第178話:無知とは恐ろしいもの
皆様大変お待たせしました。本日より再開いたします!
筋肉兄弟の三男に引きずられ気付けば街の出入口付近まで来てしまった。
途中全力で逃げようとも考えたのだが、どこに逃げても追って来そうで怖くなったのでやめた。
日課がフルマラソンの人にはスタミナで勝てる気がしません。というか、この世界の事だからきっと恐ろしいスキルや称号を持っているに違いない。
「レウスよ、連れてきたぞ!」
テルムがプロレウスを呼んだ。ふと視線を向けると城門付近に人が集まっている様子が見えた。
よく見ると人の集まりは二つの集団に分けられそうだ。
(あれは……アルダスマン国の兵士と……残りはどこの奴らだ?)
鎧の装飾などから明らかにアルダスマン軍とは別の軍隊だ。
殺気立っている二つの集団。その集団の中央に兵士が二人いた。ここからではよく聞こえないが何かを言い合っているようだ。
「戻ってきましたか」
兵士たちの集団を近くから見ていた次男のプロレウスことレウスがこちらに気付き近付いて来た。
「約束通りクロウ殿を連れて来ましたぞ」
「……で、俺を呼んでどうするつもりだ?」
俺は不機嫌な気持ちを出すように言った。
「いえ、あそこで揉めている兵士たちをどうにかして欲しかったんですよ」
「それだけ?」
「ええ、あれをどうにかしないと街から出れないじゃないですか」
「……てめぇ……」
「いやー、私たちではどうにもなりませんので助かりますあざーす(棒」
「言葉に有り難みを全く感じないんだが」
そんなことで俺は連れて来られたの? 帰っていいよね? てか、帰ってやる!
と、その時
「クロウお兄ちゃんを見つけたのです!」
どこからともなく明るい声が聞こえてきた。
「きゅうしゅつするのです! ぷらんえーで行くのです!」
フェイだ。見ると街の方から俺を追っかけて来たのかフェイを初めとする獣族たちとテリュールがこちらに向かって来ていた。
……ん? プランA?
「かかれーなのです!」
フェイの合図と共に子供たちが一斉に飛びかかってきた。そしてなんの躊躇もなしに俺を捕まえていたテルムに向かって思いっきり突っ込んで来た。
プランA。これは後で分かったことなのだが前に俺が何かの拍子に言った「プランAが駄目ならB……まあ、そんなのないけど」から来ているらしい。
当事、何故そんなことを言ったのかよく覚えてはいないが、おそらく某Aチームから何となく連想して言ってしまったのだろう。
で、それを彼女は覚えていたということだ。なのでフェイたちはプランAの意味など全く知らない。
「クロウお兄ちゃんを離せなのです!」
そう叫びながら強烈なタックルを自らテルムにお見舞いする。俺が家に帰った際にフェイからのお帰りなさいダイブを俺は結構簡単に受け止めていたが、あれでも最初のころ、不意打ちで受けたときは、しばらく呼吸が出来なかったほどに強烈だった。
そのときと比べてステータスが大幅に上昇したフェイのタックル……それは最早子供のタックルなどとは言えない。例えるなら車との正面衝突ほどの威力はあるだろう。
ーーーゴスッ!!
「あっ」
そして有ろう事かそのタックルの矛先はテルムの息子がある股間を捉えてしまっていたのだ。しかもご丁寧に人の一番固いであろう頭からフェイは突っ込んでいた……。
フェイがぶつかった衝撃でテルムは何やら言葉にならないような声を出しながらフェイとともに城壁の方へと吹き飛ばされてしまった。俺はと言うとテルムが手を離したお陰で事なきを得たのだが。
「フェイ! 大丈夫かッ!?」
当然、フェイの事が心配となり慌ててかけよる。砂煙のお陰でどうなったのか全く分からなかったのだが。
「かったのです!」
その中からブイサインをしながらフェイが飛び出して来たのを見て俺はホッとした。
「お兄ちゃんかったのです! ほめてほめてー!」
そんなフェイを俺はガシッと捕まえ、優しくなでなでしてあげた。
「そうだなよくやったよ」
本当はあんな無茶をするなと怒りたかった気持ちもあったが、自分のためにあんな無茶をしてくれたと思ったら、怒るに怒れなかった。
「でも、あんな無茶な真似はするなよ」
フェイをなでなでしながら俺は注意だけはしておいた。
「はーい」
聞いているかどうかは分からないがニコニコしながらフェイは元気に返事をしてくれた。
「フォォォォォォォォォォォ!!!!」
今度はなんだ? 声がした方を見ると砂煙の中からテルムが変な奇声と共にのたうち回りながら出てきた。
「いやーお嬢ちゃん流石ですね。テルムを吹き飛ばすなんて子は滅多にいませんよ」
そう言いながらレウスがテルムの方へと歩いていく。
「ヌオオォォォォォォォォォォ!! レウスよ! ワシの球は大丈夫なのか!? 生きているのか!? 男の子として生きているのか!?」
のたうち回りながら、叫び声を上げるテルム。
「そんなにしゃべれるなら大丈夫ですよ。子供にタックルされただけでなに騒いでいるのですか?」
子供のタックルと言っても威力は尋常じゃないけどな。
「とりあえず起きてジャンプすれば大丈夫ですよ。ほら起きて起きて」
「う、うm」
ーーードスッ!
「「あっ」」
一瞬何が起きたか分からなかった。
何故ならレウスの爪先がテルムの股間を捉えていたからである。
「フオォォォォォォォォォ!」
ふたたびのたうち回るテルム。
「おっと足が滑ってしまいましたすいません(棒」
「おい、全く悪く思っていないだろ」
「いやそんなことありませんよ(棒」
嘘つけ。
「? クロウお兄ちゃん。あの攻撃はそんなに痛いのです?」
フェイの純粋な疑問に何故か心が痛くなる。
「……すっごく痛い」
「? そうなのですか?」
多分フェイには一生わからない痛さだろう。
無知って怖いね。俺は改めてそう感じるのであった。
当初の予定では土曜日更新でしたが、何故今日更新したかといいますと。
我慢出来ませんでした。(キリッ
いや、パソコンが帰って来ていたら土曜日更新予定だったのですが。
何故か再来週以降しか帰ってこないとのことで。
いや、何で? ノートパソコンですよ? ディスプレイの交換だけですよ? 修理に出したのは10月半ばですよ? もう一ヶ月ですよ?
と、先生に今日聞いて私のなかで何かが吹っ切れました。
スマホからの更新ですので量も内容も薄いかもしれませんが、しばらくの間はこれで我慢お願いします。お願いします何でもしません(キリッ
こんな調子ですが、これからも異世界転生戦記をよろしくお願いします。




