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【異世界転生戦記】~チートなスキルをもらい生きて行く~  作者: 黒羽
第4章:アルダスマン国の崩壊
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第140話:リネアの意外な

 ※ 5/30 誤字を修正しました。

「それにしても、どうしたらいいやら……」


 まだ、約束の30分までは時間があるので、校庭の隅でリネアと一緒に座って校庭にいる生徒たちをボーと見ていた。何人かが魔法を撃ちあっているのが目に見えた。いや、普通に暴力だよなそれ?

 案の定、教師が何人か止めに入っていく様子が目に見えた。


 あいつらには魔力訓練を行うとか言ったけど、改めて考えるとアホすぎる。時間があるなら未だしも、下手をしたら数日で出発させられる可能性があるのに、そんなことをやってられる悠長な時間など、無いに等しいんだぞ?


 でも、口で言っても駄目、体で……うーん、あの襲撃を見てもあんな事を言うんだからなぁ……並々の体験じゃ話にならないだろうな。


「? クロウさんどうしたのですか?」


「いや……躾けって難しいなって」


「そんなものですよ。戦いを理解していない人たちなので仕方が無いのかもしれませんね」


「そういえば、リネアは俺があんなことをしたのに何も言わないのか?」


「そうですね……私も確かに何もないと言えば嘘かもしれませんが、それでも皆で生き残る為には時には鬼になる必要もあると私は思いますし、クロウさんが進んでやっているとは思いませんでした。それに自分の無力さも私は承知していますから……クロウさん、そしてサヤさんやエリラさんを見てそれは痛いほど身に染みています」


 あーうん。そうだね。でも俺やあいつらは規格外だと思うんだ。


「それに……クロウさんは私の師匠ですから」


 隣でリネアが真面目な顔で言ってくるので、少し恥ずかしくなる。師匠って言う人柄じゃないんだけどなぁ。サヤにもなんか師匠認定されているしどこで、こうなったやら……。


「ありがとな……でも、師匠だったとしても間違えていると思うなら言ってくれよ? 師匠だって完璧じゃないんだからさ」


 自虐発言をして思わず苦笑いをしてしまう。いや、ホントマジで俺、人に教えるのって苦手なんだよ。


「そんなこと滅多にありませんよね? でもそうですね……その時は遠慮なく言わせてもらいます」


「ああ、そうしてくれ」


 自分の事なんか他人から見てもらわないと分からない箇所って多いからな……。他人から意見をもらう事は大事な事だ。


「……そうだ。リネア」


「はい? なんでしょうか?」


「リネアがさ、あいつらに言う事を聞かせるんだったらどうやってする?」


「私がですか? ……そうですね、やっぱりまずは集団で行動する大切さを言いますね……って言ってもそれが駄目なんですよね?」


「まあ、そうだな。少なくともレミリオンみたいな奴には何を言っても無駄だろうな」


「じゃあ、次は実際に体験したことから説得をしてみてらどうですか? 実際にあったことなら少しは現実味を帯びてきますよ」


「うーん……」


「クロウさんの中で、インパクトが強い思い出とかないのですか?」


「そうだなー、龍としゃべったことや、龍族の死骸の山を見たことや、魔法でやり過ぎてクレーター作ってしまったこととかかな?」


「???!?」


 目を白黒させているリネア。うん、分かるわけないよね。てか、分かったら分かったらでそれはまた、恐ろしいしな。


「想像できるか?」


「い、いえ、私にはとても出来ません……ていうか、それ本当のことなのですか!?」


「誰にも言うなよ?」


「は、はい……でも、どこでそんな光景を?」


「まあ、色々合ったんだよ俺も……」


「そうですか……ちょっと信じられないですね……」


 アレ。これしゃべってよかったのかな? まあ、リネアなら大丈夫だろう……多分。


「それにしても、やっぱり思い浮かばないなぁ。体に覚えこませようとしても時間がなぁ……」


 そう、何をやるにしても時間が足りないのだ。時間があれば某軍人さんみたいな地獄のトレーニングか何かで洗の……ゲフンゲフン、叩き込むことが出来るんだけどなぁ。

 結局は、国からの返答次第と言う事になるのか。


「身体に覚えこませるのが一番早いとは思うのですけどね。授業でも座学より実践の方が私はよく見に付くような気がします。もっとも、私は実戦は失敗ばかりでしたけど」


「そうだな。あんなに誤射ばっかりしているんだからな。でもまぁ、最近は大分良くなっては来ているじゃないか」


「はい、お蔭さまで。何度もご指導してもらいましたから」


 やっぱり、反復って大事なんだな。繰り返しやることで体に染みつくんだろうな。


「反復……実戦……体験……」


 ……そうだ!


「……やってみる価値はある……か?」


「? いきなりどうしたのですか?」


「いや、ちょっと良い事を思いついたんだ。だけどかなり危険な行動なんだよな……」


 ある意味一番怖いかもしれない。てか、俺自身もこれを実行するのは楽じゃないぞ……。やってみるのは初めてのことだし、何より一個につきどれ程の魔力を消費するか全く見当がつかない。


 そして、一番危険なのはこれを行ったことによる怪我だ。俺が回復させれば一番早いが、俺が瞬時に回復させてしまうことで、「怪我しても大丈夫」と駄目な思いを抱かせてしまう。それに甘んじて回避行動などを怠ってしまう危険があるからだ。そんな癖が付いてもらっては大変困る。ますます、俺依存が激しくなるからだ。


 そうならないためには、俺が回復させなければいいだけなのだが……。


「どんな危険なのですか?」


「……色々かな。下手したら死人出るかもしれないし」


「……やってみてはどうですか?」


「はっ?」


 思わず発言に口が開いてしまう。


「もう時間もないのなら、一か八かでやってみてはどうですか? あの時だって《自動防御》を付けていない人が死ぬ覚悟でやったのでしょ?」


「そうなんだけどなぁ……」


 チラッと目線かえ、特待生組たちを見る。あいつらになんて言うべきなのだろうか。絶対反対するだろうしな。


 そんな、俺の考えが読めたのか、はぁ、とリネアはため息を吐くと、急に俺の両肩をガシッと掴み、無理やりリネアの方へと向きを変えられてしまった。


「大丈夫ですって! 勝手にやればいいのですよ! クロウさんは司令官なのですよ!? クロウさんが遠慮していたらダメでしょうが!」


 初めて見る彼女の気迫にやや押され気味になる俺、薄紫色の綺麗な瞳は力強く俺をしっかりと見ていた。その目を見た俺はああ、俺ってこういうのに弱いよなぁと心の中で呟いてしまう。


「反対されたら今度は私も味方をします! だから思いっきってやってください! 例えどうなろうとも私はクロウさんの味方です!」


「……ああ、分かったよ。ありがとうな」


 まぁ……背中を押されるって悪い事じゃないな。今日は彼女たちに支えられてばっかりのような気がする。彼女たちの意外な一面も見たが、俺なんかよりしっかりしているなぁと思ってしまう。


「いいえ、サヤさんもさっきも言ったじゃないですか。クロウさんは私たちの師匠なのですから。弟子が助けるのは当然の事ですよ」


「はは、当然か……な……?」


 と、その時徐々に生徒たちが元居た場所に集まりだしているのが目に見えた。どうやら約束の30分にもうすぐなるようだ。


「さぁ、行きましょう」


 リネアは立ち上がると、俺に手を差し伸べて来た。あれ、なんでだろ……自分が情けなく見えてきたような……?

 はぁ、全く俺が助けられてどうするんだよなぁ。


 だが、忘れていたな。人は一人では何も出来ないってことを。

 あまりに、チートじみていたので、すっかり忘れてしまっていた。


 俺は少しだけ、笑顔になると彼女の差し伸べた手をしっかりと掴み立ち上がるのだった。


 あれ? 私の心の中でリネアの評価がとんでもない勢いで上がっています。

 書きながら、リネアへ一言。『健気すぎるで、あんた……』


 私はこういう子、大好きです(キリッ)

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