『鴨のコンフィ〜執事の至福〜』
ギリクさん、鴨のコンフィの塩加減が抜群です。
ウィスタードが絶賛し、シャンパンをあおる。塩気と程よい脂。揚げ物とはまた違う味覚に舌は喜びを感じる。
「保存食っても、遠征先でマズイもん食いたくねえからな」
彼の任地は、ファルネア教主国との国境に構えられた砦だ。
冬は物凄く寒い。
なんでも、最初の任務で自作していったら、次からは上官命令で、任務期間中の分を大量に作らされたとか。
ランバルト共和国の兵食は、他にもたくさん、ギリクがレシピに手を加えて味を変え、高評価を得ている。
なので。
ウィスタードは最初、ギリクは軍人ではなく、軍食堂の調理師だと勘違いしていた。
ゆっくり、じっくり。
低温の油で調理された鴨肉をかみしめる。
「ああ、シャンパンがすすみます」
なんて、素晴らしい休日なのだろう。
独り占めして、申し訳ありません。お嬢様──ですが、たまには赦されますよね?
付け合わせ(ガルニチュール)のジャガイモにフォークを刺す。
香ばしいカリカリのガーリックとパセリと合わせたそれは、口の中でほくほくに、ザクザクとした食感が同居している。
「……すいません、おかわりをお願いします」
「パンは?」
「食べます」
ちょっと、食べ過ぎている。
しかし、目を瞑ろう。
この利子はあとで運動をして、チャラにする。
執事は心に誓って、三皿目を完食した。




