一章登場人物
思うところあって登場人物紹介のやり方を変えました。
=如月葉月=
魔王を倒すべく召喚された英雄……という建前の生贄。飼い殺して使い潰すことが前提だったこともあり、本来の力を引き出せないように指定封印を受けてはいるものの、英雄としての素質と飲み込みの良さと相まってかなり強い。どのぐらい強いかと言えば弱体化している状態でもオーガと殴り合えたり中級レベルの状態異常魔法をレジストしたりできる。
自分がセダス国にとって都合の良い駒であることを充分に理解した上で協力を申し出ているのは単純に国家という組織に属していた方が都合がいいという安直な考えから来るもの。
召喚される前は実の姉妹たちと比較され続けてきたせいで自分の能力を過小評価する傾向が強い。姉妹に対してコンプレックスを抱いているという訳ではないが自分のような落ちこぼれと一緒に居ては彼女たちの経歴に傷を付けてしまうという、卑屈な考えが染み付いているせいか、思春期に入った頃には意図的に距離を取るようになった。
基本的には受け身体質でお人好しな性格。人間の腹黒いところに疎い。全く疑いを持たないという訳ではないが人を信じようとする傾向が強いのでよくヘマを踏んで窮地に追いやられることが多いが何だかんだで生き延びているところからして悪運はかなり良い方だと思われる。
この世界に来て密かに自慢にしていることはクレアと肉体的な関係を持てたことなのはここだけの話。
=クリスティナ・アールグレイ・フォン・セダス=
葉月を異世界に喚んだ張本人。元凶とも言う。愛称はクリス。
一年後に復活する魔王に対して先手を打つべく英雄召喚を行った結果、異界の男を呼び出すという(本人にとっては)大失態を犯す。処分しようにもポテンシャルが高い上に再召喚するのに数年という時間を費やすので葉月のことは捨て駒として割り切ってる。
基本、優秀な人間だが男嫌いが前に出すぎてるせいで優秀に見えない。男嫌いになった直接的な原因は父親ではなくセダス国で起きた過去の出来事に関係しているらしいが……?
=クレスメント・イリーガル・フォン・セダス=
クリスティナの妹にして葉月の初体験の相手。愛称はクレア。
最初は王族としての使命感と故郷を捨てさせたことへの贖罪として便宜を図っていたが、接していくうちに彼の人柄の良さに惹かれていつしか立場抜きで彼の助けになりたいと思うようになってる。竜を操る竜騎士としての才能は国内でも一、二を争うほど。特に騎乗竜の伯爵級のドラゴンのクリムゾンドラゴンことクーちゃんを操る様はまさに人馬一体ならぬ人竜一体。クーちゃんは本当に強いけど物語の都合上、影は薄くなると思われる。残念。
=フィリー=
クリスをお姉様と崇める天空騎士団の騎士。
大好きなお姉様を男に汚されたという感情とお姉様からの命令という二律背反の間で揺れ動きながら葉月を支えてきた功労者。
二章ではもう少し出番が増えるといいなぁと思う作者でした。
=イザベラ=
天空騎士団長兼クレアの側近。凄く強い人だけど当分出番はなし。
召喚当初は葉月が本当に使えるかどうか確かめる意味も兼ねて暗殺者を仕向けた。
=トトゥーリア=
葉月に現実の厳しさを教えたイザベラの腹心。葉月の立ち位置によっては対立せずに済むポジションでもある。
直接的な戦闘力もそこそこある。それがなければフィリーとの戦闘で重篤の状態に陥っていたかも知れない。男は嫌いというか感心が持てない。男嫌いが多いセダス国では無関心というのはわりと珍しい。
=ミゼン=
かつてセダス国が人為的な英雄を作る研究の過程で生まれた最強のホムンクルス。
閉鎖的な環境で世捨て人も同然の生活を送ってきたせいでかなり世間に疎く、常識もあまり身についていない。それは異世界出身である筈の葉月がレクチャーしなければならないほど。
困ったときは大体友達ノートを開いて対策を練るが、あまり宛になってないことに本人は気付いてない。
葉月は自分をありのまま受け入れてくれた初めての友達ということもあり、若干依存してる節が見られる。それ故に、彼に牙を剥く人に対しては一切の容赦がない。
=クオウ=
ミゼンの育ての親とも言うべき人間。ミゼンと彼がいなければ葉月は間違いなく死んでた。
偏屈な暮らしがすっかり気に入ったのか、外の世界への興味はなく、ただミゼンの幸せだけを願っている。もう出番がないかも知れない。
=ファントム=
チートキャラ。帝国に就いているのも単に良いビジネスパートナーだからという理由でしかない。
仕事とは結果ではなく過程を如何に楽しむか、というのが彼の信条。とはいえ任された仕事はキッチリやるタイプ。殺す覚悟を持てない葉月に少しだけ興味を持ってる。