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【異世界転生戦記】~チートなスキルをもらい生きて行く~  作者: 黒羽
第4章:アルダスマン国の崩壊
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第129話:ハルマネ攻防戦1

 就活が落ち着いたので、そろそろ元のペースに戻したいなと思っています。感想欄で書かれていますが、「られる」などの表記がおかしいとのことで、勉強の時間も欲しかったり。


 ※ 5/13 誤字を修正しました。

 出発の日の早朝。まだ陽は顔を出していない時間の事だった。


 クロウは魔法学園の近くにあるとある宿屋に泊っていた。出発の時間は昼だったので、まだ眠っているときの事だったのだが。


「……ッ!?」


 突如、体に電流が走りクロウの意識が覚醒する。目覚めたのはいいが、一瞬何が起きたか分からなかったが、ハッと気付きすぐに《マップ》を開いた。

 マップには魔法学園を含むハルマネ全域、及びその周囲2キロ圏内を映し出していた。


「これは……!!」


===INTRUSION!!===

《キルゾーンに敵が侵入しました》


 そのマップの西側の画面隅っこにポツポツと表示される赤いマーカー。さらに、そのマーカーの数はどんどん増加をしており、表示されている数だけでも数百はあった。


 そして、そのマーカーの正体は神出鬼没と噂されている魔族だったのだ。エルシオンの防衛戦時に使用していたのを、まだ設定したままだったのだ。本来なら凡ミスだと嘆く所だったが、今回はこれのお陰で早い段階で敵に気付くことが出来たので幸運と言えよう。


「何でこんなところに……?」


 ハルマネは前線に近い場所にはあったが、それでも前線からはかなり離れた場所にあり、また前線を突破されても地理的には攻撃されない(行軍ルートからかなり外れた)位置に存在するため、守備も殆ど手薄の状態だった。

 クロウが知ったのはもっと後の事だが、この時ハルマネの守備兵700人、魔法学園に駐留している魔導兵(第92話に登場した警備兵)は数十人と足しても800に届かない程度の守備兵だったという。


 クロウは宿屋の窓から外に飛び出すと、浮遊で屋根に登り、マーカーが表示されていた西側に目を凝らす。水平線に浮かび上がる無数の影が見えたが、それ以外はよく分からなかったので、《千里眼》を使い見てみることにした。


 予想通り、無数の影の正体は魔族や大量の魔物たちで、さらに殆どの魔物が冒険者ランクC以上が戦うような敵で、中にはAクラスですらも戦うことを回避したいレベルの魔物まで混ざっている。


「うげっ……マジかよ」


 流石のクロウもこれにはドン引きであった。


 さっきも言ったがハルマネは地理上には攻撃を受け難い場所にある。メレーザとハルマネを結ぶ街道は古くから存在していたが、重要度は殆どないと言うことで長らくの間整備が行われていない旧街道で、ここを通るより迂回した方が早いと言われるほどである。ましてや軍単位で動くなら尚更迂回をした方が良い。さらにハルマネは平原のど真ん中にある都市で攻撃側には非常に有利だが、防御には不向きで占拠をしてもすぐに奪還される恐れがある。それらの理由からハルマネは古くから戦地にならない平和な土地だったと言えよう。

 同時に、平原であるが上に敵を見つけ易いので奇襲も難しい場所であった。そんな場所に態々上級の魔物たちを殺到させるとはクロウも思っていなかったのだ。


 この時、王国軍の戦線は既に反崩壊気味で少数で作戦を遂行できる魔族のいくつかの部隊が戦線を突破してきていた。

 そこから、傷が広がりハルマネの近くの戦線に大穴が空き、そこを突かれたのだろう。


 そう考えてみると、クロウはエルシオンの方も心配になった。龍族の勢力範囲と隣接しているとはいえ、その他の戦線からは遠い場所にあると思っていたが、これではエルシオンの方も襲われる可能性は十分に存在するからだ。


 思わぬところで心配事が増えてしまったとため息を付く。


 だが、憂いている暇は無い。


 魔族がハルマネに到着するまで残り10分足らず。自分だけで迎撃を行うことも可能かもしれないが、マーカー数の表記は既に1千を優に超えており、流石にこの規模を一斉掃射するのは骨が折れそうだった。


「……あいつらに現実を見せるには良い機会かもしれないな」


 クロウの頭の中に学園の生徒たちの顔が思い浮かんだ。

 彼らは戦争を舐めている。いや、大部分の者はそうではないが、ごく一部の者が舐めていれば、それが伝播してしまう恐れがあった。

 被害が出る可能性があったが、昨日来た人に付けさせたアレがあれば多少は抑えられると判断したクロウは、学園へと急いだ。













「とうっ!」


 パリィンと言う音と共に窓ガラスが割れ破片が飛び散る。


「!?」


 中にいた人は何事かと急に窓から飛び込んで来た少年へと視線を向けた。


「窓からすいません。アルゼリカ先生」


 少年は華麗な前転をしてからシュタと着地を決める。その姿はまるで某特殊部隊の突入を思わせる姿だった。

 この日、アルゼリカ先生は今日、出発をする生徒たちの様々な手続きを行っていた。食糧や最低限の防具をすぐに集めたものだから、具体的な数などが結局昨日で終わらず、ほぼ徹夜の形となっていたのだ。


「く、クロウ君!?」


 クロウは自分の服に付いていたガラスを叩き落としながら、アルゼリカ先生の方に近づいていた。


「な、何で窓から!? ここ3階よ!?」


「ジャンプすれば楽勝ですよ。あと窓から来たのは時間が無いからです」


「時間が……?」


「ええ、街の西に魔物と魔族の軍団が向かってくるのが見えました。かなり面倒な魔物の姿も確認しました。最低でもC~D。最高はAクラスです」


「……え゛?」


 何のことか事情が分からなかったのかアルゼリカ先生の動きが止まる。彼女もまた、ここに敵が来るわけないと思っていた者の一人なのだろう。


「言葉の通りです。確認しただけでも数は1千以上。街に到達するまで残り2キロを切っています」


「えっ、えっ待ってどういうk―――」


「話は後です。全生徒を西側へ集結させて下さい、迎撃をします」


 クロウの口から出る言葉にアルゼリカ先生は全く着いていけれてなかった。徹夜気味だってせいもあり脳が回っていないのかもしれない。


 だが、アルゼリカ先生の思考が回復するまで待っている暇は無かった。


―――ズドォン!!


 突如、響く爆音。クロウはチッと舌打ちをし、なおも混乱を続けるアルゼリカ先生の思考はさらにおかしな方向へと進んでしまっていた。「アレ? どういう事? 私誰? ココハドコ?」と一人で漫才でもやっているのかと言いたかったクロウだったが、真っ先に自分がぶち破って来た窓から顔を出し、音が聞こえて来た西側を見てみると、明るくなり始めたばかりの朝には似つかわしい真っ黒な煙と火柱が見えた。


「くそっ! もう来たのか!? アルゼリカ先生! そういう事で急いで生徒を集めてください! 俺は先に行ってます!」


 そういうと、クロウは窓から飛び降りていった。ハッと我に返ったアルゼリカ先生が窓から下を覗いてみると、既にクロウの姿は無く、音を聞きつけた近隣の住民たちがざわざわとし始めているだけだった。

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