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友との日常に思うこと。シリーズ

友との日常に思うこと。②

一応前の短編の続編です。

読みづらくてすみません。


私の友人の恋愛相談癖(私が命名)が始まったのは、小学校の高学年になる少し前らしい。


「それがさ~……」

「げっ、マジで?」

東京都某所。彼がまだませたクソガキだった頃に、話は遡る。


彼は普段通りに、擦れたランドセルを背負って、友達と二人で話しながら下校しているところだった。記憶には残らない、他愛もない日常のワンシーンなわけだ。

そんな中、クラスが同じで、明るい女子が一人話しかけてきた。

彼は多少人見知りだったが、彼女の明るさに、すぐ打ち解けた。

そして、その後少女が言う一言から、彼は色々と面倒な事になるのだが、そんなことは知る由も無い。


「あたしの好きな人、教えてあげよっか」


実にませている。とまあ、私の感想は置いといて、彼女は急にそんなことを言い出し、急に暴露したのだ。

そんな女子に、彼と彼の友達は当惑した。確かに、彼らも冷やかす気分で聞き詰めたりもしたのだが、まさか、本当に言うなんて思いもしなかったのだろう。

しばし歩き、彼の友達は言った。


「なんなら、手伝ってやろうぜ。面白そうだし、キューピットみたいな感じでさっ」


もー、なんたる悪循環。何が悪いって、彼は、中学に上がりしばしば嘆くのだ。自分の悪癖に。

ただ、仲のいい友人が面白そうに囁く。断るようなことはしない。後悔先に立たずとは、こういうことなのだな。なんて……。


そんな流れで、彼の友達が彼女に肩入れすると宣言するまで、さほど時間はかからなかったのは言うまでもなかろう。


悲しいかな……。彼がこの後すぐに後悔していれば、今とは多少違う展開が彼を取り巻いていただろう。

しかし、彼の日々は本当に楽しくなった。友人との秘密の共有ができたり、女子と話す口実ができた。そして、何よりも、そんな彼女の心情が彼の世界を広げてくれたのだ。


さて、ここらで例の女子が好きだった男子について、少し説明をしておこう。

まず、その男の子はカッコよかった。スポーツもできて、優しい。人当たりもよくて友人も多い。大袈裟かもしれないが、実際、ちょっとチートな奴だ。

そして、何よりもその男子は彼の友達だ。クラスが一緒になり、よくカードゲームをして遊ぶ、それなりに仲のよい間柄だった。


はい。その男子と例の女子。くっつけるための間の抜けた奮闘記は、説明したくてもしたりないほどのスケールだったりする。

彼と男子が遊んでる最中に、よく例の女子が乱入するようになったのも、彼らの計らいだったらしい。それだけでは、もちろんない。

最終的には、やや遠回りに「あいつのことどう思う?」なんて訊いた。これは、例の女子が提案したものだった。その女の子も、素晴らしい特攻をさせるものだ。


そんな努力も虚しく、彼女の恋は潰えた。

現実とは厳しい。

ただし、彼女は彼を変えたのだった。


彼は、彼女の恋愛を見守ろうとしているうちに、よくその女子と話すようになった。そう、彼は知らない間に彼女に惹かれ始めていたのだ。

明るくて、元気。

そんな彼女に惹かれた彼は、今、こう語っている。

「昔の俺、今以上に単純かも……」と。


彼は恋をした。


手助けを理由に、彼女と仲良くなり、少しずつ距離を縮めようとした。


これからの話は、小学校卒業を来年に控えた時である。


彼は、大好きな女の子を交えた友人達との学校生活に満足していた。有り体に言えば、そんな日常がずっと続くと思っていたのだ。

友達や好きな人と笑い過ごす日々。それが、また変わり始めるまで、長くはなかった。


ある日、自分のことが好きだとは露知らず、例の女子が彼に相談してきた。


「好きな人ができたんだ」と。


実は、彼も噂で聞いていた。それでも、本人から聞かされるのでは、わけが違った。

だが、彼は心中の動揺を隠し、ただ励ました。


よくある話だ。「好きな人の応援をする友人A」のような役回りを、彼は選んだ。


でも、彼はその時に気付いていた。告白しなきゃいけない。気持ちを伝えないといけない、と。

それでも、情けない話。彼はなかなか実行できなかった。自分に自信の欠片も無い彼はそれを盾に、息苦しいまま日々を送った。


そんなある日、学校の行事で、有名な劇団が公演する劇を見に行ったそうだ。

幸か不幸か、彼と例の女子は背の順の関係で、だいたい席が隣だった。いつもは心の中のどこかで舞い上がる彼だったが、今回は違った。

なんたってチャンスだ。暗い中、ややどうでもいい劇に、皆の視線が行く。奥手な彼でも、ある程度の覚悟を決めていたそうだ。

だが、先に口を開けたのは彼女の方だった。


「あたしね、前に、ほんのちょっとだけ……○○のこと好きだったんだよ」


もちろん、○○には彼の名前が入るわけだが。

彼は驚いて、言葉を無くした。だって、あまりに少女が嘘をついていないとわかる瞳をしていたから。

その後、彼は何も言い出せなかった。ただ、毎度の如く彼女を笑わす。それしかできなかった。

彼は絶望した。自分のバカさ加減に。


時は過ぎて、小学校卒業。

結局、彼は彼女に告白することはなく、別々の中学に進んだ。


今でも、彼のこの気持ちを知るのは数少ない人だけだ。


それでも、私は思うのだ。


彼は、周りの人間が自分のような惨めな気持ちをしないように相談にのり、支えているのかな、と。

実際に綴ると、クサくて、彼にそう言えば、否定するだろう。

でも、面白半分で他人の色恋話に耳を立て、学習せずにそれを繰り返すようなバカだとは思えないから。


彼は過去にこう言っていた。


「泣いてる女子とか、見ると困るよな。なんかさー。泣いてる奴いると、笑わせたくね?そうすりゃマシになるからな、大抵。だから、下ネタなり、滑るようなネタなり、俺は人を笑わすのに手段選ばないわけよ」


あなたはどう思いますか。


これはほとんど事実であり、彼の考えをベースに、私は文書を書いています。

そしてこれはそんな、やや哀れな、自称バカのただの物語。


前回と同じく、スペシャルサンクス

:にっしーとその仲間たち


できるだけ忠実に再現したいと思っていますが、小説としてのおもしろさを重視しています。


感想、指摘など

ありましたら聞かせてください。

よろしくお願いします。


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