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第14話:奴隷

 ※8/26 誤字修正をしました。

 ※8/27 以下を修正をしました。

    ・誤字修正をしました。

    ・魔法《氷面・針アイスフィールド・ナイフ》から《氷面・針アイスフィールド・ニードル》へと変更しました。

「はっ? どういうことですか!?」


「言葉の通りだ。本来登録抹消された奴は各ギルドに通達される。そしてその登録リストは商会ギルドにも通達される。わかるか?」


「……普通の店などが使えなくなる?」


「そうだ、まあ識別装置見たいなのがあるわけじゃないから普通に使ってもバレないがな。バレたらそんな奴お断りだろ? 店で買うことが出来ないのなら自力でなんとかするか……賊になるかだ」


「……登録抹消ってそんなに恐ろしい事なのですか?」


「当然だ。ギルドランクも実力だけじゃない、そいつならギルドの威信を背負っても問題ないと判断してからランクを上げるのだ。依頼に失敗すればそれだけギルドへの信頼が落ちる。大きな依頼になればなるほどその落差は激しくなる。それを防ぐためにはそれくらいのことをしなければならないのだ」


 怖いな。正直ここまでやばいとは。犯罪犯してもまだやり直しがいくらか効く日本とかどれだけよかったんだよ。俺も気を付けておかないとな。


「エリラも本来の実力はD~Cほどある」


 マジで!?


「だが、お前もわかっただろうが、あまりにも短気すぎる上に感情的になりすぎるため上位の依頼は失敗する確率が高くなる。そのため昇格できないのだ」


「なるほど、今回の昇格試験官は……ガラムさんの慈善ということですか?」


 ガラムが苦笑する。どうやら図星だったようだ。ガラムさんいい人だな。


「だが、今回のことはもう見過ごすことは出来ない。隠す気になればいくらでも出来るが、ワシはそんなことなどしたくない。そんな前例は許さない。許したら最後次世代にまで影響を及ぼすからだ」


 ガラムが苦虫を噛み潰したような顔をする。彼も本意ではないのだろう。だが自分の感情を持ち込んではいけないとわかっているのだろう。さすがだな俺には絶対できないことだ。


「……それで奴隷とはどういうことですか?」


「ブラックリストに登録された人普通店などには非常に使いにくくなるのはわかったな? そしてブラックリストは出回る」


「……なるほどわかりましたよ」


「ほう、今のでか?」


「ええ、名前さえわかれば《分析》スキルで名前を当てることぐらいは容易いでしょう。そしてそのような人物は世の中から相手されない。そして闇に潜む奴らはそんな奴らを手駒にする。感情的な奴なら爆弾持ってブラックリストにしたギルドに突撃する奴ぐらいいるんじゃないですか?」


「……おぬし実は5歳児に化けた獣族じゃないのか?」


「いえ、ただ知識として持っているだけです」


 戦時中の特攻だけどな。洗脳教育とは恐ろしい。


「だが奴隷ならそうはいかない、奴隷になるということは必然的に主に指示されない限り悪いことも簡単に出来ないし、他の奴らも手をだせない。奴隷にも所有権があるからな。そして宿や商会に行くときも奴隷は物として扱われるのでブラックリストになってても関係ない。まぁ店主がどう思うかはわからないがな。少なくとも表面上は大丈夫だ」


「……それって俺に面倒見れということですか? 5歳児にですか?」


「もうおぬしが5歳児と言っても説得力などないわ。それにおぬしもこのまま自分のせいで抹消されるのが嫌だから助け舟を出したんだろ?」


「それはそうですが、私は家とか持っていない新米冒険者ですよ」


「ああ、だからお前ばかりに負担はかけない。まずギルドランクをCに上げる」


「……はっ!?」


「言ったようにエリラはギルドランクCにも匹敵する実力者だ。そしておぬしは一撃で沈めた。実力は充分。そして今までの会話からおぬしに上げても問題ないと判断したまでだ」


「入って2日の5歳によくそんなことさせますね」


「逆にいえば5歳に年上の暴れ馬を渡すのだ。それだけのことをさせるのだ」


 こいつをかぁと後ろを振り向く、エリラは完全に硬直している。まるで時間が止まった感じだ。一方の受付嬢も顔が引き攣っていた。なるほどこの顔から察するに飛び級は完全にギルドマスターの独断のようだな。


「で、それだけですか?」


「あとは当面の生活資金を貸そう。貸すだけだからな?」


「貸すだけですか、それにしてもいいのですか? ギルドランクなど飛び級させて」


 それこそ問題アリそうなんだが。


「問題ない飛び級自体は1年間に何人かいるからな特別な恩賞とかでな」


 ここに来て俺は改めて考えることにした。

 確かにこのままエリラを見捨てるのは後味が悪い、それは事実だ。だが見た目5歳児の俺に果たしてそんなことが出来るのか? 肉体だけではない、知識も所詮は両親から受けただけの焼き付け刃だ。

 それにもっとも大問題なのはこいつ自身だ。


 エリラ。さっきの戦いやこれまでのガラムの言葉からわかるとおり、かなりのじゃじゃ馬のようだ。こんな奴を近場に置いてたら面倒なことこの上ない。しかも俺の最終目的を考えた場合このような感情的な人物はまずい以外に何でもないのだ。もちろんこいつが種族を気にしない特別な存在かもしれないとも考えたが、たぶんないだろうなと思った。

 

 うわっ、こう考えたらデメリットだらけじゃねぇかよ。メリット一つもねぇ! オマケにブラックリストとという大爆弾付きとか。


 唯一のメリットはランクが飛び級で上がるだけか、だけどそれなら時間が多少かかっても出来ることなのでいい気がする。


 ……よし、ならこの条件をぶつけて試して見るか。


「なら、こちらも二つ条件を出していいですか?」


「ほう、言ってみろ」


「一つ、今後、なんらかの問題が起きた場合ギルドが後ろ盾になってもらうこと。犯罪を犯したなどは無視してもいいけど、こんな爆弾抱えたままだったら何が起きるかわかりませんからね。あくまで出来る範囲でいいですよ」


「なるほどな、まだおぬしには重いか」


「重いですけどそれ以上に保険が欲しいのですよ」


「面白い奴だ、いいだろうで二つ目は?」


「この街に私専用の鍛冶屋を作ってもらいたいのです。作る資金は足りないので生活費同様借りるという形でお願いしたいのですが」


「鍛冶屋だと?」


「ええ、私こう見えても鍛冶屋とか錬金に興味があるんですよ。もちろん錬金などは出来る保証はありませんが、鍛冶屋なら練習次第でいくらでも出来るでしょう?」


 まぁ、本当の理由を言うと魔法剣を作るのに場所がいるんだよね。魔法剣ってかなり貴重らしいから大量生産したらやばいことになるよな。

 まぁ最終的な活用方法は考えているんだが。


 ちなみに魔法剣なら簡易版をすでに作ってある。と言っても木剣に魔方陣を書き込んで魔力を入れるのだ。

 魔法制御と錬金術を活用して作るのだが、試しにアレスにさせてみたら「こんな緻密な作業同時進行で出来るかぁ!」と叫んでやめたのを覚えている。

 木に彫るんなら、風魔法で掘ればいいだけなんだけど、鉄とかの場合は内部に埋め込む式にするから炎を操作しながら鉄の形を維持して魔方陣を組み込むという作業を踏まないといけないのでこれが出来ないと始まらないのだ。

 ちなみに内部に埋め込む理由はこっちの方が大掛かりな魔方陣を書きやすくなるのだ。どうしても強度的にこっちの方が上になるのだ。


「なるほど、わかったそれくらいはやってやろう」


 マジか!? 正直こんな俺にここまでやってくれるとは思ってなかったんだが。俺の心の中を読んだのか笑いながら本当の理由を言った。


「おぬしには期待しているのだ。先行投資だと思えばいい。逆に期待を裏切らないでくれよ」


 なるほどね、そういうことか。


「逃げ場が無くなりましたか……」


 やれやれ、ここまで条件を飲まれるとやらざる得ないよな


「わかりました。この暴れ馬引き受けますよ」


「そうか、ならこちらもおぬしの願いをしっかりと叶えてやろう」


 



 こうして俺とガラムの初めての対面が終わった。なおエリラは終始その様子を見た後、「死んでやる!」とか叫びながらどこかに行きそうだったので、ガラムに強制的に阻止された。ちなみにその後も文句を言っていたがガラムの「拒否権があるとでも思ったのか? それとも解放されて無駄死にするか望んでもいない奴隷になるか?」の言葉で黙ってしまった。

 まあ俺の奴隷になるのも望んでいないだろうが、変な奴の駒になるよりはマシだろうと考えたのだろう。同時に「まだ生きたいんだろうな」とも思った。だって無駄死にするとか言うあたりで涙目になっていましたもん。


 その後どこから連れてきたのか知らないがなんかフードをかぶった男をガラムが連れてきた。




 

「誰ですか?」


「奴隷との《契約》をするものだ」


「契約?」


「そうだ、主との約束事を破れば部下にはそれ相応の罪が来る魔法だ」


 危険すぎない!?


「国がそんなことまで認めているんですね」


「何をいっている? こんなのどの国にでもある当たり前のことだ」


 当たり前なのかよ!? やばい日本の常識とかもう本当に役に立たないなおい。


「まあすぐに済むから待ってろ、始めてくれ」


「わかりました。ではこれより《契約》を行います。契約の内容はこのようになっております」


一、主の言葉は奴隷にとって絶対である

一、主に反抗することは認められない

一、奴隷は主に絶対的な忠誠を誓うこと


 うわぁ……ひでぇ内容だ。でも今はこれをやるしかないか。


「わかりました」


「では契約を始めます。エリラ、主をクロウとし絶対的服従を誓いますか?」


 一応、相手の思いも尊重するのか?


「……はい」


 いや、その顔絶対誓わないだろ、お前。


「……《契約》」


 体が一瞬光ったかと思うとすぐに元に戻る。 あれ? これで終わり?


>スキル《契約》を取得しました。


「これで終わりです。では簡単に説明します。奴隷となった者にはどんな命令でも自在に動かすことが出来ます。もっともその人の体が持てばですが。そして主に反抗しようものなら、奴隷は首を絞められるような痛みに襲われ、なお反抗しようものなら……死あるのみです」


「……肝に銘じておく」


「なお、補足をさせてもらうとダンジョンないで主が死に奴隷が生き残っていた場合、その奴隷を連れて帰ればその奴隷の主は連れて帰った者の物になります。ちなみに生きている人から奪ったのならギルドのカードや奴隷者のステータスに乗るので出来ません」


 便利だなギルドカードとステータス。一応エリラの称号欄を見てみる。称号とは特別条件のことだ。いくつかの称号は普通のスキルでも見れるらしいが、ある程度高ランクになるとかなり高レベルなスキルレベルが必要になるらしい。まあ俺は看破されないらしいから関係ない話だが。


 と、話がそれたな。でエリラのギルドカードには


称号:《クロウの奴隷》


 と書かれていた。マジで俺の奴隷になったんだな。


「では後は頼んだぞ」


 そういうと俺に当面の資金50万Sを渡してくれた。ちなみにこの世界の通貨の価値は大体10円=1Sぐらいだと思う。まあ価値観が違うからすべてがそうだとは考えれないが。


「50万Sですか、かなりの量ですね」


「何をいっておる、おぬしならこれくらいすぐに稼げるだろう」


 かもしれないけどね……


 こうして昇格試験に来ただけなのになぜか鍛冶屋と奴隷をもらっちゃうという濃密な一日は終わった。







 宿に戻っているときだ。


「ねぇ、なんであな……ご主人様は私を助けたのですか?」


 エリラが俺に聞いてきた。ご主人様って……おそるべし《契約》スキル。


「別に理由はありませんよ。あの人が言ったように後味が悪いと思っただけですので、あと話し方は普段のエリラさんで結構です、私も素の自分の話し方で話しますので」


「し、しかし」


「命令」


「……」


「わかった。で、何で助けてくれたの本当にそれだけ?」


 うん、やっぱりこっちの話し方の方がしっくりくるな。まだ出会って半日だけどこっちだと思う。


「ああ、それだけだよ」


「……馬鹿みたい。お人好しすぎない?」


「それで結構。俺はそうやって生きて行くつもりだしな、あんたも生きたいんだろ? だから年下で子供の俺の奴隷としてでも生きることを決めた」


「……」


「お前はすごいと思うよ。解放されても生きることが出来る可能性もあったからな、まあ無難にとも考えれないこともないけどな」


「なんでも見透かしている……か」


「そんなわけないだろ? ただ何となくそんな感じがしただけだ、おっ見えてきたな」


 宿屋《猫亭》が見え来たので俺は話を切った。 さてこの後の問題だがエリラの寝るところだ、人だから普通に宿でいれても問題ないと言っていたが俺としては部屋は分けておきたいんだけどな。まだ体が発達していないから反応していないが、エリラは美人になる宣言できる、今でもしゃべらなかったらかわいいんだけどな。そうなったらモンモンとなっちまう、俺のキャノンが立ってしまう。



 案の定宿の店主には「奴隷に個人部屋!?」と驚かされた。しかも主人と同レベルの部屋なのでなおさらの驚きだ。いや俺としてはどうでもいいんだけどな。

 エリラも「ありえない」とのこと。


 まぁそんな二人の意見を平然と無視して俺は部屋の追加を頼んだ。50万Sは全部エリラに使ってあげるつもりだからお金は問題ない。







 次の日、俺とエリラはとある依頼で火山に来ていた。依頼はCクラス。炎亜竜(レッドリザードン)を討伐する仕事だ。レッドリザードンは前、訓練中に出会ったことがある。

 赤いトカゲで口から火を吐くのが特徴的だ。まぁ一撃で沈めたんだけどな。


 場所はエルシオンから南に10キロ地点にあるバルケノ火山だ。討伐部位は尻尾らしい。まぁそれは問題ないんだが。


「……熱い」


 問題はこの暑さだ。


「当然でしょ火山なんだから……」


 エリラは涼しい顔で進む。ちなみに昨日エリラのステータスを覗いて見た。


――――――――――

名前:エリラ・フロックス

種族:人間

レベル:24

筋力:580

生命:430

敏捷:600

器用:550

魔力:390

スキル

・固有スキル:―

・言語スキル:《大陸語》

・生活スキル:《倉庫:3》《換装:4》《調理:5》《野営:4》

・作成スキル:《武器整備:4》《防具整備:4》《装飾整備:4》

・戦闘スキル:《身体強化:4》《見切り:4》《気配察知:4》

       《回避:5》《状態異常耐性:3》《斬撃強化:3》

       《威圧:2》

・武器スキル:《細剣:6》

・魔法スキル:《水魔法:4》《暗記:3》

・特殊スキル:―

・特殊能力 :―


・ギルドランク:凍結


称号

・《クロウの奴隷》

          etc…

――――――――――


 《水魔法》か、なるほどなこの火山では有利に戦えるな。あとこいつ自分の周囲を魔法で涼しくしているな。


「お前、水で涼しくしているだろ?」


「えっ、なんでそれを?」


 魔力支配の効果で見えてるからな。


「直感」


「そうよ、水魔法を操作すれば出来るようになるわよ。まぁあなたは炎魔法を持っているからそっち方面の能力で耐性があるんじゃないの?」


 いや、あるけどさやっぱり熱いよ。エリラがこっそりドヤ顔をしている。いや俺も出来るよな? 俺は水魔法を凍らせて周囲に薄く張ってみる。


「おっ、なるほどな」


 涼しくなるな。もっとも維持するのに魔力を消費するのであまりに長時間は行けないよな。

 普段細工を作る以外にやっていなかったからな、逆に寒いところには炎で同じようなことが出来るな。


「えっ、あなた今何を……」


 おっさすがCクラスに匹敵する元冒険者だな。もう気づいたのか。


「あなた火魔法使いだよね? なんで?」

 

「何って水を凍りに変換して薄く張っただけだよ」


 まるで簡単にやってますよ的な発言にエリラが唖然とする。


「今なんて……氷? えっ相対魔法?」


 あっ、そうか相対する魔法は普通は使えないんだな。まっこいつは奴隷だからいいか。


 ちなみに《契約》スキルを取得したのでいつでも解除することは可能だが、ブラックリストなので出来ないでいる。


「あ~そうだけど」


 エリラから反応が返ってこない。ただ何かつぶやいているように見えた。


「あ、ありえない……水魔法の超上位にあたる氷をいとも簡単に、しかも火魔法まで使っている……法則完全無視って一体……」


「おい」


「ひ、ひゃい!」


 現実に引き戻したようだな。かわいい声も出せるんだな。


「こんな熱い所に長くいたくないだろさっさと片付けて帰るぞ」


「色々聞きたいんだけど、何であなたは相対する魔法を?」


「なんかできた。俺も理由はわからないんだよ」


「わからないって、あなた今自然の法則無視しているのわかってる!?」


「わかってるけど?」


「そんなにさらっといわないでよ……」


「そんなこと言われても仕方ないだろほら行くぞ」












「見つけた」


 火山の洞窟内。いつマグマが噴き出ても可笑しくない気がするんだが。その中にレッドリザードンがいた。


「よし、やるか」


 と、俺は出ようとするがあわててエリラに止められた。


「何言ってるの!? レッドリザードンに正面から挑む気!? 死ぬ気なの!?」


「えっ、かわいいもんでしょ?」


「か、かわいい!? 何言ってるの!? あの鱗には私のレイピアは通用しないのよ。魔法で遠距離から仕留めないと!」


「いや、面倒。じゃ待ってるか?」


 その言葉にエリラは二日連続の硬直を起こす。まぁ確かにレッドリザードンの危険度ってCで鱗の強さは鉄クラスだったけ? ただし魔法耐性がほとんどないから水魔法で倒すのが普通だっけ?


「わかった、じゃあ遠距離で仕留めるぞ」


「へっ、わ、わかった」


「で、お前はあれを倒すには何発撃つ必要がある?」


「えーと……全力で5発ぐらい」


「で、全力でどれくらい撃てるんだ?」


「……10発かな」


「2匹だけかよ」


「な、何言ってるの!? こう見えても魔力量には自信があるのよ!?」


「じゃあ、あれどうする?」


 俺が指さした方にはレッドリザードンが……10匹ぐらいいた。増えている。ちなみに気配察知ではまだまだいるようだ。


「……」


 あっ、エリラが完全に思考停止してしまってる。


「繁殖期だったんかな? こんな狭い洞窟でよくいるよ」


 洞窟内の大きさは高さ10メートル。幅5メートル程度の大きさだ。レッドリザードンがいるところは比較的広いがそれでも全長4メートルになるレッドリザードンには狭い気がする。


 一匹のレッドリザードンが俺らの方を見ている。おそらく警戒しているのだろう。


「ほら、エリラ先輩どうすればいいのですか~?」


 半分冗談声で聞いてみる。


「……」


 返事が無い、ただの屍のようだ。


「……」


 おお死んでしまうとは情けない


「……」


 ……ドラ○エネタを脳内で再生しても仕方ないな。


「に、逃げるわよ!」


 エリラ、0(ゴールド)を払い復活。


 あわてて逃げようとしたエリラを制止し、俺はジト目で見つめる


「……ど、どうしたのよ、早く逃げないと」


「その逃走を不可能にしたのは誰だ?」


 と、来た道を指す。そこにもレッドリザードンがいた。数は5匹ほどだ。どうやらエリラの叫び声で出てきたようだ。


「……ああ、短い人生だったわね」


「おい、勝手に終わらせるな」


 一匹のレッドリザードンが雄たけびを上げると一斉に襲い掛かってきた。


「ああ、もう無理だこの状況で……」


 レッドリザードンとの距離残り5メートル。


「だから―――」


 残り3メートル。


「勝手に―――」


 残り1メートル


「終わらせるな!!!!!!」


 地面に手を当て一瞬で創造をする。イメージは銀世界とつららが立っている洞窟。


「《氷面・針アイスフィールド・ニードル》!!」


 一瞬であたりが銀世界になり一気に気温が下がり、同時に地面や壁から氷の針が四方八方から襲い掛かる。


 それらの針はすべてレッドリザードンの脳天を的確にとらえ、生命活動を止めた後とどめを刺すため全身に突き刺さる。氷の針はレッドリザードンの鱗を軽々と貫いた。


 氷の刃は血しぶきも凍らせた。だがなぜかクロウとエリラのいる場所は決して凍ることはない。




 こうしてレッドリザードンとの対決はわずか3秒で決着がついたのである。

※アドバイス、感想などありましたら気軽にどうぞ

※誤字脱字がありましたら報告お願いします。


いつもアドバイス、報告してくださる皆様に本当に感謝です。ありがとうございます。

そしてこれからも応援よろしくお願いいたします。


===2017年===

12/05:誤字を修正しました。

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[気になる点] 誤字報告 誤:「……それって俺に面倒【見れ】ということですか? 5歳児にですか?」 正:【見ろ】 誤:「なお、補足をさせてもらうとダンジョン【ない】で主が死に奴隷が生き残ってい…
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