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【異世界転生戦記】~チートなスキルをもらい生きて行く~  作者: 黒羽
第4章:アルダスマン国の崩壊
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第162話:フォート城の殲滅戦

 ※ 7/31 フォーク城となっていた部分を訂正しました。

     正しくはフォート城です。

 おいおい……一体これはどういうことだよ……?


 俺はソラに誘われるがままに付いていくと、そこには大量の人、人、人の嵐だった。


 それもただ単に人が集まっている訳では無かった。見ると服はボロボロ、中には靴を履いておらず裸足の人もいた。全身傷だらけの人もいれば五体満足ではない人もいた。全員顔はやつれており、疲れ切った表情をしていた。


 まるで、あの夜の事件の後のエルシオンの住民たちをもう一度見ているかのようだった。


(一体、今度は何なんだよ……)


 おそらくどこかの街の人たちであるのは間違いないだろう。


 もしかしてハルマネの!? と言う考えが一瞬頭をよぎったが俺が去ってから3日しか経過していないのと、サヤに渡した水晶からの反応が無い所を見ると違うなとすぐに考えを改めた。


 こういうのは聞いてみるのが一番いい。そう思った俺は比較的傷などが少なくかつ、表情を見て疲労感が他の人よりも幾分少なそうな男性を選び、聞いてみる事にした。


「ちょっといいか?」


「……なんだよ、あんた」


「この街の者だ。あんたらどこから来たんだ?」


「俺らか……メレーザだよ……いや、正確にはだったか……」


「だった……? どういうことだ?」


「うるせぇな……これ以上嫌なのを思い出させるなよ……もう嫌なんだよ」


 そういうと、話しかけた男性は口を噤んでしまった。なんとなく心境を察した俺はそれ以上問いかけるのをやめ、メレーザから来たと言う集団からそっと離れた。


「どうだったの?」


 様子を見ていたソラが結果を聞いて来た。


「メレーザから来たってよ。何があったかは教えてくれなかったけどな、ちょっと()()()()わ」


 まぁ、何が起きたかは薄々察していたんだけど一応確認の為に見て来ることにした。


「見て来る? それってどういうこt―――


 ソラが言い切る前に俺は既に《跳躍》で屋根の上に登り、そこから屋根伝いに少しだけ助走をつけると《風魔法》で一気に空へと飛び立った。

 街を飛び出しある程度の距離を行ったところで今度は《天駆》で移動をする。魔法で飛んでいた速度のおよそ2倍近くの速度を出し俺は北を目指した。ちなみにだが、魔闘大会の時に出した速度ほどでは無いので時速はおよそ200キロ程度となる。



 メレーザの名前は聞いたことあったが実際に見たことは無い。聞いたところによれば盆地にあるアルダスマン国の首都として機能している街でエルシオンなどとは比べものにならないくらい綺麗に舗装された町並みだと聞いている。


 だが、先ほどの人々の様子や、男性の様子を見るに今メレーザでは決して良い事は起きていないだろう。


 何があっても覚悟してみようと決心しているとき、俺の視界の隅っこから煙が上がっているのが確認された。


「なんだあれ?」


 俺は少し予定航路を外れて見に行くことにした。


 少しずつ煙が発生している場所へと近づいていく。それにつれ血生臭い匂いと多数の声が混ざった不快な声が聞こえて来た。


「!?」


 そして、目視できるほどに近づいたとき、俺の目に飛び移ったのは人と魔族が戦っている光景だった。


 石でできた城を囲うかのように魔物が飛んでおり、地面も多数の魔物で埋め尽くされており城は完全に包囲されている状態だった。


 塔の頂上で何人かの兵士が魔法や矢で応戦している様子が見えた。だが、次の瞬間その塔へと何百もの魔物が襲い掛かり塔の天辺の姿はこちらからでは確認出来なくなった。


 そして次に塔の上が確認できた時には、そこには人の姿は無く代わりに赤い液体が布きれ? 見たいなものと共に流れ落ちている様子が見えてた。


(魔族の軍隊みたいだけど……爆炎筒は無いのか?)


 俺は城を囲う魔物たちを見ながら思った。これまで襲ってきた軍隊では全てにあった爆炎筒がここでは見られなかった。

 どうやら、量産はしているようだが数自体には、まだまだ限りがあるようだ。


 などと分析していると。



―――グギャアォォォォォッッッ!!



 耳をつんざくような声が聞こえたかと思うと城を囲っていた魔物たちが一斉にこちらを向いた。


 ……やばい、近づきすぎた……


 慌ててブレーキをかけ止まる。魔物は人の姿をしているが龍の翼を持っている俺を見て敵か味方か判断するかのようにこちらをギロリと睨んでいた。俺も彼らから見ると魔物に見えているのかもしれないな……。


 ……などと思っていると。



―――ギャオォォォッッ!




 何かの叫び声と共に一斉にこちらへと向かって来た。


 数にして80ちょっとか……こちらに向かってきたのはおよそ1割ほどで、残りは相変わらず城を包囲していた。

 実は歓迎しています的なノリを期待したかったのだが、向かってくる魔物のほぼ全員の目は完全に逝っており(色々な意味で)どう見ても歓迎ムードには見えなかった。というかあの様子を見るに警戒を通り越して俺を殺す気満々だよな?


 魔物にそんな友好的な事を期待する方が馬鹿なのかもしれないけど、魔族みたいにもう少し理性を持ちましょうよ。


 じゃないと……無駄死にするぞ。


 さっと魔法陣を開き向かってくる魔物に片っ端から《炎銃撃(フレイム・マグナム)》をぶち込んでいく。魔物に当たった瞬間強烈な爆炎と共に周囲の魔物も巻き込み、その爆発に巻き込まれなかった魔物もその強烈な風にバランスを崩すものが多数いた。

 そうやって身動きが取れなくなった魔物に容赦なく《炎銃撃》を食らわせて行く。その音や衝撃に城を包囲していた魔物も気付きこちらを向いているのが少しだけ見えた。


 そうやって、およそ80程度の魔物は一瞬で灰になり風に流されていった。


 何が起きたか分からない様子の魔物たち。だが、煙の向こうから俺の姿だけが見えるや否や城の包囲を解きこちらに一斉に向かって来た。


 ああ、面倒なことになっちゃった……。


 時すでに遅し後悔しても時間は戻ってきません。


 取りあえず向かってきた魔物に《炎銃撃》をぶつけ掃討を始める。まだまとまった戦力がある敵に向かって掃討とは語弊がありそうだが、俺からしてみればこの程度の相手は片手間に近いので問題ないだろう……多分。


 既に開戦から僅か1分たらずで次々と撃ち落されていく(敵からしてみれば消されているに等しい)同士を見た魔物の何体かが俺に向かってくる事を躊躇し始めていた。

 本能的に俺が危険だと判断したんだろう。賢明な判断だと俺は思うよ。


 だが、ここまで来た以上お前らを逃がすなんて考えは持ち合わせてないので、相手を間違えたなと心の中で合掌しておき、消しにかかる。



「ニゲロ! カテルワケガナイ!」


「バ、バケモノダァ!」



 魔物たちのそんな声が聞こえて来るがお構いなしに攻撃を続ける。既に大多数の魔物が討ち取られ残りはあとわずかになっていた。

 ついでなのであの攻撃されている城も助けてあげるかと、俺は数が減ったことで空いた魔法陣のいくつかの標準を地上の魔物たちへと向ける。


 ソフトボールほどの火球が今度は地上の魔物へと襲い掛かる。

 俺がいる位置ははるか上空かつ、城からそれなりに離れた位置にいる。地上の魔物からしてみれば豆粒程度の何者かが小さい火球を撃ちだしたかと思えば、当たれば大爆発を起こし木端微塵にされるのでまさに一方的な暴力であった。

 爆炎筒の無い地上の魔物に俺を攻撃する手段はおそらくだが無いはずだ。つまり、ゲームで言うところの一方的な作業ゲームと言う名のボーナスステージに入っているようなものだ。


 一方的な攻撃に地上にいた魔物たちの士気は一気に地に落ちた。城を囲っていた包囲網を解き周囲にある森の中へと隠れて行く。


 だが、《マップ》を持っている俺には無意味な行動だ。


 魔物が隠れた場所をピンポイントで狙い撃つ。隠れた者からしてみればまるで、最初から分かっていたかのような攻撃にただえさえ落ちていた士気は完全に失われてしまった。

 そして、それと同時に空の魔物たちの数ももはや数えきれるほどにまで減り、城のことなど意に介さない様子で逃げて行く。


 そんな彼らも容赦無く撃ち落とし、終わってみれば魔物はほぼ全滅という結果に終わっていた。


 城の中からこちらを見て何かを叫んでいる様子が見えた。もっとも、彼らからしてみれば俺など豆粒みたいにしか見えないだろうが、俺は《千里眼》でしっかり見えているけど。まあ、この距離なら俺の事なんざ見えていないだろう。


 本当は、治療もおこなってあげたいのだが今の俺が近づいたら面倒なことになるのは目に見えているので、俺はさっさと元の進路へと戻った。何故ならこの翼があったからだ。


 殆どは人の形をしていようが、この翼でたぶん人間に化けた魔物とか言われるんだろうな。


 さて、寄り道してしまった分を取り戻すべく俺はメレーザへと移動を開始するのであった。










==========


「ほ、報告です!! 城の西側に謎の物体が出現し包囲していた魔物どもを殲滅しました!」


 その報告にフォート城内にいた将兵たちは全員唖然とした。


 死を決していた。既に城は包囲され援軍も期待できない。敵の飛行部隊に殆ど手も足も出ずに城へと追い込まれ地上の敵部隊による攻撃に城はもはや持ち堪えそうには無かった。


 そのような状況下から一転し、魔物たちの敗走。その報告に唖然としない方がおかしいであろう。


「そ、その物体とやらは何なのだ!?」


 当然、その話になる。


「そ、それが遠くて我々の目では確認をするのは無理でした……」


「では、その物体は今どうなっている?」


「北への移動を始めたのを確認しました」


「北……メレーザ方面か!?」


「は、はい! その模様です!」


 将兵の間で様々な憶測が飛び交う。ある者はセラの化身では? といい、ある者は無差別に殺す敵の新兵器とも言った。

 そんな中、一人の女性は口を噤んだままボーとある方向を見ていた。彼女は第1遊撃部隊の隊長の名に相応しい白銀の鎧に身を固めていたが、右肩から後の部分が無く、代わりに寂れた鉄の肩当が無くなった右腕部分を隠すかのようにかけられていた。


「……ミーロ隊長?」


「……」


「……ミーロ隊長!」


 将兵の声にビクッと震え、我に返っるミーロ。


「ミーロ隊長はその物体とやらを何と思われますか?」


「……さぁね……どちらにせよ私たちは助かった……そう考えるべきじゃない?」


「そ……そうですね」


 ミーロは再び視線をある方向へと向ける。


(……彼は一体……?)


 遥か彼方へ飛び去っていく()()()()()()()を見て彼女は、感謝と畏敬の念を感じるのであった。

 フォート城を覚えて下さっていた人はどれくらい、いるでしょうか?

 覚えていた方には今ならサヤからのご褒美が待っていまs……おや、誰か来たy……うわっ! 何をするやm、アー!


 ※覚えていても何もありません。ご了承くださいm(_ _)m

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