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刀武士  作者: ノナ
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第六話:予言

  肖像画には、豪華な衣装を身にまとい、がっしりとした体格の、わずか20歳の美青年、藤原・桜司が描かれていた。

  さらに、麒麟の形をした純金の鍵もあった。

  「問刀、大丈夫?」酒場の主人の娘が、酒場から飛び出してきて尋ねた。

  「大丈夫だ」問刀は急いでその肖像画に火をつけ、すべての情報を記憶に刻んだ。

  「本当に彼らの条件を受け入れるの?罪のない人を殺すなんて?」店主の娘が尋ねた。

  「他に選択肢はない」問刀は仕方なさそうに言った。

  「少なくとも、山海村の村人たちのために、一年の平穏を勝ち取ったんだ」

  「問刀。」酒場の主人も体力が少し回復し、店の入り口まで来て、遠くから問刀を見つめていた。

  「君を信じている。」酒場の主人は、真剣な口調で言った。

  「もし何か手助けが必要なことがあれば、全力で助ける。」  

  「ありがとう」と問刀は感謝した。

  翌朝、問刀は荷物を背負っていた。その中には、酒場の主人と娘が用意してくれた衣服、食料、そして少量の金貨が入っていた。これらは、問刀が外で一ヶ月以上生き延びるのに十分な量だった。

  「何かあったら、いつでも戻ってきていいぞ」酒場の外から、主人が呼びかけた。

  「承知しました」問刀は二人を振り返り、すぐに背を向けて立ち去った。

  そして、村人全員もここに待っていた。問刀が山海村で悪行を重ねていた鬼瓦源太を倒したことで、村人たちの心は当然ながら大いに喜んでいた。

  今回、彼らはこの英雄を見送りに来ていたのだ。

  問刀はこれまで山で修行に励み、村人との接点はほとんどなかった。しかし今回、山海村の村人全員が問刀のことを知るようになった。

  「すごいな、18歳で武道二段だなんて。」

  「鬼瓦源太は野牛のような男だったのに、この少年が彼を倒すなんて、本当に驚きだ。」

  「英雄、ありがとう!」村人たちは次々と問刀に頭を下げた。

  「さようなら、皆さん!」問刀は村人全員に向かって同様に頭を下げ、その場を後にした。

  肖像画の情報によると、藤原・桜司は山海村から二十里離れた金泉町にいる。

  問刀は徒歩で向かうことにした。

  道半ば、前方に谷が現れた。問刀の目の前に、小さな池が見えた。その池のほとりに、釣りをしている男が座っていた。

  その男は蓑を着て笠をかぶり、釣り竿を掲げて釣りをしているようだった。

  「お名前は?」問刀が近づくと、漁師は背を向けたまま尋ねた。

  その時、二人の距離は約五メートルだった。

  「問刀です」問刀は答えた。

  「君は、あの黄金の麒麟の鍵を探しに来たのだろう?」漁師の声は、四十歳前後の男のものだった。

  「どうして……」問刀は驚いた。

  「占いだ。」漁夫は顔を上げ、空を見上げた。今、空には多くの黒い雲が立ち込め、雨が降り出しそうだった。

  「黒雲は墨の如く、すべてを黒く染める。」

  「闇が訪れれば、危機も制御不能となる。」

  「予言は、的中した。」

  「予言? それは何だ?」問刀は訝しげに尋ねた。

  漁師は振り返った。蓑の下には質素な青色の長袍を纏い、その眼差しは山々のように重厚で、風が吹いていなくても、その気品は悠然として俗世を超越しているように感じられた。

  まるで、俗世を見透かしているかのようだった。

  「千年前、木川国に、占いに長けた修行者がいた。彼は修行を重ねて武道の仙人となり、天卜仙人と呼ばれた。」

  「彼が仙人となったその瞬間、千年後に起こる出来事を占って見通し、予言を残したのだ。」

  「黒雲垂れ込め、林木皆死す。

  血流川となり、光明現れず。

  自由尽き果て、屍山を成す。

  何を以て春を還さん、唯金光の闇を砕くに有り。

  麒麟の門を開き、鳳凰の道を導く。

  火の羽に霊を見ん。」

  

  「黒雲とは、木川国の隣にある黒雲国を指す。黒雲が覆い尽くすとは、黒雲国が侵略し併合してくることを意味し、木と川は、木川国でまもなく起こる惨状、すなわち血が川となる事態を予示している。人々の自由は失われ、至る所に死体が転がる。」

  「つまり、黒雲国が木川国を侵略し、木川国の民を虐殺するという意味だ。」

  「今、黒雲国は木川国に『血戮衆』という勢力を送り込み、木川国の内部関係者に絶えず賄賂を贈り、木川国に戦乱を引き起こそうとしている。」

  「これを阻止しなければ、木川国は黒雲国に侵略され、占領されてしまうだろう。」

  「そして解決策は、予言の後半にある。『麒麟門を開き、鳳凰道を引く。火羽に霊を見ん』。」

  「これらはすべて、一つのもの、すなわち武法『毀滅斬』を指し示している。」

  「武法には上・中・下の等級があるが、『毀滅斬』は上等品をはるかに超え、極品武法である。」

  「『滅亡斬』?」問刀は疑わしげに言った。「あれは伝説の武法ではないのか? 伝説の中にしか存在しないはずなのに、まさか本当に存在するのか?」

  「もちろん存在する。『滅亡斬』は最高峰の武法であり、それを手に入れた者は、すべてを滅ぼす力を得るのだ。」

  「この武法こそが、木川国を救う唯一の方法でもある。」

  「だから、黒雲国は木川国を円滑に併合するために、当然、先手を打って『滅亡斬』を手に入れようとするだろう。」

  「そして、予言にある麒麟とは、藤原家の持つ麒麟の黄金の鍵を指しており、鳳凰については、木川国の国王の国庫の中に収められている。」

  「黒雲国が木川国を併合しようとしているのも、『滅亡斬』を確実に手に入れ、その先、次の国への侵略を続けるためだ。」

  「藤原家は『滅亡斬』の手がかりに関わっているため、血戮衆は彼らを脅迫したり誘惑したりして、協力させ、『滅亡斬』を確実に手に入れようとしている。」

  「 しかし、藤原家は当然ながら血戮衆の野心を見抜いており、彼らと協力するつもりはなかった。」

  「それゆえ、血戮衆は、君にあの麒麟の鍵を奪わせようとしたのだ。」

  「木川国の民として、私は生涯をかけて学んだすべてを尽くし、この災厄を阻止しなければならない。」

  「君がどう選ぶかは、君自身の問題だ。さようなら、少年。」

  漁師は釣り竿を片付け、その場を去った。

  「『滅殺斬』?」問刀は疑問を抱いた。この武法は、ずっと伝説の域を出ず、まさか実在するとは誰も信じようとしなかった。

  極上の武法であり、それを手に入れた者は、すべてを破壊する力を得ることになる。

  これこそが、血戮衆が奪い取ろうとしているものなのだ。

  問刀は、金泉町へと向かった。

  ここは豊かな町で、通りには数多くの店が立ち並び、遊びには絶好の場所だった。

  問刀は、ある宿屋を選んで泊まることにした。藤原・桜司については、彼はよくここへ遊びに来ているので、そう遠くないうちに彼に会えるはずだと信じていた。

  数日後、正午。

  通りには、十数人もの屈強な黒衣の男たちがおり、彼らの動きの一つひとつが、真ん中に囲まれた男を必死に守ろうとしているようだった。

  その中心にいる男は、高価な白い服を身にまとい、手に扇子を持っていた。

  この男はわずか20歳だが、その肌は女性よりもさらに滑らかだった。その瞳は情愛に満ちており、どんな女性と視線を合わせても、その女性を虜にしてしまうほどだった。背筋はまっすぐで、身長は190センチにも及ぶ。その堂々とした体格に加え、端正でハンサムな顔立ちは、その場にいたすべての男性を圧倒するのに十分だった。

  彼のあらゆる動作は極めて優雅で、その眼差しは宝石のような輝きを放ち、直視することさえためらわせるほどだった。

  彼の登場は、瞬く間に全員の視線、とりわけ女性たちの視線を引きつけた。

  40代、50代の女性も、20代前半の女性も、まるでファンミーティングのように、ひしめき合うように彼のもとに集まってきた。

  「見て、あれが藤原・桜司よ、超イケてる!」ある女性が叫んだ。

  「さすが木川国一のイケメン、彼のためなら何でもするわ」

  女性たちは白衣の男を夢中で見つめていた。

  一方、白衣の男は淡い笑みを浮かべ、人混みを眺めていた。

  「あ、藤原・桜司が私を見て!」藤原・桜司と目が合った一人の女性が、まるで感電したかのようにその場で気を失った。

  「私の魅力で女性が気絶するなんて、よくあることだ」藤原・桜司の声は磁石のような響きを持ち、女性たちが最も好む音色だった。

  一方、男たちは藤原・桜司を尊敬の眼差しで見つめていた。何しろ彼は藩主の息子なのだ。

  彼の父、藤原・征宗は蒼都府全体を掌握し、至高の地位に就いている。

  「藤原・桜司少殿は、極めて高い地位にあるだけでなく、これほどまでに端正な顔立ちを兼ね備えているとは」群衆の中から、ある男が目を輝かせて言った。

  「何だと?」藤原・桜司は群衆を観察していたが、やがて一人の黒衣の男に目を留めた。

  その黒衣の男は、服装の豪華さでは彼に劣るものの、なんと彼に引けを取らないほどの美貌の持ち主だった。

  「木川国に、まさか自分と同じくらいハンサムな男が二人目だなんて!」藤原・桜司は驚愕した。

  そして彼が今、じっと見つめている相手こそ、問刀だった。

  問刀もまた、藤原・桜司を観察していた。

  しかし、藤原・桜司は問刀に注意を向けてはいなかった。たとえ二人が同じくらいハンサムだとしても、藤原・桜司の地位に比肩する者はいないからだ。

  これこそが、彼が木川国全体で永遠に第一位であり続ける理由だった。

  「あいつだ」問刀の傍らで、全身を白い包帯で覆い、目だけを出した男が口を開いた。

  「お前の役目は、彼に近づき、そして殺すことだ。忘れるな、彼を殺す前に、必ずその一族の麒麟の鍵を手に入れなければならない」

  「彼に近づく方法だが、藤原・桜司は毎年、自身の安全を守るために新しい護衛を選抜している。」

  「そして、彼の護衛になるには、『護衛大会』と呼ばれる試験に合格しなければならない。」

  「あと三ヶ月で護衛大会だ。武道二段中級以上でなければ、出場資格はない。」

  「まず、君は実力を高め、武道二段中級に達する必要がある。君の才能なら、三ヶ月あれば余裕で到達できるだろう。」

  「第二に、他の出場者を打ち負かすことだ。そうすれば、君は無事に藤原・桜司のボディーガードとなり、彼に近づくことができる。」

  「その後、彼の信頼を勝ち取り、あの麒麟の鍵を手に入れ、そして彼を殺すのだ。」

  「以上が、計画のすべてだ。」顔全体を包帯で覆った男はそう囁くと、背を向けて立ち去り、人混みに紛れて姿を消した。

  

  

  

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