救い SIDE:カルヴァート
なんて奇妙な聖女なんだろうと思った。
俺の意見なんか、聞いているようで全く聞いていないし、自分の言いたいことだけ言って、言い逃げする。
聖女就任式のときは全く気にかけていなかったけど、彼女と組むようになってから、気づけば彼女のことを考えている。
まるで俺の心の中を見透かしたかのような言動は、奇妙で、居心地が良くなくて、それでいて胸が温かくなる。
不思議な感覚だった。
「あ!また、無茶しましたね!言ったじゃないですか!泣きますよ?号泣しますからね?」
「ま、待て……さすがに大人として、それはどうなんだ?」
「約束は約束です。」
「泣く約束なんてしてないだろう!泣くな!泣くなよ!」
「それは……フリですか?」
「違うに決まっているだろう!?」
「冗談ですって。」
彼女は、聖女らしからぬ破天荒な性格だ。
いつ会っても、その笑顔は変わらない。
なぜかそれが、ホッとする。
他の魔法使いや聖女といる時に見かけたときは、どこのお上品なお嬢様聖女かと驚いた。
何故俺にだけこの態度なのかわからないが、不愉快ではない。
むしろ……ムズムズして、表現し難い気持ちになる。
俺がこんなに気軽に話す相手は、彼女だけだ。
彼女だけは、俺を兵器扱いしない。
化け物扱いして、怖がられることもない。
彼女だけが、他の人間と違う。
彼女だけが、俺を普通の人間として扱ってくれる。
心配して、怒って、泣いてくれる。
俺が魔法使いでなければ、彼女と出会えなかっただろう。
けれど魔法使いでなければ、もっと普通の人間として、生きていけただろうか?
答えの出ない「もしも」を考えても、仕方のないことだ。
仕方のないことを考えるのは、時間の無駄だ。
なのに、考えてしまうのはなぜなんだろうか?
わからない。
わからないけど、わからないままでもいいと思ってしまう。
彼女と交わした約束は、彼女からの一方通行だったけど、今では俺の支えになってくれている。
帰る場所など、待つ人などいないと思っていたのに、彼女が待っていてくれる、帰る場所になってくれると思えば、もう少しだけ生きてみようと思えるようになった。
生きる楽しみなんて何もなくて、死を望んでいたけど、少しは生きようと思えた。
それがくすぐったくて、胸を締め付けた。




