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第17話:Bランク冒険者

 ※9/1 誤字脱字を修正しました。

 昨日は驚いた。いきなりエリラが飛びつくんだもん。何が起きたのかさっぱりわからなかったよ。


 その後、エリラから自分の過去を話してくれた。話している途中、話し方とかが柔軟になったなぁと思っていたが最後あたりで言う前に悟った。


 ああ、親の愛を受けないってこういう事を言うんだなってな。

 俺も親から酷いことされたよな。それでも鬱になったりとか誰かをいじめたりとか自殺しなかったんだから俺って強いよな。もしかして、龍族を殺してもそこまでショックを受けなかったのは、こんな過去があったからかな。




 エリラが一通り話し終わった後は添い寝してあげた。これ本来なら立場逆だよな歳的に。くっ前世の俺ではまずありえない光景だよな。部屋を戻した時に宿屋の受付嬢が「きゃー」と言いながら顔を赤めていたが気にしたら負けだな。

 俺の方がまだ小さいのでエリスに完全に枕になる形だ。か、顔にむn(ry)











 それからしばらくはCランククラスの依頼を受けながら生活品を買い集めたり、必要な道具を集めていた。


 鉄は積極的に集めた。理由はもちろん鍛冶屋が出来た時にすぐ作るためだ。もっといい鉱石とかあるんだけどとりあえず実験ということで。ちなみにただの鉄剣なら鉄さえあれば出来るぞ。強度や切れ味も普通のよりいいものが出来る。スキルレベルはありがたい。


 そんなある日のことだ。ギルドで依頼を探していたとき、ふと後方が騒がしくなった。ここ最近俺がCランクの依頼を受けているということで色々文句を言ったりちょっかいをかける連中がいる。そのたびに返り討ちにしているのだが、中にはなんか偉そうな貴族も(初日のヴグラの父親の部下ではないかと思っているが確証は無い)やって来て対応が面倒なのだ。


 あとこの前のレッドリザードンの討伐で返り討ちになった奴らも文句を言ってきたな。受けた奴は30ほどいてパーティは6組。だが3体を討伐できたのは半分の3組で。ほかの連中らはレッドリザードンの集団戦に見事にしてやられたようだ。奇跡的にけが人は出なかったようだ。


 一杯いるじゃねぇか! と言ってきたが「数は減ってるのでは? と言っただけですよ。私が討伐した分だけ減りますからね。でも全体の総数なんて知る由もないので」と適当に跳ねのけておいた。まあ金に負けて自分の力を見余った罰だな。

 

 証拠に成功したのはCランクのパーティだか失敗したのはDランクのパーティだったからだ、Cランクも一組失敗しているのにDランクが簡単に成功できる訳がないんだよな。


 あとエリラに殴られ隊とか言うアホ共も来たがこいつらのことは省略する。話すのも面倒なので。


 俺はいつも貴族がやってきたときはたまに騒がしくなるのでその分類かと思ったのだ。


 だが、後ろを振り向くとギルド中の視線は4人に集められていた。


「おい、Bランクの奴が帰って来たぜ」


「マジかよ、あの討伐戦上手くいったのか?」


「成功出来たから戻ってこれたんじゃね?」


 冒険者がヒソヒソと話している。4人はそんな冒険者に目もくれずカウンターの方に歩いて行き、リーダーらしき人物が受付嬢に


「成功したぞ」


 とだけ行った。その瞬間近くにいた他の冒険者が聞いていたのか騒ぎ出した。一体何を討伐したんだろうな。


「おめでとうございます。本当に討伐してくださるとは」


「なにAランクの奴がいない間だったからな、俺たちの出番だろ」


 Aランクの討伐かレッドリザードンにやられたDランク見たいにならないでよかったな。


 すると俺に気づいたのか4人の中で一番背の低い女性が受付嬢に俺を指して何か言っている。あっ嫌な予感がする、俺が手に取っていた依頼票を戻すとそそくさにその場から逃げ出そうと回れ右をしたときに


「ま、待ってください!」


 背後から声が聞こえた。ああ、面倒な事になりませんように……


 振り向くと予想通り先程受付嬢に話しかけていた背の低い女性が立っていた。黄色い髪に縦ロール、いかにもファンタジーって髪型だな。

 ちなみに背が低いっていたが現時点での俺より高いぞ。それでも145~150ぐらいかな? 腰には短剣、手には魔道杖が握られている。


「あなたが数日でCランクになった新人冒険者ですよね?」


「は、はい」


「始めましてソラって言います」


 何か日本で聞きそうな名前だな。しっくり来ていいけどな。


「突然だけどあなた何歳なの?」


「5歳ですけど」


「5歳ですか!? すごいですね、ちなみに私は12歳です。歳が近い人が多くないからよろしくね」


 へぇ12歳ってエリラより年下じゃん、それでBとかすごいな。


「よ、よろしくお願いします」


 勢いに負けました。元気な人だなぁ、でも12歳で冒険者という危険な職業についているんだから訳ありなんだろうなぁ。


 残りの3人のうちの一人がソラを呼び、ソラは戻っていった。4人はこれから酒場で祝うとのこと。12歳で酒を飲むのかな?


 4人が出て行ったあとはいつも通りのギルドに戻った。俺は受付嬢に彼女らがどんな奴を討伐したか聞いてみた。


「あの人たちが討伐したのはケルベロスですよ」


 ケルベロス? あいつってAランクだったんだな。というのも俺も4歳の時に訓練中に出会っていたりする。あの時は逃げたけど、ちなみに空飛んで逃げました。ビビりですよそうですよ。逃げる直前にステータス確認したけどまあまあの高さだな。さすがに黒龍ほどじゃねぇけどな、あれは化け物クラスだよ、俺は置いといてな。


「へぇ、そんな奴を討伐したんですね」


 とりあえず驚いておくか。無感情だと色々怪しまれそうだしな、ただえさえ実力面で他の冒険者面々に怪しまれているのにこれ以上面倒事は増やしたくないぞ。 


「あっ、あいつらのせいで依頼忘れてた」


 と、ちょいと逃げるように依頼を取る俺。さきほど取って戻した依頼を手に取る。


――――――――――

依頼:炎狼(レッド・ウルフ)討伐

クリア条件:炎狼討伐

報酬:500,000(セラス)

――――――――――


「大型魔物の討伐ですか!?」


 受付嬢が驚いている。あっそういえば今まで受けて依頼は採取と複数討伐の依頼だからな、まあ俺としては複数の方が報酬いいからな。

 これを受ける理由は序盤に話していた鍛冶屋のお話に戻るが、武器強化には鉱石だけだと魔方陣を組むのは大変な上に威力も上がらない。もっとも強度自体は鉱石だけの方が上だが。


「ええ、まぁさきほどのケルベロスに比べれば簡単な討伐だと思いますが」


「それでもBクラスですよ? 大丈夫ですか?」


 周りに気を使って小声で話してくれる、ありがたいことだ。


「はい、まぁ危なくなったら逃げますよ」


「わかりました。場所はレッドリザードンと同じバルケノ火山の頂上にいます。全身を炎に包まれているのでエリラさんの水魔法が有効になると思います。出来れば魔法札を用意した方がよろしいかと、近づくのは大変危険ですので」


 魔法札とは魔法を発動する補助的な役割を持っている。付加魔法と同じものだな。他にも詠唱速度を上げたりする魔法札もあるらしい。


「魔法札はどこがいいですか? いつも行ってる店では取り扱っていないようですが」


「いえ、どの店でも大抵扱っています。ただし条件がCランク以上の人、一部の許可を貰った者のみなんです」


「ギルドカードを見せればいいのですか?」


「はい、そうすれば売ってくださいますよ」


 なるほどな、貴重だからそれなりの人にしか売らないのか。でもそれだと新米や魔法を使えない下位の冒険者たちには苦しいな。


「では、お気を付けて」


 俺はギルドを後にした。










「すごいね彼、あの歳でレッド・ウルフの討伐に挑戦しようとしてますよ」


 クロウがギルドを出た後、密かに彼の後をついていく4人の影があった。


「ふーん、大した実力は無いみたいだけど?」


「ステータスを隠蔽してるんだろう」


「あの歳で? でもギルドカードまでは隠蔽出来ませんよね?」 


「受付に聞いてみたけど最後に見たのは1週間前でその時はレベル29だったそうよ」


「無理だろ? 29でBクラスとか」


「どこかの貴族とか?」


「軍隊でも連れて行ってるんじゃないか?」


「おい、どうでもいいが見えなくなるぞ」


「さっさと行くぞ」


「あ、はい」











(っち、誰だよ)


 ギルドを出てしばらくした後から妙な視線を感じるんだよな。

 数は4人。そのうち3人はピリピリした視線だ。残りの一人はちょいと心配した視線か?


 言われた通りに道具屋でギルドカードを見せ大変驚かれたが、受付嬢が言った通り魔法札を見せてくれた。

 やはり、能力の高い物は無いな。買わないでいいんだけど、買わなかったら買わなかったで後が怖い。それに魔方陣の勉強になるから買っておいても問題は無いな。


 とりあえず各魔方陣を一枚ずつ。それに詠唱速度強化系を10枚ぐらい買っておいた。全部で400万Sぐらいかかったが、問題ない。店員がめっちゃ驚いていたな。まあ仕方ないか1ヵ月の利益に匹敵する額だからな。

 エリラも最近は遠慮しなくなって出費が重なっているが問題ない。


 4人の視線が痛いなぁ……つーか外から覗くなよ怖いぞ。気配を消しているのか店員や街を歩いている人は気づいていないみたいだな。













「レッド・ウルフ!?」


 宿屋《猫亭》の一室でエリラが叫ぶ。


「ああ、知っているのか?」


「知ってるも何もBクラスの魔物じゃない! 何でそんな依頼を受けたのよ!?」


「素材が欲しかったから」


「素材って、そんな安易な理由で……」


「とにかく準備は出来ているんだろう?」


「出来ているけど、心の準備が……」


「はい、ダウト。半分楽しみにしている癖に」


「あれ? 分かっちゃった?」


 エリラが強張っていたような顔を崩し笑う。普段から俺の動きを見ているエリラはもう驚いていない。それよりも格上の敵と戦ってレベルアップすることの方が嬉しいようだ。なんで俺の周りには戦闘狂が多いんだろうか。甘やかさないように俺はサポート程度で戦っているのでエリラの経験もドンドン増えていく。正直彼女の実力はBランクぐらいはあるだろう。


「そういえば今日、Bランクの奴が帰ってきていたな」


「ほんと!?」


「ああ、ソラって言う奴が話しかけて来たが間違いないぞ」


「ソラちゃんが?」


「知り合いか?」


「うん、私の数少ない友人よ、歳が近いから仲良くなってたの」


 うげ、マジですか。何でだろう修羅場しか想像できねぇ……。

 今、エリラの首には俺の着けて上げたネックレスと一緒に黒い首輪が付けられている。これは奴隷である証で自分では取ることが出来ないらしい。

 また取るにしても《契約》スキルを持っている奴と一緒に取らないと契約違反になりこの首輪締まるんだよな。

 いざとなれば俺が解除しよう。


「……今のお前を見たらなんて言うか」


「え~と、どうすればいいの?」


「しかもあいつら宿にやって来てるんだよな。隠れているつもりだろうけど、バレバレだった」


「何で連れて来たの!?」


「勝手に来たんだよ!」


「途中で巻いてよ! 自分で面倒事は嫌だとか言ってたでしょ!!」


「こんなことになるとか思うわけないじゃん!!」


「はぁ……どうするの?」


「う~ん、襲ってきても返り討ちに出来るけどそんなことしたくないしな……まっ別にいいか」


「いいの?」


「でもお前どう言うつもりだ?」


「うっ……」


「兎に角、宿を出ても追って来ていたら街から出た辺りで仕掛けるか、逃げるかだな、いざとなれば俺がどうにかする」


「わ、わかった」


 こうして宿を出た。ついて来ないことを願っていたんだが、ついて来てやがる。なんかピリピリとした視線が4人に増えているんだが。ああ、やっぱりそうなりますよね。


 そして街を出る直前に


「そろそろ出てきたらどうですか?」


 彼らが隠れている付近に声をかける。だが反応がない、《透視》で見えているんだがな、ちなみにバレたのかとか言う顔をして、相談しているようだ。


 俺は顔を逸らさないでジッと見つめる。それに負けたのかようやく彼らは出てきた。やっぱりソラの顔が怖い。


「で、何の用ですか?」


「エリラちゃんに何したの!」


 ソラが杖を持って前へ出る。やばいこんなところで戦闘とか嫌だからな。


「ソラちゃんこ、これには理由が」


 エリラも俺の前に出る。だが彼女は止まらない。


「待っていてね今、助けるから」


 そういうと彼女は杖を振り上げる。なんか呪文が聞こえて来るんですけど……これマジ? つーか他の3人止めろよ! なにニヤニヤしてるんだそこの女! 男2名! 俺を睨みつける前にやることがあるだろ!


 やがて光の玉が出来る。俺の《光球(ライトボール)》より大きいな、でもまぁ威力は言うまでもないよな? 


「――――――――――――《光球》!!」


 あっ、名称は同じか、光球って俺オリジナルの名前かと思ったけどストレートはかぶるよな。


 俺はエリラを素早く後ろに下げると俺も同じ魔法を唱える。時間がないので無詠唱発動する。


「《光球》!」


 撃ちだされた球は俺とソラの中間あたりでぶつかり相殺される。しかし彼女は続けざまに魔法を唱える。後ろにいる女はマジかと言う顔をし男2名は興味深そうな目で俺を見始める。


「おい、エリラ! お前の友達だろ!? 止めろよ!」


「む、無理! あの状態になったら止められない!」


「だぁぁ! 面倒だ!」


「―――――――――――――――――――《雷弾エレクトリック・ショット》!!」


 さっきより長めの詠唱ののちソラの指先から雷が飛び出す。いや見た感じの威力だとかなりの高出力じゃないか? 魔力相当使っているんだろうな。


「《土壁(アース・ウォール)》」


 目の前の壁に電気がぶち当たり、辺りに分散した雷が飛び散る。それでもソラは続けざまに魔法を唱えてくる。


「―――――――――《光針(ライト・ニードル)》」


 ソラの指先に光の針が作られる。しかも大量に。殺傷力……すごく高そうです。

 俺もついに面倒になったのでアレを使うことにしよう。


 スキル《魔力支配》―――発動


 ソラの指先にあった光の針は分散し消え去る。俺は立っているだけなので、他の3人は一斉に「ん?」となりソラの方を見た。


 一方のソラは魔法を発動しようと詠唱をする。だが俺が魔力支配でソラの発動する魔法をかき消しているので発動することは絶対無い。


 そのうちソラの魔力が切れてソラは戦闘不能。他の3人もどうなってやがるんだ? と言った感じでソラに駆け寄る。


「おい、今のうちにあいつらに事情説明してくれ、出来ないなら次はもう逃げる」


 正直、帰ってきた後が面倒だけどもう今は仕事したいんだよ。

 エリラは了解と言って事情を説明しに行く。


 さて……どう転ぶか


 あの3人が冷静さを兼ね備えた人であることを願うばかりだ。

 新キャラ。Bランクはまだ半分も名前出ていませんが、今後登場していくかは……作者の気分と話の流れ次第です。

 一応、ソラは主登場人物に入れようかなと思い、先に出しました。名前を決めるのにそれなりに時間がかかりました。なんかカタカナだと名前が近いのが出来てしまいかねないので難しいです。

 レイナとエリラもすでに近い名前だなぁと思っています。どうしても3文字系を多く考え付きます。

 漢字系の名前を入れようか検討中だけどそれだとファンタジー系がチョイとなぁと感じています。ソラ(空)も作中でクロウが言っているようにかなり怪しいですけどね(汗)


 ※アドバイス、感想などありましたら気軽にどうぞ

 ※誤字脱字がありましたら報告お願いします。

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