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第115話:オカン(?)登場

 ※ 3/28 誤字を修正しました。

「ただいま戻りました」


取り合えずエルシオンに戻った俺らはギルドに顔を出すことにした。

あの踏み潰しておいた貴族の事は言わないでおこうと思う。余計な心配事をミュルトさんにかけたく無かったのもあるが、ギルド構成員であるミュルトに俺の事が知られた場合に敵になる可能性があるのでバレるまでは黙っておこう。


………ドンドン逃げ場を失っているなぁ俺。


自分の行動に失笑しながら俺はギルド(仮設)に顔を出した。中を覗いてみるとそこにはミュルトさんと


「クロウさん! お帰りなさいご無事でしたか?」


「………っえ?」


俺の顔を見てキョトンとしている少女がいた。黄色の縦ロールの髪に150に届くか届かないか程度の背丈。まだ幼稚さは残っているあの顔は俺の記憶の中に残っていた。


「………ソラ………さん?」


「え、えーと………クロウ君………?」


そう、あのBランク冒険者パーティーであり、同時にエリラの親友であるソラだったのだ。















「………と言うことがあって、今に至るわけです」


「にわかには信じられないけどその姿をみたら頷くしかないよね………」


一通り事情を説明して納得はしてもらえたが、やっぱり突然成長していたら誰だって驚くよな。


「それで、何故ソラさんがここに?」


「ソラでいいわよ。クロウ君の方がもう歳上なんだから。あと敬語も別にいいよ。お互い敬語は無しでいきましょ」


「そうだな………じゃ、ソラ。なんでこの街に?」


「仕事先の街でこの街が襲われたって聞いて居ても立ってもいられなくなったの、皆は反対したけどエリラちゃんとか心配だったから………」


「ああ、なるほど。でいつ頃にここに来たの?」


「2日前に。そのときミュルトさんにエリラちゃんたちは無事だって聞いたの」


「そうか」


仲間の反対を押しきってきた辺りかなり心配していたんだろうな。


「ん? で、あのBランクたちはどうしてるの?」


「分からない。もしかしたらこっちに向かって来ているかもしれないし、または身の安全を考慮してもといた街に留まっているかもしれない」


「心配していないか?」


「うーん、もともと個々の力で成り立っていたようなチームだからそこまで心配はしていないと思うよ。多分」


お、おいおい……そんなので良いのかよ。


チームを組んでいたんだから少なからずは心配しているとは思うのだが……。


《マップ》を開きエルシオンから半径10キロ圏内を対象に「Bランク冒険者」を検索してみる。

だが、検索で出たのはソラのマーカーだけで、残りは何も出なかった。

まだそこまで追い付いていないのか、それとも本当に見捨てたのか。


「あっ、そう言えばクロウさん。食料は……?」


「ああ、えーと、取り合えず一週間分は確保出来ました。と言っても主食の元である小麦粉系は手に入っていませんけどね」


俺がやらかしたのが原因ですが。


それでも「ありがとうございます」と言ってミュルトさんからは感謝してくれた。まあ人口が減っていたから出来た芸当なんだけどな。数万人規模になってしまうと流石に無理です。時間外圧倒的に足りなかったし。


一方ミュルトさんの方はと言うと、やはり最初は反対する意見の方が多かったらしい。いくら放棄されたと言っても城壁の中の方が安心出来るのが大きかったのだろう。

ただ彼らもこのままでは長くは持たないとは分かっていたのか、最後はしぶしぶ了解してくれたとのこと。まあ、エルシオンに近づいて来よう物ならワンパンで沈めれるのでその辺は大丈夫だと思う。


 問題は第三勢力の攻撃だ。この前の魔族がいい例だな。あいつらのようにこれまで関係が無いと思っていた奴らが参入してきたら対処しきれない。

 残念ながら検索に「敵対者」という括りで検索することは出来ない。その辺はこれまでの情報から総合的に判断するしか手は無い。まあ、それが普通なんだけどな。


「ソラはどこで泊まっていたんだ?」


 こんな時に経営している所なんて無いと思うのだが。


「ミュルトさんの家で休ませてもらっていたよ」


「後で家に来るか? エリラも会いたいだろうし」


「もちろんそうさせてもらうね、エリラちゃん迷惑かけていない?」


「かけてねーよ。たまに説教される時もあるぐらいだよ」


 現につい最近説教されましたし。


 と、俺の言葉を聞いた途端ソラの顔が固まってしまった。


「え、エリラちゃんが説教してる? うそでしょ?」


「嘘じゃないよ」


「エリラちゃんの事だからきっと我儘な事を言っているんじゃない?」


「い、いや、そんなこと全然―――


「いえ、きっとそうよ。ちょっと説教してくる!」


「あっ、おいちょい待て!」


 俺の制止も聞く耳を持たないでソラはギルドの仮設テントを去って行った。


「……」


「……あの~クロウさん……止めた方がいいのでは?」


「いや……なんというか……言っても止まらなそうなので諦めます」


 初っ端から話の主旨がずれていたと感じた俺は追うのを諦めた。前にエリラが号泣していたのを思い出し物凄い罪悪感が……


 ごめんエリラ……今度おいしいものでも食べさせてあげるからそれで許してくれ。俺は心の中で家の方に向かって合掌をした。

 ……アレ? そもそもソラって俺の家の場所知っているのかな?


 道に迷うんじゃねと俺は一瞬期待をしたのだが。


「私が教えてしまいました」


 とミュルトさんがアッサリと壊してくれました。うん、フラグだよね知ってた。


 その後は食料の事についてミュルトさんと話し合った。どうやら調理はギルドの方でやるとのこと。何でも他のギルド員にさせるとか。(現在は街の復興のため街のあちこちに散乱しているらしいが)


 そして、さらにこの街に再び軍が派遣されるとのこと。昨日早馬からの便りで分かったらしい。これで少しは安心できるな。


まあ、俺は安心出来ないのですが。


万が一のために逃走ルートだけは確保しておこう。














「ただいま」


ミュルトさんと一通り話し合ったのち、俺は食料などを納入して自宅に戻ってきていた。

ちなみに、納入したのはイノシシモドキおよそ50体と調味料系全てに森に自生していた青菜系の薬草だ。

積まれた肉の山を見たミュルトさん始めギルド員一同は黙り込んでしまっていた。

うん。俺も最初見たときはビックリしたよ。確かに作戦を考案したのは俺ですけどさぁ。まさかあの短時間でここまでやるとは思わなかったよ。

ちなみに、これでもまだ全部じゃない。俺のインベントリの中にはまだ倍近くの肉塊が残っている。


手加減は必要だよ。うん。


そんなこんなで戻ってきたのだが……


「大体、エリラちゃんはいつもこうでしょ! 人に当たるのは(クドクド)


……まあ、予想はしていたよ。


玄関を抜けた所にあるリビングで何故か説教をしているソラと床に正座をして涙目になっているエリラとその様子を見ててどうしようとオロオロしているテリュールを以下はじめとする獣族たち。

俺の姿に気付いたテリュールが慌てて俺の所に駆け寄ってきた。


「く、クロウ……これどうなっているの? 行きなり押し掛けて来たと思ったらエリラの知り合いと聞いて会わせたら何故かそのまま説教を始めて……」

 

「あー、うん。気にしないで、ただのオカンタイプの人だから」


「?」


 どういうことかサッパリ分かっていないテリュールはただ首をかしげるだけだった。


 さて、エリラの方を助けるとしますか。俺は説教しているソラに近づき後ろから肩をポンッと叩きながら


「そろそろ、その辺にしと


 と、言い終わらないうちに俺に思わぬ悲劇が襲った。


「うるさいわね! あっち行って!!」


 そう言いながらソラはこちらを見ないまま裏拳を繰り出して来た。


「」


 何も考える暇を与えられず、ソラから放たれた拳が俺の顔面へとクリーンヒットした。メリッと音が聞こえた気がしたがこの時の俺はそんな事すらも考える余裕などなく、なるがままに玄関方面へと綺麗な放物線を描きながら吹き飛んで行った。

 ソラを除きそこにいた全ての者の顔が凍り付いていた。俺はそのまま地面に頭からおっこちそのままワンバウンドしてゴロゴロと地面を転がって行きそのまま、柱に背骨を打ちようやく動きが止まった。


「……えっ」


 地面に落ちた音でソラも我に返り俺の方を見ていた。


 で、俺はというと地面に放り出されたままピクリとも動かなかったらしい。うん、今考えればよく生きていたなと思うよ。


「……」


 俺の屋敷に一人の少女の叫び声が響き渡ったのは、このすぐの後の事だった

 クロウは女の子からの攻撃はかなり受けているような気がします。いつだったかは忘れましたが、エリラに息子蹴られたこともあったなと書いていながら思っていました。

 クロウには女難の相でも浮かび上がっているのかもしれません。

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― 新着の感想 ―
[一言] ソラタイプははっきり言ってウザイのでワンポイントまでにした方が良いよ
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