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第112話:スキルは使ってナンボ

 ※ 3/15 誤字を修正しました。

 ちょっとスッキリした出来事の後、俺らは本来の目的場所に移動をしていた。最初より一人増えた三人で。


「あっ、そういえば、君名前は?」


 俺はある物を作りながら獣族の子供に聞いた。


「レーグっていいます」


「レーグか。前はどこに住んでいたか覚えている?」


「前は森に住んでいました……けど」


「あっ、それ以上は言わなくていいよ」


 そこまで言ってしまえばもう、オチは見えたに等しい。恐らくフェイたちと同じ運命を辿っていたのだろう。


「く、クロウ! わ、私が抱っこしていいですか!?」


「……空気読めよ……」


 俺のすぐ横で目をキラキラさせているテリュールが鼻息を荒くしながら言ってきた。君、そういうのは街を出てからにしてもらいたいものだ。


 さて、結構やらかしてしまったな……。例えどんな性格だとしても、この国の王族と関わっている奴のヤシの実を一個潰してしまったのだから、ただ事では済まないだろう。

 さらに言えば、根本的に俺の行動自体が大問題だ。

 この世界……あくまで人間の国ではのお話だが、俺は常識はずれな行動を起こしてしまった。俺からしてみればあいつの方がおかしいのだが、世間では俺の方がおかしいと思われるだろう。


「あーあー……こりゃ指名手配ものだよな……」


 少なくともこの街にはもう居れないな。用が済んだらサッサと逃げよう。


 でも、逃げた後はどうしようか……


 ……


 ……あれ、これって詰みじゃね?


 今は、戦時中だから大丈夫だと思うけど、その後はどうしよう……。


 何故でしょう。俺の頭の中で某ゲームのセーブデータが消えた時のBGMが流れました。あれって結構トラウマ物だよな。


 と、話が逸れたが顔なんかも全然隠していなかったから割れているだろうしな。


 ……まぁ、いいか後で考えよう(現実逃避)


「……と、出来た」


 そうこうしているうちにお目当ての物を作ることが出来た。


「? 何が出来たの?」


 レーグをおんぶして……って、いつの間に!?


 どうやら、テリュールは俺すらも気付かない掩蔽スキルを覚えてたようです。


「あー、うん、えっとな、ほら、レーグってチョーカー付けているだろ?」


「? ええ、そうだけどそれが?」


「これって、奴隷である証なんだけど、これが付いている奴隷を勝手に奪う事ってこの国じゃあ犯罪なんだよな」


「あっ……そうなんだ」


 まあ、あっちの世界にいたからテリュールが知る由もないんだけどね。前に一回だけ教えたんだけどその時は犯罪のことまでは言ってなかったしな。


「だから、外したいんだけどこれ、契約者が許可しないと外せないんだよ」


 無理に外そうとしたら奴隷が死んじゃうし。


「だから、強制的に外すスキルを作ったんだよ」


 そう、普通《契約》スキルを無効に出来るスキルなどは存在しない。だけど作れば別だ。


 チート? ええ、そうですよ。チーターですよ。自重? する訳ないじゃないですかやだー。良くスキルを隠して生活する小説とか見た事あるんだけど、スキルって使ってナンボだと思うのです。

 作り方は《契約》スキルを元にして、そこから《神眼の分析》でスキルを事細かく調べ、穴(セキュリティホールと言えば分かり易いだろうか?)を見つけだし、そこから解除をするという、ハッカーみたいな作業を行って作った。

 口で言うのは簡単だけど、意外と苦労する。今回はすぐに穴が見つかったからよかったけど、もっと複雑なものから脆弱性を見つけるという事になったら、こんなに短時間では出来ないだろう。


「うーん、スキル名はどうしようかな……」


 まあ、安易で《解除(アンロック)》でいいかな。


「よし、じゃあ早速試してみるか」


「間違えて死ぬオチとか無いよね?」


「……」


「……」


「……」


「……」


「……よし、やるか(汗」


「ちょっとぉ!? なんですか今の間は!?」


「大丈夫だよ、きっと……おそらく……たぶん?」


「疑問形!?」


「よし、レーグじっとしておけよ?」


 やや緊張した面持ちのレーグ。多分失敗はしないと思うけど、一応慎重にいこう。


 俺はレーグのチョーカーにそっと手を当てた。


「《解除(アンロック)》」


 その直後、ガチョンと言うどこかで聞いたことあるような効果音と共にレーグの首に付いていたチョーカーが取れ、地面に落ちた。


「……大丈夫?」


「……う、うん……」


 よし、成功したみたいだな。俺はホッと胸を撫で下ろした。

 その後、再び《契約》で俺の奴隷となることで隠蔽工作は取りあえず終了した。……俺って酷い人間(?)でしょうか?











「おっさん、この剣を売りたいんだが幾らだ?」


 時と場所を変え、ここは街有数の武器屋に来ていた。俺はそこでまず、急いで作り上げた【普通】の剣を売ろうとしていた。

 借金がある身ですので、もともと手持ちは心細かったので、まずはこうやって売ることで基本資金を作り上げようという事だ。


「ん? 鉄剣かい? 見せなさい」


 俺は言われるがままに武器屋のおっさんに剣を差し出す。


「ふむ……おお……これは素晴らしい出来だ……」


 刃先などを触りながらおっさんは呟いていた。まあ、普通の剣って言ってもスキルレベルが10の人が作った剣なのですが。

 ちなみに、素材も鉄は殆ど入れていない。大半が銅や青銅など耐久力で劣る鉱石を使っている安価な剣だ。だが、スキル補正のお陰で耐久力、切れ味共に鉄剣の性能を大幅に上回る剣へと変貌していた。


「お前さん、これをどこで手に入れた? 見た所普通の鉄じぁあ作れないような強度を誇っているようだが……」


「ちょっと山賊を潰した時の戦利品だよ」


 俺は適当な嘘を言って誤魔化しておく。


「ふーむ……ただの山賊がこれほどの武器を持っていたとはな……分かった。3万Sで買い取ろう」


「本当か? よし、それで売ろう」


 即決でした。ちなみに一般の鉄剣は1万S足らずで購入可能なので、その倍以上のお値段で買い取ってくれるようだ。という事は店頭ではさらに高額で売り出すつもりだな。

 俺はそこからさらに19本を取り出し。計20本を60万Sで買い取ってもらった。店を出るときにおっさんがにやけ顔だった気がするが、まあ気にしないでおこう。

 ……ぼったくっていたら後で喧嘩売りにでも行こうかな。


 そして、それを元に自分の手持ちにあったお金を使い、森などでは手に入らない調味料などを中心に爆買いを行った。調味料のお値段はそこまで高くないので市場から一部の調味料が消えそうなレベルで買ってしまった。

 これが原因でしばらくの間この街で一部の調味料の値段が高騰したらしいが、すぐに元に戻った挙句大量に残ったのか結果的にかなり値下げされたとか。










「さて、これで買いたいものは大体買ったかな?」


 メニュー画面からアイテム欄をスクロールして確認をしていたときのことだ。何やら表通りの方が騒がしくなっていた。

 で、俺はどこにいるのかと言うと、表通りから少し外れた裏道で積み重なっていた木箱に腰を下ろしていた。レーグはテリュールのももに乗っていた。いいなぁレーグ、そこ代わってくれよ。


「騒がしいですね……」


「うーん、まだヤシの実を潰した貴族(アレ)が解除されるには時間があるはずだけどな……」


 などと、言っていたら。表通りの方からこちらを指さして叫んでいる人が見えた。

 その直後、何やら鎧を着た物騒な人たちが表通りに集まりだしていた。


「……ねぇ、クロウ……」


「ん? なんだ?」


「……アレってさ……私たちを追っかけてきた人じゃない?」


「奇遇だな。俺もそうじゃないかなと考えていたんだ」


 何やら指揮官らしき人がこちらを指さし何かを言ったかと思えば、その周囲にいた武装した兵士らしき者たちがこちらに向かって一斉に向かって来た。


「あっ……き、来たよ!? ど、どうするの!?」


「……よし、こういうときはアレだ」


「アレ……?」


「逃げるんだよぉぉぉぉぉ!!!」


 どこかで聞いたことあるような某フレーズを叫びながら俺たちは一斉に逃走を始めたのだった。

 と、いう事で今回はスキルを使う回となってしまいましたね。武器屋の所とかもっと色々書けばよかったかなと思いましたが、あんまり書きすぎると後々ひどい目にあるので、今回はやめておきます。

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