表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
刀武士  作者: ノナ
9/9

第9話:不滅決

  「ちょっとしたハプニングはあったが、状況は依然として私の掌握下にある」と鬼蛇獠は自信たっぷりに言った。

  「今度こそ、あの子を始末できるはずだ」と鬼蛇獠がそう言い終えると、問刀の方へ視線を向けた。

  彼を驚かせたのは、送り出した二人の山賊が、わずか1分も経たないうちに、全員血の海に倒れていたことだった。

  問刀は、刀についた血を拭いながら、同じく鬼蛇獠を見つめていた。

  「なんてことだ、これは一体どういうことだ?」鬼蛇獠は、青天の霹靂を食らったかのようだった。

  「どうやら、情勢は、私が想像していたよりも厳しいようだ。」

  「この厄介なガキを始末するため、残りの者は全員、彼を攻撃しろ。俺は一人で残って、当岩を相手にする。」

  「この当岩も、もう長くは持たないだろう。」鬼蛇獠は当岩を観察しながら言った。

  確かに、今の当岩は体に多くの傷を負っており、『不滅決』で治療しているとはいえ、体中の至る所に血のかさぶたができていた。

  しかも、数回の消耗戦を経て、当岩の体内の土属性エネルギーもほぼ枯渇していた。

  一方、鬼蛇獠は実力を完全に温存しており、当岩を圧倒するには十分だった。

  十人ほどの山賊たちは、皆凶悪な連中で、問刀を四方から包囲した。

  一度包囲されれば、勝算はほとんどない。

  同時に、十人の山賊が一斉に問刀へと突進した。問刀は冷静に対処し、山賊たちが全員近づいた瞬間、虎のように軽やかに跳躍し、山賊たちの頭上を飛び越えた。  

  こうして、難なく包囲網を抜け出した。

  一方、山賊たちは陣形を乱され、次々と問刀へと突進していった。

  一方、絶好調の鬼蛇獠は、疲れ果てた当岩と対峙していた。

  鬼蛇獠は、蛇のようにしなやかな不気味な足取りで、腰を低くして地面を駆け抜けた。

  突然跳躍し、毒蛇が獲物を噛み砕くかのような猛烈な勢いで飛び出し、当岩の眼前へと到達した。

  一方、当岩は、まるで硬い石のような掌を鬼蛇獠の頭めがけて叩きつけた。

  鬼蛇獠は頭を下げ、その一撃をかわした。同時に、手にした蛇頭の杖が毒のエネルギーを吸収すると、蛇の頭が動き出し、当岩の腕に飛びかかり、牙の跡を残した。

  瞬く間に、当岩の腕全体が緑色に染まった。

  「プッ!」当岩は黒い血を吐き出し、地面に倒れ込んだ。その表情は極めて衰弱していた。

  「こいつを捕まえろ。じっくりと拷問してやる!」鬼蛇獠が命じた。

  「そうか?」聞き覚えのない声が響いた。当岩の背後に現れたのは、彼の山賊の手下ではなく、あの18歳の少年だった。

  「お前、まだ死んでいなかったのか!」鬼蛇獠は驚き、視線を別の方向へ向け直した。

  地面には十数体の死体が横たわっており、どれも微動だにしない。

  「お前一人で、十数人を殺したのか? 奴らのランクは、お前と同じくらい高いはずだぞ」鬼蛇獠は目を丸くし、起きた出来事を信じられない様子だった。

  「お前の目に見えている通り、奴らはすべて俺が殺した」

  「問刀、無事か?よかった。」衰弱した当岩もまた、信じられないという表情で問刀を見つめ、その目には喜びが溢れていた。

  「では、当岩隊長、これからあなたは治療に専念してください。戦闘能力が回復してから戦いに加わっても遅くはありません。」

  「できる限り引き止めておく。」

  「頼むぞ。」当岩は敬意を込めて頷いた。

  「それと、くれぐれも気を付けてくれ。何しろ、あいつは武道二段中級者だ。」

  「了解。」問刀は当岩に背を向けたまま答えた。

  「ふふ、お前というやつは、本当に予想外だな。あの役立たずの部下たちが殺せなかったのなら、俺が直接殺してやる。」

  鬼蛇獠は杖を問刀に向け、指を突き出すと、瞬く間に蛇の頭が伸びて問刀に襲いかかった。

  一方、問刀は刀の刃で、その蛇の頭を正確に打ち抜いた。

  「ガシャン!」

  なんと蛇の頭は金属製だった。衝撃を受けて縮み上がった。

  一方、鬼蛇獠は杖を振り回し、蛇の頭が鞭のようにしなるように打ち出された。

  問刀は、刀の刃で軽やかにそれを受け止めた。

  突然、蛇の頭が1メートル伸びて問刀の刀に絡みつき、さらに伸びた蛇の頭が問刀の手首に飛びかかり、噛み付こうとした。

  問刀は、手際よく蛇の首を掴み上げた。

  不思議なことに、この金属製の蛇はまるで生きているかのように、かなりの力を持っていた。

  二人は、こうしてしばらく互角の攻防を繰り広げた。

  次第に問刀の体力が尽きかけてきたが、蛇の頭は依然として活発で、もうすぐ噛みつかれそうだった。

  その時、巨大な影が前方に現れ、鬼蛇獠の胸に掌を叩きつけた。

  「ドスン!」その音は、まるで木が炸裂するようなものだった。

  鬼蛇獠は3メートルほど後ろへ吹き飛ばされ、胸を押さえながら顔を歪めた。

  突然現れた男を見れば、それは正体を現した当岩だった。

  問刀はこの隙を突き、突如として前に飛び出し、鬼蛇獠の眼前へ到達すると、一刀でその心臓を貫いた。

  鬼蛇獠の顔には悔しさが満ちていたが、結局倒れざるを得なかった。

  「問刀、見事だ」当岩は称賛した。

  問刀は振り返り、刀身の血を拭い、刀を収めた。

  突然、鬼蛇獠の死体が握っていた蛇頭の杖から、緑色の光が閃き、蛇頭が蘇ったかのように伸びて、問刀の背中を噛み付こうとした。

  「気をつけろ!」当岩は即座に警告した。

  問刀は刀の鞘で蛇の頭を激しく叩き、弾き飛ばした。

  その金属製の杖は、ようやく完全に力を失った。

  「実に卑劣だ。鬼蛇獠は、さすが毒蛇の如く、死ぬ間際まで人を噛もうとするとは。」当岩は驚きを露わにした。

  「問刀、今回は君のおかげだ。そうでなければ、俺は命を失っていただろう。」

  当岩は感謝の笑みを浮かべた。

  「正直なところ、君一人だけで同格の山賊十数人を倒すとは、本当に目を見張るものがある。」

  「武道二段中級の鬼蛇獠を相手にしても、傷一つ負わなかった。君の才能は、実に高い。」

  「俺の体は、かなりの傷を負っている。治るには時間が必要だ。」

  「それなら、このまま旅を続け、一気に水市町まで行こう。」

  「だが、そう言えば、あんな奇妙な武器には初めて出会った。ただの杖なのに、まるで本物の毒蛇のように人を噛むなんて。」問刀は地面に落ちている杖を見ながら言った。

  「あれは、特殊な素材で作られた『宝器』という武器で、特別な能力を発揮するんだ。」

  「水市町には、そういった宝器がたくさんある。そこに行けば、もっと詳しく知ることができるだろう。」

  「そうだ、命を救ってくれたお礼として、これが今回の報酬だ。前払いするよ。」岩は金の元宝を手にした。

  「こ、これは十分にも十両はあるでしょう。私の元の給料の十倍ですよ。」問刀は金の元宝を受け取りながら言った。

  「この金額、私が二年働いても、やっと稼げるかどうかという額です。」

  「ハハハ、何でもない。君が当然受け取るべきものだ。今回の危険は、君も身をもって体験したはずだ。だからこの報酬は当然のことだ。」

  「これ?」問刀は金塊を撫でていると、ふと異変に気づいた。ひねってみると、なんと金塊が開き、中には折り畳まれた紙が収められていた。開いてみると、そこには細かい文字がびっしりと書かれていた。

  「不滅決?」問刀は驚いた。そこには、なんと当岩一族の秘伝の武術『不滅決』が記されていたのだ。

  「当岩隊長、間違えていませんか?」問刀はそう指摘した。

  「違う。問刀、これはわざとここに置いて、君に伝授するためだ。」

  「『不滅決』は、我が家の掟により、部外者に伝えることは許されていない。だが、君がいなければ、私も命を失っていただろう。だから、わざと黄金の中に仕込んだのだ。私がうっかり間違えてしまい、君が偶然それを見つけて、学んだことだと考えてくれ。」

  当岩はそう言うと、牛を引いて先へ進んだ。

  「え?それなら、感謝します!」これほど貴重な武術書、問刀が逃すわけがない。

  「問刀、読み終わったら、必ず燃やしてくれ。他人の手に渡らないように。これは我が家の一冊だけの写本だ。燃やしてしまえば、この武術書を知る第三者はいなくなる。」

  「分かりました。」問刀は牛車に座り、『不滅決』を読みながら、その指示に従って修行を始めた。

  彼が両手で奇妙な印を結ぶと、体内の赤い金属のようなエネルギーが、まるで潮が身体を洗い流すかのように駆け巡った。あらゆる悪い不純物を、すべて洗い流していった。

  修行を終えると、問刀の身体は随分と軽くなっていた。

  「この『不滅決』は、体内の毒素を排出できるだけでなく、身体の傷も癒すことができる。他人に教えないと約束してくれ」と、岩は歩きながら言った。

  「はい。」問刀は頷いて承諾した。彼はすでに『不滅決』を完全に覚えていたため、その紙を火で焼き捨てた。

  二人は水市町に到着すると、車に積んだ宝物を約束の商人に引き渡した。

  商人は感謝の意を表すため、わざわざ問刀と当岩を自邸にしばらく滞在させるよう招待した。

  また、当岩は傷を癒やす必要があったため、問刀はしばらく水市町に滞在することにした。

  

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ