第215話:帝国からの使者(2)
「なるほど……素材は実にありふれたものだが、能力は飛び抜けている……これがスキルレベル8の能力ですか」
「それもありますが素材の相性もありますね」
ウォルス……もといマ○オもどきとその他少数の兵士たちの前でポーションを作成してみせた。素材は平凡な物ばかりなので、兵士たちは半信半疑になっている様子だったが、ウォルスはそんな様子を微塵もみせない辺り信じているのだろうか? まあ、スキル使えばすぐに分かるお話なのでどっちでも構わないけどな。
「では、話を戻しましょうか。どうですか、そのポーションを私たちは定期購入したいのですが」
「ええ、別に構いませんよ。大量に買って下さるのであれば、単価を下げて300Sで売りましょう」
「ふむ、では、それで買いましょう。量としては一週間で500個程お願いします。納入先は街の詰所に納めて下さい」
「分かりました。それで売りましょう」
「商談成立ですね。では、契約書などを用意したいので、後日また改めて伺わせてもらいますが宜しいですか?」
「ええ、いいですよ」
「……話は変わりますが、クロウさん。あなたの周りにいる奴隷たちは結構腕が立つようですね」
「何故です? 彼女らの能力でも覗いたのですか?」
「いえ、見ようとしたら感づかれたのですよ。スキルを使った瞬間明らかに、こちらを警戒しているようでしたので」
「……勝手に家の子の能力を覗くのはやめて頂けませんかね?」
まあ、鑑定スキルがある時点で覗くも何もあったもんじゃないけどな。今度彼女らの能力も偽装しておこう。
「気分を害されたのれあれば申し訳ない」
ウォルスは素直に謝った。
「次はないですよ」
「心得ておきます……それにしても、スキルの使用を感づかれてしまうとは私も生きて来て初めてのことですよ。彼女たちはどこで手に入れたのですか?」
「その辺の山賊潰したときに得ただけですよ。別に特別な方法で手に入れた訳じゃないですよ」
「どうです? 彼女たちを売っては下さいませんか? もちろんお金もそれ相応の分を用意しましょう。通常価格の20倍程度でどうですか?」
「お断りさせて頂きます。彼女たち誰一人も譲りませんよ」
「ふむ、奴隷に思い入れでもあるのですか?」
「ええ、ありますよ。大いにあります。だから売りません……もういいでしょうか? 用事が済んだのなら早めに退室してもらえませんか? 私も暇じゃないんですよ」
「……ふむ、怒らせてしまったようですな。では、今回はこの辺で引上げさせてもらいましょうか、では後日また改めさせてもらいます」
結局、この日の会談はこれで終わった。引き上げて行く彼らを見ながら「もう来るんじゃねぇ!」と叫びたい気持ちだ。国からしてみれば有能そうな人物だが、個人で見てみると人のプライベートにずかずか入ってきそうな人で、嫌なイメージだった。いっそ商談の話も無しにすればよかったかもな。まあ、安定した収入が得られそうだったので乗って置くに越したことはないだろう(毎週15万S)それ以上関わりたくないけど。
……もし、また勧誘してきたときは街一個売ってもらうぐらいのことはしてもらおうか。
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(ふむ、あの少年……途中から品定めに来たことに感づいておったな)
詰所に戻る道の最中、ウォルスは今日初めて出会った少年に興味を持っていた。
(炎狼の転異種を倒した者と言うのも嘘ではないようだの……そうなると否が応でも勧誘したいところじゃが……最後の様子を見るに初手は失敗だったの。人はどこに琴線があるか分からないものだのう。奴隷の話をし始めた途端、露骨に嫌な顔をしておった……奴隷ごときにどんな思い入れがあるのかの、なんにせよ今後会う時には、この話は禁止じゃな)
「……なんにせよ、今日あった事は皇帝陛下の耳に入れなければならまい」
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「だー! また、国からかよ! 嫌になるなもう!」
「そ、そうdふぁあああぁぁぁぁぁ~」
ウォルスが帰った後、ソファの上でシャルをモフリながら文句を言う。他の獣族達が物欲しそうな目で見つめて来るが、そんなの構わず俺はシャルをモフリまくった。まるで今日の出来事を忘れるかのように。
「クロウ様! 次は私をモフって下さい!」
「ちょっと次は私よ!」
数分間は我慢していた彼女たちだったが、やがて我慢できなくなった獣族から順次お願いをされた。そんな彼女らを順番にモフって行く。ウォルスとの会談でちょっとムカついていたのもあってか、いつもより激しくモフってしまった。そのせいかモフった獣族達は変わる頃にはビクンビクンと痙攣をしているようだった。やり過ぎたと思ったが、彼女たちの顔を見ると全員幸せそうな顔をしていたので良しとしよう。子供たちが「お母さんたちがおかしいのです!」と驚いていたときには流石に少し反省をした。これからは夜の営みで激しくモフることにしよう。……ところでモフる時に獣族が座っていた俺のふとももの場所が少し濡れているのは気のせいだろうか?
流石にまずいと思ったので、これ以上は自粛させてもらいます。何がだって? 察して下さい。




