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第118話:一抹の不安

 遅れてしまって申し訳ありません。あと内容も進んでなくてすいません。(土下座)


 誰か私に時間を下さい……(切実)

 朝日が昇り、窓からお日様がおはようとひょっこり顔を出した。


 鳥の鳴き声が耳に届いた。


 朝チュン……これだけ聞いたら非常にOUTな想像をする方も多いかもしれない。そう、そこのあなた。


 残 念 だ っ た な !


 昨晩、エリラによってベットから放り投げられるわ、抱き着いてくるわ、結局一晩中抱きしめ合っていたりと壁殴り代行がフル活動しそうな出来事(?)が起きた。

 だけど、なんでだろう。全然ラッキーと感じない。いや、エリラの豊満な胸とかが当たってそういう意味では良かったよ。

 でも、それっていつもの事ですし、皆さん想像してみてください、夜中爆睡中にいきなり放り投げられた時を。

 仕事で疲れている時にそれを受けてみてください。おそらく興奮するより先に怒りが込み上げて来るでしょう。


 ですよね?


 結局、なんだったんだろうな。色々聞こうかなと思ったが、大分うなされていた様だったので深入りしておくのはやめておこうと思う。何かあったらエリラから話して来ると信じて。













「あっ、すいません早朝から」


 リビングに向かってみると何故かミュルトさんがいた。テーブルの上にはテリュールが出してくれたのかティーカップ3つが置かれていた。(なお、客人には紅茶を出すが俺だけお茶である。理由は言わなくていいな?)


 獣族さんたちは取りあえず、見えないところに退避をしたのか、一人も見えなかった。


「どうしたのですか?」


 ミュルトさんと向かい合うように座った俺は、目覚め頭にと一番手元にあったティーカップに手を伸ばし、一口、口にふく―――


「ぼはっ!?」


 口に含んだと同時に盛大に吹き出す俺。周囲に薄い紅色の水しぶきが舞った。

 口一杯に広がる苦い味。そう、言わずも知れたコレは


「そっち、紅茶ですよ」


 冷静なツッコミがテリュールから飛んで来た。ちなみにテリュールは俺が紅茶を苦手としているのは周知の事だ。


 言うのが遅い! と、言いたかったが残念ながらそんな余裕は俺には無かった。


 後ろで必死にエリラが笑いを堪えているのを感じた。ミュルトさんはと言うと、これまた冷静で自分にかかった紅茶を拭いていた。ちなみにミュルトさんも苦手だという事を知って(ry


 てか、ミュルトさん結構かかったけど意外と冷静だな!? 俺の眼には特に顔色を変えることなくポケットからハンカチを取り出して、自分の顔と服にかかった紅茶を冷静に拭き取っているように見えた。


「アハハハハハハ! 何やってるのよっ」


 先程まで笑いを堪えていたエリラが、今度は口を開けて笑っていた。この口から考えるにどうやら、エリラは俺が取ったのが紅茶だったと気付いていたのだろう。


「エリラ……気付いていたな」


「だって、クロったらなんも躊躇も無く紅茶入りの方を取ったんだから答える暇も無かったのよ!」


 ぐっ……正論だから言い返せない。


「……朝から楽しい所ですね」


 見るとミュルトさんが笑顔でそう言っていた。一通り拭き終わっており最初に見たときと同じ姿勢になっていた。


「す、すいません。ミュルトさん……」


「いえ、気にしないでください。分かっていましたので」


「……もしかして、ミュルトさんも気付いて……?」


「ええ」


 だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! ちっくしょぉぉぉぉ! ってことは何だ、気付いていなかったの俺だけ!?

 別に気付かなかったからなんだと言う訳では無いが、この謎の敗北感は何とも言えなかった。


 俺はこの時思った。


 《察知》や《見切り》の前にまず、確認することを覚えないと。来てから叩くのではなく、その前に叩いておくことの大切さを改めて感じた。



―――スキル《梟の眼》を取得しました。



 久々に俺の脳内に響くアナウンスと共に久々にスキルを取得してしまったのであった。










「で、ミュルトさん、今日は一体どうしたのですか?」


 数分後、冷静になった俺は改めてミュルトさんと向かい合っていた。

 確か、今日は国の軍隊が到着するから朝から準備があるとか言っていたはずだけど。


「実は……今日の未明にマスターが戻ってこられたのです」


「マスターが……?」


 俺は彼の顔を思い出すと一人内心不機嫌になっていた。と言うのも、住民が困っている時にどこかに行ってたガラムは、俺の中では下落の一方だったからだ。

 理由も聞いていないでこう思ってしまうのは、些かどうかとは思うが、それでも緊急時に居ないと言うのは何と言われようが納得の行くことではないだろう。ましてや、その理由すらも釈明しないなどもっての外だろう。

 あっちの世界でも、そんなことが最近問題になっていたような気がするが、今は関係ないか。


「はい、それでマスターがクロウさんとエリラさんにギルドに来て欲しいと……」


「ふーん……」


 さて、これはどう受け取ればいいやら。


「今日ですか? 俺、色々とやりたいことがあるのですが」


 主に新スキルと武器の開発を。そろそろエリラの剣も強化をしないと、エリラが持つにしては性能が低すぎると感じ出し始めていたのだ。

 まあ、最初作った時はレベルが20台だったからしょうがないと言えば、しょうがない事なのだが。


「それが……マスターが言うには「絶対に連れてこさせろ」……と」


「マジか……めんど……」


 思わず本音が漏れてしまった。幸いミュルトさんには聞こえていないようだったが、エリラは聞こえたのか、ミュルトさんから見えない机の陰からツンツンと突いてきた。すいません。


「……ええ、分かりました。で、今からですか?」


「いえ、昼に顔を出してほしいとの事です」


「昼にですか?」


 昼と言えば軍隊が到着する予定時刻じゃないか? もし、俺に個人的な用があるのなら夕刻とか朝早い時に呼んだ方がいい気がするのだが。

 まさか……俺を捕まえに来たとか?


 数日前の出来事を思い出してしまう。忘れてた訳じゃないが改めて思い直したくはなかった。武器強化も方便で本当は軍隊が到着するときに顔を出したくないと言うのが本音だったりする。


「で、何の用なのですか?」


「それが……私にも教えて下さらないかったのです」


 おい、ますます怪しいじゃねーか。こうなって来ると、どう考えても俺を捕まえに来たようにしか感じられなって来る。


 くるーきっとくるー♪


 脳内でそんなBGMが唐突に流れる。いや、流れてこられても困るのですが……。


「……分かりました。では昼ごろにお伺いします」


「はい、よろしくお願いします……クロウさん……」


「?」


 ミュルトさんが心配そうな顔でこちらを見ていた。


「あの人はいい人ですから……あまり気を悪くせず……」


 どうやら、顔に出てしまっていたようだ。《ポーカーフェイス》仕事しろや。


「ええ、分かっていますよ」


 お世辞にもそんな事を言う気にはなれなかったが、ミュルトさんを不安にさせるのも嫌なのでここは、素直にそう言っておくことにした。


 ただし、会ったらしっかりと事情は聞くが。


「ありがとうございます。では、私は仕事があるのでギルドに戻りますね」


 そういって、ミュルトさんはギルドに帰って行った。


 俺は彼女を玄関からミュルトさんが見えなくなるまで見送った。その時、曲がり角を曲がったときか、彼女が全速力で駆け出しているのが目に見えた。

 俺はその行動を見て、益々不安を募らせるのだった。


 感想など気軽に待っています^^

 いつも書いてくださる皆様、本当にありがとうございます。返信が遅れているのは本当にすいませんm(_ _)m


※スキル《梟の眼》

分類:戦闘スキル

効果:自分の真後ろの様子を首を動かす事無く見ることが出来る。ただし使用時は両目どちらかを閉じている必要がある。(閉じた目で後ろを見る)

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