表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/10

『なんとかなる、きっとなる?』

「どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう」

 厨房でカミュは祈りながら思考を巡らせていた。


 本日の当番は、カミュと──ダーイング。

 まだ、料理経験の浅い大公様と凝った料理なんて作れない自分。

 ……ここはもう。諦めるしかない。

 適当に、食料庫にある保存食つまりは、ギリクが作り置いているものを煮るなり焼くなりして食べれる状態にするしかない。

「ギリクさん、ごめんなさい。今度お手伝いしてお返しします」

 鶏のレバーパテと、大嘴(ロックバード)のもも肉のコンフィとラベルが貼られた二つを取り出して調理台に乗せると、カミュはパテの瓶をダーイングに渡して、サンドイッチを作るように頼んだ。


 コンフィを火にかける。

 ゆっくりと固まっていた脂が溶けて、ローズマリーの香りがふわり、と鼻をかすめた。

 ううう。美味しそうです。ギリクさん、ありがとうございます。ごめんなさい。


 ◇◇◇


 何をそんなに謝っているのだろうか。

 ダーイングはレバーパテを黒パンにたっぷりと塗り、その上にスライスしたきゅうりにトマトを乗せて最後にゆで卵を並べて、オープンサンドにして、黙々と皿を埋めていた。

 いつのまにか指についていたパテを舐め取ると。

 貴族でも「こちらは高級料理店で購入した品物でございます」と言われてもわからないだろうと思わせる程の出来栄えだった。

 ……。

 ……料理の腕で、あの巨人を負かすことができるかどうか、一瞬考えて。

 ダーイングは即座に考えそのものをなかったことにした。

 そう、「俺は何も思っていない」と。

 無心になって料理に没頭した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ