第189話:発令! 第一号作戦(6)
超久々の連日投稿です。休日しか書けないから頑張りました……!
「……そんな……」
「? サヤさんどうしたのですか?」
「……腕一本持っていかれた……あの魔物……強い」
遠方の平野で突如として現れた魔物とクロウとの戦いを見えていたサヤは動揺を隠せないでいた。
残念ながら、一般市民や生徒ではクロウと魔物との戦いの詳細は殆ど分からない。遠すぎるのと戦いの展開が早すぎるのだ。
その点、僅かばかりにでも実力があるサヤは格闘家ならではの動体視力の良さである程度は戦いの流れについていけた。そして、彼女は見たのだクロウの腕が吹き飛ぶ瞬間を。
「クロウさんが……!? わ、私たちも戦うべk―――
参戦しましょう! と提案するリネアにサヤは首を横に振る。
「……実力に差がありすぎる……足手まといになるだけ……」
「―――で、でも……!」
「……迷惑かけたくないなら……ジッとしてなさい……」
「……」
リネアも分かってはいた。サヤの言葉から考えるに恐らくだがクロウでも苦戦をしているのだろう。そんな敵相手に今の自分らが何も出来ないことぐらい。
だが、分かってはいるが頭の中では助けたい! その一心だった。
「……今の私たちに出来る事は……待つ……信じる……それだけ……」
壊れたナックルダスターの破片をぎゅっと握りしめ、唇を噛みしめるサヤ。それを見たリネアも黙り込むしかほかなかった。
「……クロウさん……」
少女たちは一心に彼の無事を祈るしかほかなかった。
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「ガァァァァァァァァァ!!!」
「ああ、うるせぇ!!」
叫び声に鼓膜が破けそうだ。
振りかざしてくる爪を《漆黒・改》で捌き、隙を狙い斬撃を加える。
だが、斬った傍から傷口が修復され無意味だと言う事を思い知らされる。
「こいつの回復能力もおかしいだろ!」
やっぱり、ウグラの時みたいに千切りにするしかないか。
―――スキル《身体強化》使用。『全能力50%アップ』
―――スキル《明鏡止水》使用。
―――スキル《力点制御》使用。『瞬間的なパワー150%アップ』
持ち前の豊富なスキルを使用したドーピングを加える。
「《千乱刃》、《滅炎陣》」
ウグラ戦の時同様、魔物の体を細切りにして燃やし尽くす作戦に出る。繰り出された音速の刃は魔物の体へと食い込むように当たっていく。
だが、ウグラのときみたいに切断するまでには至らず、半ばで止まってしまうようだ。
ただ、それも無意味では無く《滅炎陣》による業火が傷口を焼き、魔物の悲痛な叫び声が響き渡る。
「よし、剣での攻撃は有効だな。ウグラみたいに切り刻んでやる……!」
そう思った矢先のことだ。魔物の腕が突如として黒い霧が覆い始め、魔法陣が浮かび上がって来た。
「くそっ、こいつ魔法も使えるのか!?」
―――キエロ コゾウガ!
声……?
「二十連式魔法陣《多重防壁》!!」
そんな、声に反応しながらもご自慢の魔法防壁で防御態勢を作る。魔物の腕が魔力で暴発しそうなぐらい膨らんでいるのが防壁越しに見て取れた。
そして、振り抜かれた魔物の腕が防壁にあたると、魔物の腕にまとわりついていた黒い霧が破裂し、周囲へとまき散らされた。
まき散らされた黒い物体は最初、霧みたいなものだと思ったが地面に落ちるとそのまま、ベチャっと地面に広がって行った。
液体か……?
《神眼の分析》を使いその謎の物体を瞬時に読み取ってみた。詳しい詳細を知りたいが、こんな戦闘中に見る暇も無く、後回しになる。
《倉庫》から先ほどの獣族が使った銃と同じ型の銃を取り出し敵に銃口を向ける。ただし、この銃には一点だけ獣族の使っている銃とは違う点がある。
―――《全属性装填》発動。『銃に属性・光、【分裂】【爆発】付与』
―――《掃射》発動。『銃に【狙い】【急所撃ち】付与』
―――《瞬断》発動。『銃弾に《瞬断》付与』
「《死の銃舞》、フルバースト!!」
銃口から放たれる数十発の魔弾。放たれた魔弾は直後に分裂をしさらに、分裂、分裂……と、増えて行く。そして、それらの分裂した魔弾は魔物の急所と思われる場所に吸い込まれるように飛んでいく。
魔物に当たった魔弾は《瞬断》の能力で魔物の体内へと抉り込む。それも一つや二つではない。数十発もの魔弾は分裂を繰り返し今やその数は数千をゆうに超えるまでに増えており、それら全て外れることなく全身のあらとあらゆる場所へと潜り込んでいくのだ。
そして、体内に潜り込んだ魔弾は大爆発を起こす……それも一発一発の威力はあの黒龍を葬った《誘導火炎弾》並のおまけつきだ。
カッと魔物の傷口が光ったかと思えば、次の瞬間。とてつもない爆発が発生した。それに続く形で魔物の体内で爆発を繰り返す魔弾が火を噴く。
腸を抉り返される……そんな生温いレベルじゃないだろうな。
これが、俺独自の銃技《死の銃舞》。銃に付与できるすべての能力を付与し(【追尾】は今回は超至近距離なので除外)ありったけの魔力をつぎ込んでぶっぱなす……口で説明すると力技に感じるが、魔弾に【分裂】を相乗させるために複雑な魔法陣を組み込み、爆発時に他の魔弾と競合しないように調整を加えるなど、中身は超精密な仕組みとなっている。作るの苦労したんだぞ。
そんな、技を受けた魔物の末路は決まったも同然だった。
ウグラの時同様、細かくなってしまった状態では再生は出来ない、魔○○ウ並に木端微塵となったら最後再生は出来ないだろう。(あっちの魔神はその状態から再生してましたけど)
そして、魔物は声にならない、そんな表情を最後に炎の中へと姿を消したのだった。
結論:どんなに強くてもクロウは上を行ってしまう。
現在の状態を分かりやすくするために、何のステータスが上がったか書いてみましたがどうだったでしょうか?
個人的には書いている私も分かりやすかったので、助かるなと思いました。
追伸
ブラスターの意味を教えて下さった方。ありがとうございました。水と炎で相殺しそうだなと見てて思ってしまいましたが、これはこれで間違っていないので許してください(笑)
さらに追伸
魔弾の詳しい数ですが、仮に初弾発射数が50と仮定し、一回の分裂が最低値の2とすると。
50×2=100(分裂1回目)
100×2=200(2回目)
200×2=400(3回目)
400×2=800(4回目)
800×2=1600(5回目)
1600×2=3200(6回目)
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と、僅か5回の分裂で1000を超えてしまう事態に。そして、私の構想では1回の分裂で1発の魔弾から5発生れるとしていたので、50発で5回分裂したと仮定すると。
50×5=250
250×5=1250
1250×5=6250
6250×5=31250
31250×5=156250
となり、そこに【狙う】や【急所撃ち】の効果で全弾外すことなく魔物に当たったと仮定すると……
ああ、もう阿鼻叫喚ではすみませんね(笑)
魔物の大きさはウグラの時同様5メートルを仮定しているのですが、どう考えてもオーバーキルだったなと反省しています。(なお、恒例のように後悔はしていない)