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【異世界転生戦記】~チートなスキルをもらい生きて行く~  作者: 黒羽
第5章:クロウのエルシオン開拓日記編
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第201話:任せるは信頼の証

 取りあえず魔法学園の方は一息ついたな。一応、これからはアルゼリカ理事長が中心となって頑張るみたいだし、俺は所々で手を貸す程度で大丈夫だろう。

水晶はアルゼリカ理事長に渡したままにしておいた。なんかあった時はアレで呼べるからな。早馬なんかよりずっと早いぜ。


 さて、次はこっちの番だな。


 前にギルドを立て直した(物理的に)ことを覚えているだろうが、あのとき俺はギルドの建設と引き換えにあるものを借りる許可をもらっていた。

 それは、エルシオンのギルドの一角を借りることだ。まあ、維持費代わりにお金をギルドに納入するからテナントとかの感じかな。


 で、そこで何をするんだ? と言った話になるのだが、条件としては俺がある程度いなくても安定的に運営が出来、かつギルドという利便性を活かした商売だ。

 まあ、俺が報酬高いクエストをもらってちゃっちゃと倒すのもありなんだが、それでは収入は安定しないし、万が一俺が動けなくなった時の収入源がゼロになってしまうのは安定性を考える上でどうかと思う。それに高額なクエストはいつもある訳では無い、そうなると稼ぎたくても稼げないときは遠からずやって来てしまうだろう。

 あと、オマケ程度だが、せっかく異世界で過ごすんだから、ちょっとはそういう事もしてみたいわけよ。好奇心です。人生を賭けた好奇心なんて失敗する予感しか見えないのは俺だけだろうか。


 話を戻すが、俺の中での考えは雑貨屋なんて面白そうだと思った。面白いだけじゃないぞ? 基本的に売るのはいわゆるポーション関係だったり俺が鍛えた(失敗した)武器を売ってもいいしな(失敗したと言ってもこの世界では十分どころか高値で買い取ってくれるレベルの失敗作だが)

 で、ポーション系と言えば森の中で過ごしてきた獣族さんたちは、その辺の知識が豊富かつ調合は得意だったので、量産も出来ると判断してお願いすることにした。話してみると皆結構乗り気で承諾してくれたので有難かった。

 お礼に今度ケーキでも作ろう。


 で、店をやるとなると当然必要になるのが人手だ。


 最初はエリラやテリュールでも回せるかなと思ったが、彼女ら個人の時間も確保したいので、即ボツとなった。

 で、代案に獣族たちを入れるのはどうだろうと思った。


 だが、これもリスクが大きい。元々異種間での対立が激しいこの世界で売り子をさせれるのと言った話になるが、獣族は結構愛玩感覚で買う輩(勿論対等意識などない)がいて、いわゆるパシリにされている子も結構いるので、問題ないと思いたいのだが、獣族が売り子をやっていたりするのはあんまり見たことないので、そこら辺が不安なのだ。

 俺がいる時はお話(物理)で帰らせるのも手だが、いないときがどうしても不安になってしまう。いない間に報復なんてされたくないしな。




==========


 そんなこんなで色々考えてみたが、いい案は浮かばない。自宅のソファで横になりながら、頭を悩ませる。


「うーん……どうしようかな……」


「どうかされましたか~?」


 そんなソファで寝っ転がって考えている俺の元に一人の獣族が近づいて来た。この人の名前はココネ。この前の自宅での「なでなでしてください事件」(俺命名)で真っ先に飛びついて来た獣族だ。青髪のロングでどことなくほんわかとした空気を漂わせている。例の事件(?)のときは恥ずかしさのあまり、興奮状態だったが、普段の彼女はというと、なんか周囲が和んでいるようなと感じたら間違いなく彼女が傍にいると言うぐらいほんわかとしている。


「ああ、次にココネに飛びつかれたらどう対処しようかな~ってな」


 勿論、そんなこと考えていなかったけど。例の事件(?)を思い出したのか、顔を真っ赤にしているところが可愛いと思った。


「あ、あの時の事は忘れて下さいよ~」


「だが断る(キリッ」


 そう言いながらスッと立ち上がりココネの腰回りをガバッと掴むとそのまま、ソファに再び座り込んで見せる。あっ、ソファに座ったのは俺であって、ココネは俺の膝の上に座らせたぞ。何が起きたのか最初は分かっていなかったココネだが(この辺りの感づくのもこの子はちょっと遅い)状況が分かりだすとジタバタとし始めた。


「ふえっ!? ちょ、何をしているのですか~?」


「えっ、ココネにはお仕置きが必要だなって、例えばこんなのとか」


 そういうとココネの頭をなでなでしてあげる。ふぁぁぁぁと気の抜ける声と共に力が抜けたのか、俺に全体重を預けているのが分かった。

 いやぁ、このモフモフ感がちょっと癖になってやめられないんだよな。ちょっとした中毒性があるんじゃないかと疑いたくなるレベルだ。


「あぅ~いじめないで下さいよクロウさまぁぁぁ~~~」


 口では嫌がっているが猫耳がピョコピョコと動きながら尚且つ、俺の手をのけようともしないところを見るに嫌がっているとは思えないけどな。


「まぁ、それは冗談だよ。ちょっと考え事をしてたんだ」


 そう言いながら、手を止めて彼女を隣に座らせる。ふぅと息を付くと同時にちょっと残念そうにこちらを見るあたりもう少ししてあげようかな?


「か、考え事ですか~?」


「ああ、この前言ってた店の件のことだよ。やっぱり外部かギルドの人を雇おうかどうしようかなって」


「私たちでは駄目なのですか~?」


「う~ん、ココネたちにも自分の時間を確保させてあげたいし、街に出るということになるから、どういうことか分かるでしょ?」


「それもそうですが~私たちはクロウ様の役に立ちたいって思っているのですよ~」


「ん? そうなのか?」


「そうですよ~その件でも『私たちにやらせないのかな~?』って皆さんで丁度話していたのですよ~」


「へぇ……」


「クロウ様」


「ん?」


 ほんわかとした雰囲気がどことなく張りつめた感覚になるのを感じる。ココネが真面目な話をするときには大体こんな感じだ。だが、それでも未だにほんわかとした雰囲気が残っており、彼女に真面目な話は無理だなと思わせてしまう。いや、そこが可愛いんだけどな。


「私たちを大切にしてくださいる気持ちは本当に嬉しいです~。ですけど時には私たちも信じてみてください~」


「う~ん、信じていないつもりは毛頭ないんだけどな」


「そうですね~。きっとクロウ様は何でもできますから、逆に私たちに任せるのが不安になっているのかもしれませんね~」


「なるほど」


 確かに言われてみれば……ちょっと過保護すぎる面もあるのかな……?


「ですから、時には私たちを信じて欲しいのです~。大丈夫ですよ、クロウ様が思っているより私たちはずっと強いですよ~。人間の前でも堂々とあなたの奴隷……いえ、家族の一員である限り私たちが負ける事なんてありません~」


「はは、そうかそう思ってくれるなら嬉しいよ」


 本当、素直にそう思う。一緒に住んでみて分かった事だが、獣族の女性たちは本当に優しい人であると同時に心の中で曲げない芯みたいなのがあることを感じられる。そんな彼女たちだからこそ、頼られないのは嫌なのかもしれない。


「そうだな……一回相談してみるか」


「本当ですか~? では、皆さんを集めてきますね~」


 そういうと彼女はぴょんとソファから立ち上がり小走りで走りだした。


「あっ、えっ今から?」


 そんな俺の声は届かず彼女は家の奥へと消えて行った。


「……そうか……任せるのもまた信頼の一つだな」


 そういえば、さっきの言葉の中で奴隷を言いなおして家族と言う単語が出て来てたな。

 家族か……やっぱりいいよな。


 こうして、また一つ成長したと同時に、心から今の生活に感謝をするのだった。

 例の事件とは第197話の時のお話です。


 いつも感想、アドバイス、誤字脱字報告ありがとうございます。

 更新は今後も遅いかもしれませんが、気長に待って下さると嬉しいです^^

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