第19話:炎狼
申し訳ございませぇぇぇぇん、時間が無くて進みませんでした……次回こそは。
楽しみにしていらっしゃる皆様には本当に申し訳ございません。(土下座)
※9/5 誤字脱字を修正しました。
「暑い……」
「来るたびにそんなこと言っているわね」
「そうだよ、暑いもんは暑いんだよ、でもまあこうすれば」
俺はあたりに氷の魔法を分散させる。エリラの付近にも分散させる。普段魔道士はこんな使い方はしないが(こんなことをすれば30分と維持できないから)俺からしてみれば雀の涙程度の魔力だから問題は無い。
そう考えれば、エリラって魔力量とか普通なのに使ってやがったな(第14話参照)
……あれ? そういえば強化魔法(付加魔法)で自分の周囲の体温を下げる方法がなかったけ?
いや、氷魔法事態が珍しいから無かったんだな。
その時ひらめいた、じゃあ作ればいいじゃんと気づく。《創世魔法》でほぼなんでも出来るしな。早速イメージだな。炎狼と戦いに行くから氷系は効果が弱まるから、火には火でやってみるか。炎狼みたいに全身を熱で覆えば行けるんじゃね?
周囲の温度は本人が感じる適温になるようにして、あとは周りからはわからないように無色をイメージ。
―――スキル《創世魔法》発動
―――《強化魔法》より《火耐性付加》を製作。
この世界の魔法は大して進んでいないので、日本にいたころにやっていたゲームに出てくる魔法はほとんどないんだよな。特に付加系は詠唱などを重点的に発展してきたのか、こうした耐性系はほとんど見られないんだよな。
ただ、国は極秘でかなり強力な魔法を持っているらしい。だが市場に出回ることはないそうだ。見つけたところで国の優秀な魔道士何十人と集めてようやく発動できるタイプが多いらしいし、各国、各種族で魔法は独自の発展をしているらしいからかなりの違いがあるようだ。
だから火山の国とかに行けば熱耐性系の魔法もあるんだと思う。ただ出回っていないだけで。そう考えるとこの世界の国ってほとんど技術を出さないんだな。
まぁ、種族間の対立や同じ種族内での対立が腐るほどあるこの世界では軍事(魔法、武器など)は生命線に繋がる部分だからな。
俺も魔法札作っても出まわさないようにしとこう。この世界の戦争を変えちまうとかますます種族間の対立を深めそうだし。
「あれか」
火山の山頂。活火山なだけあって流石だな。溶岩が近くを流れております……凍らせていいかな?
山頂は窪みになっており、上から覗くと溶岩が波打っていて、歩くところがかなり制約されている。モン○ンのキャラとかよく活火山の上でのんきに鉱石とか掘れるよな。実際に立ってみるとすげぇな。
時間はもうすぐ夕方になると言ったところだが、それでもここは昼間のように明るい。そりゃ眼下は溶岩ですからね。
さて、炎狼はこの頂上に餌となるレッドリザードンを食べに来るらしい、そこを狙うのがいいと、受付嬢が言っていたな。それにしてもいい加減名前でも聞いた方がいいかな? いつまでも受付嬢と呼んでいたらそこら中にいるから大変だな。
それにしても見つからないな。火山の頂上から見ているんだけどなぁ。
よし、こうなったら
―――スキル《創世魔法》発動
―――《探索》を製作
>スキル《探索》を取得しました。
へぇ、造ってもスキルを取得することがあるんだな。創世魔法ってすごいな。
でも、制限もある。作った魔法によって魔力量もかなり違ってくるし、即死系の魔法は使えない。もちろん使う気などないが。さらには時を移動するなどのことも禁止だ。世界を渡るということも禁止だな。
即死系魔法がこの世に無いのはありがたい。ゲームとかでは俺はほとんど使わなかったけど、実際に敵が使ってきたときとか洒落にならん。
さて、探索をする、今回の検索は名前だ。ゲームのマップ検索みたいだな。これって人探しもかなり楽になるな。でも制限範囲もあるようだし、完全ではないな。
おっ、見つけたどうやら、俺らがいる場所の丁度反対側にいるようだ。あそこまで移動となると1時間はかかりそうだ。(空を飛べば速攻だが)
仕方ない、敵さんから来てもらいますか。
俺は手のひらに水を集める。火山地帯なので集まりが悪いな。
「あれ、クロやってるの?」
エリラが俺の手の中を覗いてくる。クロって言うのは俺だ。なんかこれで呼んでいいとか言われたので許可している。前の世界ではまともなあだ名は付けられなかったから少しだけ嬉しかったのは秘密だ。
エリラも良くこんなこと言い出したな、仲のいい奴とかにちゃん付けとかするらしいから、その延長かな?
「見てろ」
考え事はここまでだな。俺は収束させた野球ボール位の大きさをした水玉を上空へと発射する。水玉は綺麗な放物線を描きながら山の中央を越え、そして反対側へと消えて行った。
「……どうしたの?」
うん、当然の反応だよね。傍から見れば何もないところに撃ちこんだように見えるしな。さて、なんて言おうかと考えていたが、その考えはすぐにしなくて済むことになった。
反対側から巨大な火の球が飛び出す。それはまるで犬の形をしており、その場に留まっていた。
体長はおよそ10メートル、全身から溢れる炎は見る者を躍動させそうな輝きを放っていた。
そう、あれこそが俺たちの今回のターゲット、炎狼だ。
「えっ……狙ったの?」
「確証は無かったけどな、これだけ探しても見つからないんだから、反対側とかいそうだと思っただけだよ」
嘘です。しっかりと認識して撃ちました。
炎狼が俺らを見つけたようで、吠えながら溶岩地帯を駆け抜けてきている。すげぇ溶岩に触れても何とも感じないのかな?
「来るぞ! エリラ! 水魔法で援護を頼む!」
「わわわわ、わかったわ!」
おい、噛みすぎだ。
エリラが水魔法の詠唱を開始する。さて、俺はとりあえず前に出るか。《炎耐性付加》の強度を上げて置くか。
耐性力が上がればそれだけ、暑さに耐えれるので耐性付加は便利だな。ちなみに今の俺なら溶岩に突っ込んでも問題ない。たぶん、試さないぞ。腕とか失いたくないしな。でも今度、他の事で試して見るか。
炎狼の前に刀を片手に立つ。炎狼は真っ直ぐとこちらに進んでくる。まるで巨大なファイヤーボールだな。いや、狼型の隕石の方が合ってるか?
炎を絶えず体から噴き出している炎狼に接近戦は不利だ。というか接近系の剣士とかはほとんど指をくわえて見てるだけだろうな。槍あたりがギリギリ戦えるか?
炎狼の動きを見定める。俺からしてみれば奴の動きはまだまだ甘いからな。
衝突するまで引きつけて俺は横に飛び移る、と同時に刀をだし炎狼の左足に綺麗な一線を入れる、振り返ると炎狼の片足が……無く、炎狼はエリラに向かって一直線だ……えっ?
やばい! 俺は一気に加速すると再び、炎狼の前に立つ、近くにある岩石を球体にする。こういうところではやっぱり環境に合った魔法は使いやすいな。
「《破砕隕石》!」
炎狼を囲むように一斉に地面から砲弾が飛び出す、そしてそれらは全弾、炎狼にヒットする。
もちろん傷つけるような威力は無い。だが、その魔法のおかげで炎狼はようやく動きを止めた。後ろに下がると俺を睨みつける。
「こいつ……」
どうやら、さっきまで俺を敵と認識していなかったようだ。俺そんなに弱く見えますか?
こうして、火山での戦いが幕を開けた。




