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【異世界転生戦記】~チートなスキルをもらい生きて行く~  作者: 黒羽
第5章:クロウのエルシオン開拓日記編
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第183話:ギルド再建(2)

「ところで……何故ギルドの再建を引き受けたのですか?」


 基礎工事が終わり、支柱など建物自体の製作へ入って暫く立ったとき、ミュルトさんはそう唐突に話しかけてきた。ちなみにミュルトさんには家具などの組み立てをお願いしている。図面(子供のころに作った工作の設計図みたいなの)と材料をあげているので組み立てるだけの簡単な作業だが、ミュルトさんは問題なかったが他のギルド員は初めて見るタイプの図面に困惑されっぱなしで椅子を作らせていたはずなのに何故かブーメランが4つほど出来たりなど「お前ら子供かよ!」とつっこみを入れたくなるほどの悲惨っぷりだ。

 いかに現代の子供たちが優秀なのか、それともこいつらが馬鹿なのか……。


 このような惨状なので必然的に俺やミュルトさんが出来ても他が出来上がらないという形が出来上がってしまう。ミュルトさんも組み立てをやってはいるが、既に大きいのは済ませて残りは簡単なのだけになっている。


「それは、条件である『商店』を出す許可が欲しかったからに決まっているじゃないですか」


 今回俺がこんな面倒なことを進んで引き受けた理由とは、『店』を出したかったのが理由にあげられる。商店自体は復興の途中でどこかにしれっと建てたり鍛冶場を改造しさえすれば作れるが、俺が望んだ場所はギルド……つまり街の中央ということだ。

 で、街の中央も被害を受けたとはいえ住民の大半は生き延びているので建てる場所を選ばないといけないし、何より情報が集まるギルドと言う好立地条件が整った場所が欲しかったのだ。


「いえ……クロウさんなら問題ないとは思いますが、何故商売を? 冒険者なら依頼をこなした方が収入は断然良いはずですが?」


「確かに収入はいいでしょうね。ですが、私が求めているのはそれだけじゃないんです。収入の安定性、情報収集のしやすさ……他にもいくつか私なりのメリットがあるからそうしたのです」


「はぁ……?」


 よほど珍しいのかミュルトさんは首を傾げる。


「それに……今、この街で高レベルの依頼なんてどれくらい来ていますか?」


「えっ……あ、そういうことですか……」


「そういうことです。仕事をしたくてもその肝心の仕事が無ければ意味がないのですよ」


 そういえば、Aランクの冒険者って依頼を受けて出発してから戻ってきてないんだよな。そう考えるとAランクの依頼はかなり長期に及ぶものなのかもしれない。まぁ、現状を見るにただ単に今戻っても面倒事が待っているだろうから今は他の街で活動をしているのかもしれない。


「しかし……本当にいいのですか? 土地は借りるだけ、維持費も自分で受け持つだけでなく、売り上げの何割かをギルドに還元するということですが……?」


「いいんですよ。長期間やるとは限りませんしギルドもお金が少しでも欲しいのが本音なのでしょう? 今回の再建費は私がやるので無料で済みますが、その後の費用を全て払える余力はないのでしょう?」


「そ、それは……はい……お恥ずかしながら」


 例えギルドが治ってもその次に待っているのは運営費の再構築だ。例の襲撃のせいで資金なども全部消えてしまったギルドの再建は楽な話ではない。本来なら本部から援助が降りるのだろうが、マスター代理であるミュルトさんには援助をお願いできる権限は無く、あのクソガラムのことが言うしか方法が無いのだ。

 話に出たついでに話しておくと、今あのクソ爺はエルシオンから北西に向かって移動をしていることが分かっている。例の小型発信器は一応バレてはいないようだ。しかし、一人で移動しているのか乗っている馬の駆ける音しか聞こえてこないので、未だに何も得ていない。


「それにミュルトさんには色々お世話になってますし、そのミュルトさんが困っているなら助けるのは普通かなと」


「そ、そんなこと……! こちらこそ復興のお手伝いまでしてもらっているのに何も出来ずに申し訳ありません」


 申し訳なさそうに頭を下げるミュルトさん。


「それについては私が勝手にやり始めたこのなので気にしないで下さい。それよりも早くギルドを再建してしまいましょう」


「は、はい!」


 再び元の作業に戻り黙々と自分の作業をこなすミュルトさんの姿を見て「良い人だな……」と思いつつ、俺も元の作業に戻る事にした。










==========


 翌日の昼頃。


 新たに建て替えられたギルドを眺めながら自分の仕事っぷりに満足する俺。

 結局建築作業は僅か二日で終わってしまった。これにはミュルトさんを始めとするギルド員も開いた口がふさがらない思いだろう。

 こんなに早くできた理由だが、スキルのお蔭であることは言うまでも無いだろう。もう、スキルのせいにすれば何でもいいんじゃね? と思えて来るレベルだが《理解・吸収(スキルスティール)》を持っている俺だからこそできる芸当であって、普通の建築士が作れば当然のごとく数か月かかるので決して、この世界がチートじみている訳では無い、俺がおかしいだけだ。


「すごい……」


 ミュルトさんが思わずつぶやいているのが聞こえて来た。まぁ、2日でギルドが出来てしまうなんて誰が予想できるだろう。

 ちなみに今回のギルドは前にあってギルドをそのまま再建しただけなので、外見は元通りになったように見える。

 だが、中は結構俺が勝手に知っている現代知識をふんだんに盛り込んだので見たことない設備が多数存在している。いくつか紹介すると水のろ過(この世界では目に見えるごみを取ったりはするが見えない微生物などまでは取らない(と言うか知らない)ので細菌ウヨウヨしまくりの水を飲むのが普通だった。せめて紅茶みたいに一回沸かせよと思う。なお俺の家については当然ろ過させている)や、シャワー室(自宅には完備済み)など主に水回りの設備が非常に充実した。ろ過された水を初めて見た時にミュルトさんたちに驚かれたが飲むと非常に好評だった。なお、水の透明度も断然違うので一番最初は「水ではない別の液体」と思われた。お前ら川の上流行けよ(普通は魔物が多いせいで立ち寄れない)


 そしてギルドの一階の入り口を入ってすぐ左手に俺が商店を構えるスペースを用意した。ここでは一応、雑貨屋という形を取るが、その他にも買取や検診も出来るようにする予定だ。それについてはまた明日にでもしよう、色々準備もしないといけないしな。


 こうして、ギルド再建の最初の段階は無事突破することが出来たのだった。

 今年のクリスマス番外編は無しとさせてもらいます。途中までは書いていたのですが、どう頑張っても今日中には仕上げれないと判断し泣く泣くお蔵入りとなりました。

 ちなみに皆さんは今年のクリスマスは楽しく過ごされていますか?

 私ですか……? ボッチだよチクショウメェ!!(号泣) ←某閣下風に


 来年こそは誰かと過ごしたいです。

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