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最期のとき


ついに隣国との戦争が始まった。

全ての魔法使いが召集されて、戦場に行った。

もちろん、カルヴァート様も例外ではない。

むしろ、率先して召集されたことだろう。


そして私は、私たち聖女は、数日後に戦場に赴くことになる。

二度目だとしても、こればかりは慣れない。


戦争は嫌いだ。

たくさんの人の命を奪っていく。

昨日隣で笑い合っていた人が、今日横で冷たくなっているなんて珍しくない状況。

大切な人をたくさん奪っていく。

それが戦争というものだ。


どうして、戦争なんかするのだろうか?

どうして、みんな仲良くできないのだろうか?


憎しみあって、恨みあって、悲しみの支配する世界に、なんの意味があるのだろう。

そこまでして譲れないものが、本当にあるの?

人の命よりも大切なものって、何なの?


私にはわからない。

理解できない。

だから、戦争は嫌いなんだ。


戦争さえなかったら……カルヴァート様を失うことなんてなかったのに……

もっとたくさん話をして、一緒にいられたかもしれないのに。

戦争なんて、なくなってしまえばいいのに。


私は窓から外を眺めて、その時を待った。

来ないで欲しいと願っても、日は過ぎていく。


ついに、聖女が戦場に召集される時が来た。

前日に知らせを聞いて、どの聖女も顔色が良くない。

ソワソワとして、落ち着きが全く感じられない。

私も、彼女たちとは別の意味で、落ち着かなかった。

刻一刻と迫りつつある最期のとき。


未来を知っていて、その未来に向かって進んでいる状況は、どうにも落ち着かない。

移動中はずっと、馬車の窓から外を見て気を紛らわせていた。

けれど、一向に気が紛れることなんてなかった。


馬車から飛び降りて、引き返してしまいたかった。

そんなこと、できるはずないのに。

ここまで来た以上、もう引き返せない。

終焉の足音は、すぐそこまで迫っていた。


数ヶ月という短い時間だったけど、やり直しができてよかった。

やりたいことはやった。

やりたくないことはやらなかった。

言いたいことは、全部言えた。


なのにどうして……こんなに視界が滲むんだろう?


泣きたいのは、私じゃない。

泣く資格なんて、私にはない。


こんなんじゃ、心配をかけちゃう。

みんなにも不自然に映る。


早く泣き止まないと。


私は袖口で乱暴に目をこすった。

そして両手で頬を叩くと、気持ちを切り替えた。






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