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第117話:眠れない夜

 エントリーシートだけで心が4回ほど折れた黒羽です。更新が落ちているけど頑張りますよ。いや、こっちよりリアル頑張れよと言う声が聞こえてきそうですが、私はひたすら逃避をします(泣)


 ※今回、多少不快な思いをするかもしれません。予めご了ください。

エルシオンに戻ってから一週間が経過した。


その間、特にこれっと言った問題は起きなかった。まあ、強いていうなら農作業のお手伝いだろうか。

当然、機械など無い世界だ、これまでただの平原だった場所を耕すのは楽じゃない。雑草だらけよりはいいけど。


で、俺は何をしたかというと……種まき以外かな?


区画を《マップ》で区切って、綺麗な十字路にしてから、魔法で土を掘り起こして、溝を作って近くの下水道から水を引くために水路を掘って……と、ほぼ全ての作業を一人で執り行ってしまった。

途中で「俺らって必要無いよな?」という住民の声が聞こえた。

それでも流石に種まきなどは魔法でどうのこうのとは行かないので最後は任せたけど。

……まあ、魔法でも出来ないことはないと思うけど。


 さて、そんなことは置いといて。ミュルトさんの報告によると、どうやら国の軍隊が明日には到着できるとの事。

 うわー、嬉しいんだが悲しいんだが正直分からない。


 俺の事が広まっていないことを祈るばかりだ。(色々な意味で)


「これで、ようやく一息つけるわね」


 報告を聞いたエリラがそう言った。うん、俺は全然一息付けないのですけど。


 ミュルトさんにお願いして俺の事は伏せて貰うことにした。厄介ごとが収まるまで俺は大人しくしておこうと思う。

 人の噂も七十五日って言うしな。


 俺がそんなことをエリラに言うと。


「じゃあ、その間は特訓に付き合ってよね」


 と言われた。あ……うん……。正直、寝ていたいのですが駄目でしょうか? と、聞いたところで結果は目に見えているので敢て何も言わない事にしておく。

 また息子蹴られるのだけはご勘弁願いたい。


 結局この日は、エリラの特訓に(何故かテリュール始め子供たちも参戦)付き合わされて丸一日が潰される結果となった。夜、ベットに潜り込んだ俺はすぐに深い眠りに付いた。エリラがその後すぐに入って来たのにも気付かずに。









==========





【あら、またあの子苛められたの?】


【今度はお気に入りのぬいぐるみを木の上に乗っけられたってね?】


【そうそう、それを取ろうとして木に登ったらしいけど、落ちて腕折ったてよ】


【あらあら、まあ、あの子にはそれがお似合いでは?】


【そうね、所詮はあの人の子供……大人しくドブにでも浸かっているのがお似合いよ】


『……』




「……アレ? ここはどこ?」




【こっちまでおいでーだ。ほらほら】


『止まりなさい! あんたたちもビショビショにしてやる!』


 アレは……私? 見ると、私が一人の少年を追っかけている様子が見えた。私が私を見ている? どういうこと? 

 少年を追いかけている私の髪や服は何故か濡れており、滴が垂れ落ちていた。ワンピースに近い服は私の皮膚にピッタリと張り付いており、見るからに気持ち悪そうだった。


【へへん! やれるものならやってみな! さあ、来てみろよ!】


『上等よ! そこで待ってなさい!』 


「……あっ、駄目! それ以上は―――」


『きゃぁ!』


―――ベチャ!


【ぎゃっはっはっ! 引っかかったな! どうだ? 俺ら特製の落とし穴は? ついでに馬糞の味は?】


『くさぁ……ちょっと! 卑怯よ!』


【気付かなかったお前が馬鹿なんだよ。やっぱりあいつの娘だな。じゃじゃ馬さんよぉ】


『誰がじゃじゃ馬よ! あんたたちが私にちょっかいかけて来るからでしょうが!』


【ん? 何言っているか聞こえないなぁ~、おい皆来てみろよ?】


【どうだった? 上手く落ちたか?】


【あたりめぇよ。あのじゃじゃ馬だぜ? 失敗する訳ねーだろ】


【みろのあの様! ぴったりだぜ】


【そうだ! どうせならここで小便でもしようぜ】


【【さんせーい】】



「あなたたち、いい加減にしなさい!」


 私はそう言いながら彼らに向かって走り出そうとしていた。だが、いくら必死に足掻いても私が落ちた穴を囲っている少年たちのとこには辿り着けそうに無かった。


【一斉に行こうぜ】


【誰が合図とる?】


【誰でもいいじゃん、ほら行くぞ?】


 一人の少年の掛け声と共にいくつかの尿が放たれ穴へと落ちて行く。私は叫び声を上げなんとしても止めようとした。

 だが、そんな私の思いも虚しくジョボジョボと音と共に、穴に落ちた私の頭に降り注ぐ。それを黙って受け続ける私。


【ぎゃっははははははは! 見ろよあの様。いいきみだぜ】


【ふー、スッキリしたし帰ろうぜ!】


 排泄をし終わった少年たちが穴から離れ帰ろうとしていた。まだ、私は穴の中にいる。


 穴の深さは数メートルぐらいあり、一人では当然登れそうにはない。


『出しなさいよ!』


 当然、穴に落ちた私はそういったが。


【ん? おい、今何か聞こえなかったか?】


【気のせいじゃね? それよりさ、今日の晩飯なんだっけ?】


 彼らは聞く耳も持たずに去って行った。


『だしなさーーーい!』


 私は助けたい衝動に駆られた。だが、いくら動こうと思っても動くことは叶わず時間だけが去って行く。


 臭い汚物が溜まっている穴の底で穴に落ちた私は座り込んでいた。


『なんで……なんで私が……』


 そういうとポロポロと彼女は涙を流し始めていた。そして、何故か私の眼がしらも厚くなっているのを感じていた。

 次の瞬間、場面は変わり、今さっきまでの穴の中では無く、一転し豪華絢爛な部屋にその、私は座っていた。

 そして、その私の前には見たことがある男が……


 ……あれ? なんでだろ……思い出せない……?


 どこかで見たことがある顔。それは間違いなかった。けど、何故か思い出せなかった。


【いいか、お前はただおればいい。お前の意志などここには存在しない!】


 男は唐突にそう言った。


『何故です?』


 当然、聞き返す私。だが、男はそんな事には興味がないのか、言いたいことを続けた。


【お前は一生、俺の人形としておればよい。いいな?】


『人形? なz―――


 その時、ドンッと鈍い音が渡りに響き次に、私の眼に飛び込んできたのは何故か突き飛ばされている私と、足を上げている男の姿だった。


 蹴られた?


【そんなくだらない事お前が知らなくていい! いいな?】


 男はそう言った。蹴られた私は地面に蹲り何も答えない。


【いいなって聞いてるだろうが!】


 男の蹴りが再び襲いかかり、お腹を突き上げられた私は口から血を吐きながら床を二転した。激しくせき込みながらも私はヨロヨロと立ち上がり


『はい……』


 とだけ言った。


【ふん……】


 男は私を一瞥するとそのまま部屋を後にした。男が部屋から出て行くや否や、私が地面に崩れ落ちていく様子が見て取れた。

 私は必死に彼女のそばに駆け寄ろうとした。でも、動けない。なんでよ! とイライラ感が溜まって行く。それと同時に一回落ち着いていた目頭が再び熱くなる。


「うっ……うっ……けほっ! ごほっ!」


 地面から上半身だけ体を起こし、そして咳き込むと喉に詰まっていた血を残さずに吐き出していた。


 やめてよ……。


 居た堪れない気持ちになる私。


 そんな私の目の前にあの男が姿を現す。


【ほら、おいで。エリラの大好きな物は何かな?】


 男は先程とは打って変わって笑顔だった。


【ほら、大好きな食べ物を言ってごらん。なんでも食べさせてあげるよ】


 満面の笑みを見た私は何故か、少しずつ後ろへと下がろうとしていた。だが、当然の如くその場から動けない。


【ほら、何か欲しいものはあるか? なんでも買ってあげるよ】


 笑顔を見ているはずなのに、感じる寒気、恐怖。気付けばその男の後ろに黒い悪魔のような男の顔が浮かんでいた。


「来ないで!」


 私は必死になってなんとか逃げようとした。


【ほら、何が欲しい? 何がしたい? なんでも言いなさい】


 やめて! 来ないで!


 拒絶をする私。何故拒絶をしているのか分からなかった。言葉はもちろん、その姿、仕草、声。全ての行動にが嫌だった。


【ほら……おいで……






―――――私の愛する娘、エリラよ】










「来ないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


 ドンッと言う音と共に私は目を覚ました。


 見慣れた天井が目に入った。既に夜遅く、月夜の光が窓からやさしく部屋を照らしていた。


「アレ……?」


 ムクリと体を起き上がらせる。なんだろう……物凄く嫌な夢を見たような……?


 何かをみた気がしたが思い出せない。顔は汗でべっとりとしておりこの時期としては、おかしい量の汗をかいていたのが分かった。


「……エリラぁ……」


 ハッと声をした方を向いてみると、クロがベットの上に這い上がっていた。


「全く……お前はなんでこんなに寝相がわる―――」


「クロ!」


 次の瞬間、私は何故かクロに抱きついていた。なんでそう思ったのか分からない。だけど急に抱きつきたい衝動に駆られていた。

 

「お、おい……どうしたんだよ一体……?」


 いきなり抱きつかれたクロは困惑をしていた。そんな事はお構いなしに私はクロの胸元に顔を埋めると、これ以上に無いくらいギュッと抱きしめた。


 肌を伝ってクロの温かさが伝わってくる。なんでだろう、私はこれ以上にないくらいの安心感を感じていた。


「……」


 最初は困惑していたクロだったけど、その後は何も言わずに私を抱きしめ返してくれていた。


「優しいね……」


 私は何故かそう呟いていた。


「? ……ほら、布団の中に入れって風邪ひくぞ?」


 確かにそうだった。べっとりとかいていた汗が乾きだし急に寒く感じていた。


「……」


 私はそれには答えずにただ、ひたすらにクロを抱きしめた。


「……」


 やや間があった後だった。クロは行き成り私ごと体を寝かせ無理やりベットの中へと押し込んできた。

 行き成りの事で慌てる私。クロはその上から私と一緒に布団をかけた。


「……ほら、今日はこのままでいいから、本当に風邪ひくぞ?」


「……うん」


 私は素直に応じ、結局そのままの体勢で一晩を過ごした。結局、それから私は眠れずずっとクロの腕の中でじっとしていたのだった。

 約100話ぶりの掘り返し……もとい伏線回収でした。


 【愛する】という言葉にこれほど嫌悪な思いを抱いたのは初めてかもしれません。


 今回も読んで下さった皆様ありがとうございますm(_ _)m

 次回もよろしくお願いします。


 なお、今年のエイプリルフールネタはリアルが忙しいので無理でした。と言うか嘘つくのが苦手なので私には無理なネタかもしれませんね。

 来年、何か書くかは未定です。

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