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【異世界転生戦記】~チートなスキルをもらい生きて行く~  作者: 黒羽
第5章:クロウのエルシオン開拓日記編
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第182話:ギルド再建(1)

 城壁が謎の陥没を遂げた翌日、仮設ギルドだったエルシオンのギルドの再建が始まる事となった。


 唐突な話ではあったが、街がこんな状態である以上一種の酒場の役割も果たしているギルドは、兵士たちの憩いの場にもなり、尚且つ他の街……つまり、他の街のギルドとの連係による流通の再建などにも繋がる為再開を急ぎ始めた……という訳だ。


 しかし、ギルドの再建をラ・ザーム帝国は行わなかった。詳しく説明をすると昨晩ギルドの再建のお話がミュルトの元へと来たとき、たまたま居合わせた少年が、一つの条件を出しただけで無償でギルドの再建を買って出たのだ。

 その条件も別にラ・ザームにとって特にマイナスな物でもなく、無料で復興が早まるのと、マスター代理であるミュルトが彼を信頼していることも重なりギルド再建は一人の少年に任されることになった。

 十数になる少年にこんな事を任せていいのか、不安になった首脳部の人も多少はいたが、実力はAクラスにも匹敵する凄腕の冒険者でエルシオンにも大きな土地を持っているということで、大丈夫だろうと最終的には納得をした。


 ここでラ・ザーム帝国について少しお話をしよう。

 ラ・ザーム帝国。強力な軍事力を備えた強国の一つだ。

 国土は広くは無く人間勢力の中でも下位に属する国といえよう。しかしその狭い国土の中には裕福な土地が数多く存在し、従来から戦地となる場所としても有名だ。

 ラ・ザーム帝国の初代皇帝は建国するや否や即座に帝国全土に重税を課した。住宅税、商税(店の出店の時にかかるお金や維持費のこと)、所持品税、関税などなどその数は数十にも及んだと言われる。

 当然、反発は起き国は一時大混乱となった。


 だが、初代皇帝は反発する勢力を武力を以てして鎮圧した。そして、帝国内部にいた反重税派の一派はことごとく惨殺されその姿を消したという。

 それ以来、帝国では大きな反乱は一切なくなったと言う。帝国の武力を恐れた部分もあったが、中には帝国が守ってくれると言うなら潔く払おうという考えを持った人は少なくなかった。

 ある意味仕方の無い事なのかもしれない。昔から戦争が長く続いたこの地にようやく平和が訪れたのだ。例え生活が苦しかろうと家族が失われずに済むぐらいならと考える者がいてもおかしくは無いだろう。


 そして、帝国もまたその思いに応えるべく重税によって集めたお金はその殆どが軍事研究や軍備に充てられた。テルムが「防衛系の事業は全て国が受け持つ」と言ったのはまさにこれのことだ。もし、この税を王族たちが裕福な暮らしをするために使ったのであれば、この国は直ぐに崩壊していただろう。

 もちろん、中にはその莫大な税を我が物にしようと裏で暗躍した者もいたが、それらは見つけられ次第、一族もろとも処刑された。そこには国の重鎮などの地位は関係なく、誰もが殺される立場にあった。


 こういった建国背景があるからか、ラ・ザーム帝国の住民たちには自分だけが苦しいわけではないという、一種の諦めとそれでもこの地で生きるんだという力強さを持っており、また力こそが全てという実力主義の国であるといえよう。


 そんな国に新たに編入されたエルシオンにも当然その税が適用される。ただ、戦後ということで、当分は免税されると予想されたが、その判断を下すのは皇帝自身であるので、結果が来るのは暫く後の事となろう。

 さて、占領時に多少の混乱は起きたものの、エルシオン残留兵力の全面降伏によりラ・ザーム帝国がほぼ予定していた形で占領された。もっとも、戦後復興に忙しいエルシオンの民たちが占領された実感を得るにはまた先のお話になる。







==========

「材料がそろったので早速始めましょう」


「揃ったって……どこにですか?」


 ミュルトさんが首を傾げるのも無理はない。何故なら今の俺は端からみれば何も持っていない状態だからだ。


「まぁ、いっぺんに出してしまうと邪魔ですからね。《倉庫》に保管させてもらってますよ」


「あっ、なるほど……ですが、小道具なども見当たらないようですが?」


「それも含めて全部ですよ、さて始めましょう。ミュルトさんも手伝ってくださいよ」


「えっ、あの……は、はい」


 真面目に聞かれたらスキルレベルの事まで聞かれるので適当な所で話を無理やり切り上げ、俺は早速ギルドを再建するべく作業を始める事にした。

 昨日、レウスにいいように遊ばれた俺はその足でギルドに顔を出してこれからどうなるのだろうとミュルトさんと話していたとき、例のラ・ザーム帝国軍の偉そうな奴が現れギルドを立て直す話を始めた。

 その話を盗み聞きをさせてもらったとき(当然、俺はただの冒険者なので話には入れない)、ちょうど良い事を考え付いたので思い切って話に介入をし、ギルドの再建を受け持つことになった。

 当然、反発というか話に入った瞬間にちょっかいをかけて来た人が2人ほどいたがお話(物理)をして、黙らせておいた。お蔭で帝国からは危険人物と認定されただろう。全く、手を出さなければ穏便に済んだのだけどな(笑)


 さて、再建という訳だが俺は建物の作り方などそこまで詳しいわけでは無いので、多少不安はあったが、その辺はスキルというチートに任せる事にしよう。と言うか土だけで作っていいなら爆発を受けても傷一つ付かないような建物を作ってしまうのだが、周りと明らかに浮いた色になってしまうので、今回は木で建築することにした。


 まあ、その材料集めも森に行って風魔法で木を伐採してこのまま形を整えてと言った感じにスキル任せに集めて来たのですが。


 まずは、作りたい形に地面に縄を張り、さらに正確な形を作るべく丁張と呼ばれる作業をする。なお、ギルドの形は前もって《SLG》で疑似的に作成済みなので頭の中にはしっかりと設計図が浮かび上がっているが、端から見れば図面無しでやっているのと同等などで、「えっこれ大丈夫?」といった不安の声がミュルトさん以外のギルド員から多少上がっていた。


―――スキル《土木建築技術》を取得しました。


 そんな声(色々な意味で)は無視し、次に「根切り」と呼ばれる作業を始めて……終わった。だって穴を掘る作業なんてスキルで一瞬で終わるし形を整える作業もスキルだけで十分出来る……むしろ手作業より早く美しいぐらいだ。時間にして30秒。ミュルトさんたちからしてみればまさにあっと言う間に出来ちゃったと感じるだろう。


 そんな感じでその後の作業も慣れている訳では無いが着々と作業を進めて行く。途中スキルレベルが上がり作業が一層早く進んだので基礎工事が出来上がったのは、その日の昼下がりの事だった。

 もうすぐ冬休みですね。皆さんは年始年末どう過ごす予定ですか?

 ちなみに私の誕生日は1月2日で来年は成人式だったりもします。2日にバイトがあったら泣いている自信がありました。危ない危ない。

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