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【異世界転生戦記】~チートなスキルをもらい生きて行く~  作者: 黒羽
第5章:クロウのエルシオン開拓日記編
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第186話:発令! 第一号作戦(3)

 初代小型銃器『アモン』。

 魔族により()()が開始された遠距離系武器。従来の魔弾の弱点であった魔力消費量を大幅に抑え、尚且つ高威力の魔弾を撃つことが出来た。

 初運用となったのはハルマネへの攻撃。この時使用された銃の数およそ200。使用時その高威力を見た魔族は大いに喜んだという。これまで劣勢を強いられ、大陸の辺境地にしか領土が無かった魔族たちにとっては、集団戦闘に次ぐ革新的な戦術だった。


 だが、この銃がこの戦いの以降、戦線に投入される事は無かった。


 何故か? それは宿敵である人がこの戦いに置いて、魔族が使った武器を凌駕する新兵器を使った事が後世の理由とされた。






 ズダダダァン!! 響き渡る銃声。それはこれまで戦場に響いていた銃声とは明らかに音の大きさ、質ともに全く異質の音だった。


 ヒュン! と空を切る音が聞こえたと同時に、魔族へ銃撃の雨が降り注いだ。大きさ僅か5ミリ。魔族が使う魔弾の半分の大きさの魔弾であったが、魔弾は魔族の皮膚をあっさりと貫通しさらに後列にいた魔族の皮膚ですらも貫通して見せた。

 立場逆転。先ほどまで人の血だけしか見ていなかった魔族は一転し、今度は自分らの血を見る事となる。


「遠慮はいらねぇ! 撃てぇ!!」


 クロウの号令のもと、再び魔弾の嵐が魔族を襲い掛かる。何体かの魔族が敵の攻撃元を確かめようと前を見る。

 するとどうだろうか。自分らを攻撃しているであろう者はたった10人程度しかいなかった。しかも人では無く森などで生活をしている獣族だった。この当時、種族を超えての共闘は殆どなく、隷属になった僅かな者が戦わされる程度のものだった。この常識は魔族の間でも当然のことだったが、魔族はゴブリンやオークなど様々な種類がいるので、そのまで過敏に反応をすることは無かった。


 それでも彼らにとって、その光景は異常に見えるだろう。







==========


 時間はさかのぼり……

 クロウがギルドを建て終え無事に帰宅をした直後の事だった。


「はぁ……疲れた……」


「お疲れ様。ギルドは無事に復興出来たの?」


 リビングのソファでのびている俺にエリラが声をかけて来た。


「ああ、と言ってもまだ形だけだ……これからが本当の戦いになるだろうな。あのガラム(クソ爺)が帰って来るとは思えねぇ以上、ミュルトさんには頑張ってもらわないと……それよりトレーニングはどうなっているんだ?」


「うーん……ボチボチかな?」


「ボチボチって……」


「ふふん、次に見るまでにあっと驚かせてあげるんだから」


 エリラは笑顔でそう言った。まぁ、エリラがそういうんだったら楽しみに待たせてもらおう。


 その時だった。


―――ピィィィィ!


 鳥の鳴き声などレベルにならない高さの音が周囲に響く。クロウはそれを聞いた瞬間ポケットからいつか見たことあるカードを取り出す。そこには「救援要請 NO.03」の文字が浮かび上がっていた。


「No.3……! サヤたちか!」


 急いで《マップ》を開き《検索》をかける。赤いマーカーがハルマネの近くで浮かび上がる。数は244。数自体は大したこと無さそうである。

 ただ、あいつらになると240はちょっと荷が重いかな……? いや、間違いなく重い。サヤやリネアだけじゃ流石に手が足りないか?


「仕方ないな、エリラ悪いが獣族の大人たちを全員集めてくれ、武装をしてな」


「わ、分かった……でも、本当に行くの?」


「ん? まあな、正直学校の奴なんてどうでもいいけどサヤやリネア、アルゼリカ理事長はほっとけないからな。約束をしたのもあるし獣族(あいつら)にもいい経験をさせれるだろう。エリラは悪いけどテリュールと一緒に子供たちを見ててもらえないか?」


「分かった……気を付けてね」


「ああ」


 エリラに獣族を集める事をお願いして僅か数分後。リビングには武装した獣族10名が直立不動で立っていた。「武装をするときは常に緊張感を持て」と言っていたのを忠実に守っているようだ。


「よし、集まったな。行き成りで済まないが、ハルマネより救援要請が入った。本来であれば俺一人でも十分だけど、今回は実戦も兼ねて皆にも来てもらう。使用する銃は『15式アサシン』で弾のタイプは実弾を使用してもらう」


 『15式アサシン』俺が作った銃で魔弾を撃つタイプと実弾を撃つタイプの二つのタイプを持つ小銃だ。銃身長43センチ、全長89センチとやや小型にまとめてあり、さらに撃つときに銃声をかき消す消音モードを搭載してある。ちなみに消音モードは魔力を余分に消費するので必要ない時はオフにすることも出来る。

 アサシンと名付けたのはこの消音があるからだ。15式とは俺の年齢をそのまま取っただけだ。(只今15歳)


「目標はハルマネを攻める敵の殲滅。及び主要人物の救援。戦闘の流れとしては俺が先陣を切る。皆はその後ろから俺の合図と共に魔族たちの正面から向かい討つ形となる。万が一に備えて《自動防御》を付与しておくが油断はするなよ。何か質問は?」


 簡単にクロウが説明をしたのち、質問が無いか聞く。すると一人が手を上げた。


「はい」


「ん? なんだ?」


「えっと……実弾を使うのは何故ですか? 魔弾の方が魔力を消費するだけでいいと思うのですが?」


「ああ、それには理由がある。まず実弾がどれくらい通用するかを確かめたいのが一つ。それから《自動防御》に出来るだけ魔力を振れるようにしておきたいのもある」


 魔法学園にいるときから《自動防御》を何とか《付加魔法》で他人に付与出来ないか試行錯誤を行い、つい先日ようやく出来るようになったばかりなのだ。今回はそれの効果を確かめるのもある。まぁ、これは本当にオマケ程度でしか考えていないし、使われないに越したことは無い。


 もちろん大本命はサヤたちを助けることだ。ただ、さっき《マップ》で見た限りでは、まだ会敵をしているようには見えなかったので少し時間があると思っていた。

 もっとも、この直後に学園の生徒たちの軍は壊滅をするのだが、この時はまさかそんなに早く沈黙されるとは思いもしていなかった。


 分かりましたと質問した獣族が下がり、「他には?」と辺りを見渡すが誰も手を上げなかった。


「よし、では今作戦名を『第一号作戦』と命名をする」


「? 第一号作戦ですか?」


「そうだ、個人で動くわけじゃない。一人ひとりが勝手な行動をしては隊の壊滅につながりかねない。それを防ぐには一人ひとりが作戦内容をしっかりと分かって行動をしないといけない。作戦名は他の作戦と混合してしまわないようにするための予防策の一つだな。あと、作戦開始を合図するときの掛け声にも使うな」


「な、なるほど」


 獣族の大人たちは分かったような分かっていないような顔で頷く。まぁ戦いには無縁だったしましてや集団戦闘など見たこともなさそうな彼女らだから仕方が無いのかもしれない。こればかりは実戦を経験していくしかないか。


「よし、じゃあ(ゲート)を使ってハルマネへと向かうぞ。第一号作戦発令!」











==========

 そして、《門》を潜り戦地に立った時。既に生徒の軍勢は壊滅をしてて、更にサヤが足を撃たれ倒れる瞬間だったのだ。

 なんとかスレスレで間に合ったから良かったものの、一歩間違えれば救援失敗だった。危ない危ない……。


「ほら、今のうちに街に逃げろ。治ったと言っても傷口はまだ脆いからちょっとした衝撃でも出血するかもしれないからな」


「……了解……」


「……サヤ」


 リネアを抱えて街に向かおうとするサヤを俺は引き留めた。


「……?」


「……何があったかは分からないが一人で抱えても仕方が無いぞ。一人で無理した結果がリネアに起きたんじゃないか?」


「……!!」


 ハッとした顔になるサヤ。どうやら図星みたいだ。見た訳じゃないが他の生徒たちと距離を開いているのと、リネアの頭の怪我。そして壊れたナックルダスターから察するに、サヤが一人で突っ込んだが途中でリネアに引き留められ、逃げているときにやられたといった感じだろうか?


「……と、止めて悪かったな。ほら行け。あいつらは俺らが始末しておくから」


「……わかった……」


 クロウの言葉をサヤはすんなりと受け入れ街へと引き上げる。その様子を僅かの時間確認したのち、再び戦地に視線を戻る。

 パアッン! と後方へはじけ飛ぶ魔物の様子が見えた。獣族の銃弾が眉間を貫通したのだろう。獣族の撃った弾丸は魔族を次々と捉えて行く。一方魔族側も小銃を持っているようだが、先ほどから関係ない方ばかりへと飛んでいるのが殆どのようだ。もっとも万が一当たったとしても《自動防御》のお蔭でダメージになることは無い。


 ……命中精度は話になっていないようだ……あれじゃあまるで散弾銃だな。


 こちらの攻撃は確実に魔族たちにダメージを与えていた。既に3分の1は消えたかもしれない。既に戦線は崩壊の顔を見せ始めていた。だが、先ほどまで優勢だった記憶から抜け出せないのか、攻撃を続けようとする魔族の姿が多数確認出来た。


 一方、街の方へと逃げた生徒や市民たちも魔族が劣勢になっていることが分かり始めた。


「何なんだあいつらは?」 

「魔族と同じ武器で戦っているのか?」 

「何故そんなものを?」

「そもそも、あれは獣族じゃないか? 何故そんな奴らが助けてくれたのか?」

「いや、まてあの前にいる奴は人じゃないか?」


 様々な憶測が飛び交う中、こちらへ向かってくるサヤとリネアの元に特待生たちが駆け寄る。


「サヤちゃん! 大丈夫!?」


 親友のセレナが真っ先に声をかける。


「……うん……」


 その声に頷くサヤ。それを見たセレナはホッと息をつく。


「それにしても……何故クロウが……? 彼はエルシオンにいたのでは……?」


 ローゼがもっともな疑問を投げかける。その問いに答える人は居ない。だが、サヤだけはクロウに救援を要請した人が誰だか分かっていた。


 その人を見つけるべく周囲を見渡すが、その姿は確認できなかった。


(……アルゼリカ理事長……どこへ……?)


 様々な考えが頭の中を回る中サヤは、もうしばらくの間アルゼリカ理事長の姿を探したのであった。

 突然ですが2月から一人暮らしが始まります。本当いきなりでした。

 いきなりで全く準備が出来ていません(笑)


 家具とか一通り揃えないといけないなぁと思いつつも、40年ぶりと言われる寒波を目の前に家から出たくないと引き籠っています(笑)

 皆さんも体には気を付けて下さい。

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