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第102話:戦後処理

 ※ 2/26 誤字を一部修正しました。

 燃え盛るエルシオンの上空で街を見下ろす俺。こうやってみると東と北にはほとんど被害が出ていないのが分かる。

 燃えている箇所は明るいので時折街の外に向かって行く龍族や、逃げる人々を確認することが出来た。


 さて、まずは鎮火だな。今は被害の無い東と北にまで火の手が伸びて行けば大変な事になってしまう。それに逃げ遅れた人が焼死しましたなんて笑えないしな。


「《雨雲(スコール)》」


 俺を中心に雲が集まり始める。やがて分厚い雲へと成長した雲からポツポツと雨水が落ちて行き、やがて大雨へと変化していった。

 まずこれで、延焼を多少なりとも防げるはずだ。


 だが、肝心の火の元がこの程度で消える訳も無く、相変わらず轟々と音を響かせながら火柱を上げていた。


 そんな箇所には《水球(ウォーターボール)》を投げつけて消して行く。時折逃げ遅れたのか、火に囲まれた人がいたので、その人たちも助けて行く、《火炎耐性》バンザイ。


 もちろん中には手遅れだった者もいた。焼死体になっている者、大量の炭素を吸ったことで起きた一酸化炭素中毒により倒れている者。


 ……彼らもあとで弔ってあげないとな。


 そうこうしているうちに夜が明けた。


 国の軍隊……もとい守備隊は全滅したのでかなりの混乱だったが、生き残った冒険者たち(火事場泥棒者含む)とギルドの職員たちのお陰で多少は良くなっていた。


 それにしてもギルド員が生き残ってくれたのは良かった。襲撃されたのが夜だったので、ギルド員も夜勤の人が残っていただけだった。さらに襲撃されたとの報告を受けたため、全員出払っていたときに攻撃を受けた形となっていた。

 で、俺はと言うと運ばれてきた怪我人を治療することとなった。


 医者も何人かいたのだが、そいつらには軽傷者を任せ、俺は重症者の治療にあたることになった。


 もっとも、俺の場合魔法ですぐに治せるので治療自体は午前中で終わった。余りに早く終わったので結局軽傷者も全員まとめて治療をしてあげた。医者の面目丸つぶれだな、最終的に隅っこで指をくわえて見ていました。

 重症者だった人やその家族たちからは物凄く感謝された。泣きながらお礼を言ってくれる者や、何故か俺の方を向いてお祈りポーズをしている人もいた。いや、俺神様とかじゃないのですが。


 その後は生き埋めになっている人の捜索を開始した。といっても、手探りなのは他の人たちだけで、俺は《マッピング》で生き埋めになっている人たちをピンポイントで当てることが出来るのでこれも対して問題にはならなかった。瓦礫の撤去も生き埋めになっている人に《防壁》をつけてあとは力任せにどかしていくと言う荒業でどうにかなりました。

 今なら言える気がします、『自称:重機』と……すいません何でもありません。

 ただ、運び出すのには人手が必要だったのでエリラたちには運ぶのを手伝ってもらった。獣族たちにも手伝わせたかったのだが、こんなタイミングで外に連れ出したら何が起きるか分かったものではないので、お留守番をさせることに。

 こんな後だからまだ火事場泥棒する馬鹿がいるかもしれないから少し心配だな。一応注意はしてきたけど。


 そうこうしているうちに、気づけば夕刻を迎えていた。俺が確認できた限りでは救助を行うことが出来た。


「ふぅ……」


「お疲れ様です」


 瓦礫の丘の上でエリラとテリュールと一緒に一息ついていたとき、ミュルトさんが声をかけてくれた。彼女も今日は丸一日働きづめだったみたいで、ちょっと疲れているように見えたが彼女が笑顔で来たのであえてそこには触れないでおこう。


 ちなみに、俺は徹夜しました。もうすぐ二徹です。某サバイバル番組みたいな感じになってきた。正直今すぐベットへとダイブしたい。


「クロウさんがいて助かりました。本当にありがとうございます」


「いえいえ、当然の事をしたまでですよ。そういえばマスターは?」


 今日一日見かけてなかったので、少し気になっていたんだよな。ギルドマスターという立場ならいてもおかしくないのにな。


「マスターは昨日首都の方に用があるとのことでいませんよ。なんでも急用が出来たとか」


 へぇ……あのおっさんタイミング良すぎだろ、なんか逃げてたように感じるのは俺だけだろうか?


「そうですか。……被害はどれくらいでしたか?」


「現在分かっている限りでは死者2000名以上。行方不明者290名、怪我人は今朝の時点で数千人以上いましたが今はほとんど残っていません、クロウさんのお陰ですね」


 面と向かって褒められると恥ずかしいな。俺の背後でエリラが「チートぉ……」とぼやいていたが聞こえなかったことにしよう。うん、俺は何も聞いていない。


「それにしても彼らはどこから侵入したのでしょうか?」


「さぁ? 壁には損害がありませんでしたし、どんな状況だったかはこれから、調べるしかないのでは? そういうのはギルドのお仕事なのですか?」


 まぁ、本当は見当ついているんだけどな。


 おそらくだが、あの下水道から侵入したのではないかと思う。あそこはずいぶん長い間放置されていたみたいだし、あの廃墟周辺には殆ど人がいないらしいから侵入するにはぴったりだ。


「そういう仕事は国が行いますね。ギルドはあくまで補助という形で調査に参加することになるかと」


 あ……国のお仕事か。


 それにしてもこれからどうしようか……衝突は避けられないだろうな。それに魔族も介入したところをみると、この街がまた戦場になりそうで怖い。


 ……ああ、駄目だ。眠いせいか思考が回らないな、また明日にしよう。


「では、一休みしたいので俺はこれにて」


「あっ、徹夜したのですよね。ゆっくり休んでください」


 こうして、ミュルトさんに見送られながら俺は自分の家へと戻って行った。戻ったのち俺はベットにダイブしすぐに深い眠りに落ちた。



 ……あっ、そういえばあの魔族たち《土鎖》どうなったんだろう。





===========


「ぬぉぉぉぉぉぉぉ! 壊れねぇ!」


「駄目です! いくら斬っても斬れる様子がありません!」


「……これは失策だったのぉ」


「くそぉ! あのガキめぇ……次会ったら覚えてろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 おそらく彼らはしばらく鎖に縛られたままの生活を強いられるでしょう(笑)


 今回も読んで下さった皆様、本当にありがとうございます。また次回でお会いしましょう!

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