺は冷静だぞ。 cool に行こうぜ cool にな。……これカプ○ンさんに怒られないよな?
「じゃあ、帰ってください。こっちも暇ではないので」
サラッと流されたので後ろの兵士も「あれ?」という顔になる。まあそうだよな。アルダスマン国という国喧嘩売ってるもんだからな。
「弱い小僧に興味は無いでしょ? それに、そちらも政が忙しい間を抜けてわざわざ来ているのでは? もしそうならこんな茶番見たいな情報に振り回されずに戻ってください。どうぞ」
そのときプツンと言う音が聞こえた気がした。ん? と思い視線を向けると……
あら、なんということでしょうか、アルダスマン国の兵士たちが全員抜刀しているではありませんか、この速さには匠も驚かされました(笑)
……ってそんなこと言ってる場合じゃねぇ! こいつらアホすぎる! あんな見え見えな挑発にマジで乗りやがった! つーかハヤテとか言ったな、止めろよ! あんたの部下でしょうが! いや、お前まで睨むなよ! やばい、これ完全に面倒事になったパターンだ!
「貴様、その言葉を放ったことを後悔させてやる」
一人の兵士が前に出てくる、それに合わせて残りの兵士も俺とエリラを囲むかのように移動を始めようとする。ハヤテとか言う奴もすでに片手が剣に届いていた。
エリラも睨み返し剣を抜く準備を始める。いきなり始まった騒動にラミはアワアワしているだけで店主に至っては完全に逃げていた。
「エリラ君、君は何故こんな輩のもとで奴隷になっているのだ? 事情は大よそ聞いたが元貴族の君なら王都にでも来たr」
言い終わるよりもエリラが早かった。気づいたら抜刀された剣(俺、特製の)がハヤテの目の前に突きつけられていた。
あーあ……そこは触れてはダメな部分だろ……特に事情を知ってるならなおさらじゃないか……。
「私はもう貴族じゃないわ、二度と頼らない。 それに今はもう頼れる存在がいるから必要ないわ」
あ、おう、若干頬を赤くして俺を見るな。これって毎度思うけど恥ずかしいな。別に文句は無いけどエリラはもう少しオブラートに包みましょう。いや、違うな。それを公衆の目がある所で平然と言いますか? それともこれはこの世界では当たり前なのでしょうか? もうすぐこの世界に生まれて6年になりますが、未だに常識が分からない。
そして、次に反応したのはなぜか後ろの兵士だった。
「き、貴様は我が国よりかそこの一人の子供の力を当てにしてるとでもいうのか!!!」
いや、そこまで言って無いやろ自己解釈しすぎるだろおい。なんだよ、国の勧誘断ればこんなことになるのか? 拒否権無いに等しいくないか?
「そういってるんじゃ無いわ。あなた達とクロ、どちらを信じてるかの問題なのよ。いきなり来て国の軍隊に入ってください? もう少し礼儀ってものは無いのかしら? 国のお偉いさんはこんな馬鹿ばかりなの?」
あっ、これはやばい。完全に地雷踏み抜きやがった。しかも人一人とか言うレベルじゃねぇ都市一個吹き飛ばせるクラスの地雷を踏み抜きやがった。
俺の予想通りエリラの言葉に完全にキレた兵士は一斉に襲い掛かってきた。つーか囲んでいたんだな。お仕事が早いことで。
てか、あなたたち何か忘れていませんか?
「いいのかしら? このまま貫いて?」
その言葉に全員の動きが止まる。そう今ハヤテの目の前にはエリラの剣が突きつけられているのだ。もし俺やエリラに襲い掛かればそのまま突き刺すことも可能なのだ。
それに気づいた兵士は、慌てて剣を引く。だがエリラは引かない、あの一応その人国のお偉いさんなんですけど?
さて、これ以上ややこしくしたくないし、介入するか。
「エリラそこまでにして起きなさい」
「でも―――」
「命令」
「……へいへい」
江戸時代の商人見たいな返事と共にエリラは剣を鞘に納め後ろに引く。ここからは俺の出番だな。
「さて、交渉は決裂と言うことでいいですか? まあこちらとしては願ったり叶ったりなのですが?」
「いや、まだだな」
だな、このまま戻ったら交渉は失敗した上に国を侮辱されただけで終わるからな。ハヤテとしてはこのまま引き下がれないだろうな。
「このままでは私たちの面目がありませんからね。そこで提案ですが」
ハヤテが剣を俺の前に突き出す。
「私と1対1の勝負をしましょう」
「……なるほど、私が勝てばこのまま帰り、負ければ強制連行ってところですね」
「頭の回転が速い子供ですね。その通りです」
なるほど、そう来たか……ちなみに既にこのメンバー全員のステータスは確認済みだ。いつしたかって? 俺が心の中で突っ込んでいる最中にです。
結論から言えば弱いな。さすがにハヤテは格が違うが、ステータスを見るときに僅かに出る俺の魔力を感知できなかった時点で負け確定だ。同じ量の魔力で罠を仕掛けて引っ掛けたあとは遠距離で終わりだからな。
さて、この勝負は受けるべきだな。これで嘘をついてなお俺に食い下がって来るなら骨盤粉砕骨折ぐらいしてやるか。
「……いいでしょう。その勝負受けて立ちます」
こうして、俺はハヤテとの一騎打ちをすることになった。
多少主人公の考えを多く入れてみましたがどうでしょうか?
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