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貴族の戦場

「いたた…」



 どうも頭の上に降った鉄拳の痛みを静めようと頭を撫でる僕です。


 僕の暴走で大層肝を冷やしたラザマンドさん、アンリさん、ユウリさんの拳はとても重く、それだけ心配をかけていた事も気付いていながら続けていたからこれは受けるべき罰だ。


 まぁ、そのお陰で王族四人の正確な寸法をアンリさんとユウリさんが測れたし?


 僕も本人達の意見も取り入れた四つのデザインを描き上げて魔法の様だって驚きながら早く作って欲しいと言われたし?


 パトラさんもララティーナさんと大分仲良くなってたし?


 セバスさんから今度会ったら紅茶の極意を教えてもらえるし…何より王城に顔パスで自由に入れるようになった。


 後は恙なく祝賀パーティーを終えて……何て考えた僕だけど、恙なく終わるはずなんて無いんだよね。


 だってルクスが貴族に釘を刺してくれたとは言え平民なのに貴族の前で大立ち回りをし、王城に顔パスで入城出来る様にしてもらっただけじゃなく、貴族達がこぞって利用していたスケルツォ商会がラザマンド商会に吸収される事が決まったんだから。



「なかなかいい感じの拳骨だったからなぁ…当分痛みは引かねーぜ?」


「分かってますよ…ちゃんと拳骨食らった意味も…」


「それが分かってんなら上等だわな。人っつーのは間違えながら成長するもんだし怒られるうちが華っつーしな。あんまリベーラ達を恨んでやんなよ?」


「恨みなんてしませんよ…心配してくれてるのは分かってるので」



 ガシガシとたんこぶを撫でているのに全く痛くない…パトラさんの力加減は何時も絶妙だし、こうやってフォローを入れるタイミングも本当によく分かってる。



「後はパーティーを無事に終えるだけだ。そうすりゃしばらくは平穏だぜ?」


「平穏…なると思います?」


「そう思っとかなきゃ今が楽しく無くなんぜ?」


「…そうですね」



 少し手直しして完成したデザインにそれぞれ名前と寸法、使用する色等を詳細に書き込み一息吐くと、少し離れた所でこれからの動きを計画立てているラザマンドさん達が戻って来る。



「お疲れ様ですラザマンドさん」


「ああ。シオンの方は…ほう、もう完成したのか」


「はい。今回僕達のドレスを作った手際と材料調達を考えて…納期は二ヶ月程になるかと」


「…基本的な材料ならその半分だけど拘ったりしたらもう少し…三ヶ月を見た方がいいかもね」


「そうだね姉さん。ただ…無理に急かされたりはしてないけど大分期待されてたからね、あまりお待たせするのも良くないからシオン君の二ヶ月工程で作る方がいいかな。その分材料調達は値が張っても早めて帳尻を合わせよう。金銭的な利益は少し赤になるけどそんなんじゃ傾く事は無いし、その後の予想利益が俺の想像を超えている可能性が大いにあるからね」


「……ユウリのその辺の感覚は信じてるからそうしましょうか」



 四枚のデザインを穴が開く程に熱心に見つめて使うのは何がいいかと相談し始めるアンリさんとユウリさんだが、ラザマンドさんは僕とパトラさんが使っていた小さな丸テーブルに置かれたままの羊皮紙に目を向ける。



「…?その残った羊皮紙は?」


「これですか?覚え書きです」


「また新しいデザインか?流石に利益が出てから買い取りになると思うが…」


「いえ、これは服のデザインじゃないです。ここにいる皆さんなら別に問題ないので見ますか?」


「ふむ…?」



 そういう事ならと伏せていた羊皮紙を受け取ったラザマンドさんはどんどん表情が驚きに変わり、何度も上から下へと視線を動かし続けて僕の両肩を砕かんばかりに掴んだ。



「本当に…これが出来るのか…!?」



 あああ!?僕の華奢な肩がミシミシ言ってる!



「ら、ラザマンドさん…!い、痛いです…!落ち着いてください…!」


「っ!?す、済まない…」



 ふぅ…ラザマンドさんが我を忘れてここまで驚くという事は『俺』が居ない30年の間でもこういう物は生まれなかったか、別の物で代用していたんだろう。



「おいおい…そんなに取り乱す物なのか?」


「パトラも見て見ればわかる…シオン、見せていいか?」


「いいですけど…痛くしないでくださいね?」


「ふーん…?」



 予防線を張りつつラザマンドさんから渡された羊皮紙を見つめるパトラさん。


 むしろこれはラザマンドさんより元冒険者で現ギルドマスターのパトラさんにこそ刺さる物かも知れない。



「…マジかよ…!出来んのかシオン!?」



 あー、今度は両肩がギシギシ言ってる…。



「い、痛い…!です…!」


「っ!?…済まねぇ…」



 両肩を擦りながら僕は二人の手から離れた羊皮紙を丸テーブルに置き、ワザとらしく咳払いしながら告げる。



「この魔力伝導駆動式義肢、略して“魔導義肢”は理論上可能です」



 僕が羊皮紙に描いた物は義手や義足といった四肢の欠損を治せない人が使う医療機器メーカーで働いていた僕なりの魔道具だ。


 この世界で四肢の欠損を治すにはいくつかの方法がある…一つは欠損した手足が損傷の少ない状態で持っているか、もう一つは希少な神聖属性による欠損すらも癒す回復魔法を使ってもらうかだ。


 だが、欠損した手足を状態が良いまま保管する事は難しいし、殆どがぐちゃぐちゃになるか魔獣に襲われているのであれば食われてしまう。


 そうなると殆どが繋げる物が無くても生み出す事が出来る光の上位属性である神聖属性の回復魔法だが…希少故に扱える者が少なく、扱えれば教会が囲ってしまい貴族でも一歩下がる様な多額の喜捨を要求される事必至だ。


 一応ルクスの今後を思って左腕を斬り落とした時は神聖属性の回復魔法じゃなくても後でくっ付けられる様にかなり綺麗に落としたが、それでも隻腕で居続けるのはきっと『俺』を殺して選血の時代に終止符を打つと決めたルクスなりの戒めなのだろう。


 でも『俺』は僕と混ざり神の使命を以て生まれ変わった。


 だったらその戒めはもう必要が無いし、『俺』が奪った左腕をプレゼントするぐらい問題ないはずだ。


 ただ、僕が神聖属性の回復魔法でルクスの腕を新しく生み出す事は出来るだろうが、今まで左腕を治さなかったのに何故今頃?という疑問と、その神聖属性の回復魔法を使ったのは誰だ?という疑問が生まれてしまう。


 だから新しく腕を生み出すのではなく魔導義肢だ。


 魔導義手ならそんな疑いは生まれないし、ルクスだけじゃなく四肢の欠損で絶望する人達を救う事が出来る。


 教会には目を付けられるだろうが、喧嘩を吹っかけてくるならこっちも抵抗すればいいだけだ。


 だって僕は教会が崇める神の眷属なんだから。



「理論上は…というと何か懸念する事があるのか?」


「…偏に僕の技術と知識不足です。この魔導義肢はエルルさんから教えてもらった魔法陣が基礎となっていて、その魔法陣の強弱を僕達が普段手足を動かすのと遜色がない様に動かすとなると相当難しい調整が必要になってきます。だから現段階では理論上可能という机上の空論としか言えませんが…絶対に作って見せます、僕の初めての魔道具を」



 そう力強く答えるとラザマンドさんの瞳が潤み、パトラさんも瞳を潤ませながら今まで以上に破顔して肩を組んで来る。



「…そうか、ラザマンド商会の仕入れ先を利用したいと言ったのはこういう事か…ラザマンド商会はシオンに全面協力しよう。絶対に実現させてくれ」


「ああ!アタシも全面協力すんぜ!欲しい魔獣の素材があんなら何でも言え!アタシが全部取って来てやる!」



 この魔導義肢の価値を皆迄言わなくても理解してくれる人で本当によかった。



「分かりました。その為には工房兼店舗兼自宅が必要なので早めに手配して欲しいです」


「分かった、諸々の手続きに関してはラザマンド商会に任せてくれ。アンリ、ユウリ、この案件は最重要案件だ。何を置いてもいい、明日中にシオンの希望を全部叶えてやってくれ」


「「はっ」」



 最重要案件…か。


 そこまで大袈裟じゃないけど今まで諦めなくちゃいけなかった事を諦めなくて良くなるかも知れない様な物だもんな。


 ここまで喜んでもらえて力を貸してくれるのなら全力を尽くそう。


 そんな事を思いながら僕は今日の締めくくり、祝賀パーティーの時間までラザマンドさん達に自分が構想している魔道具の案を口から出し続けた。





 ■





「こちらが祝賀パーティーの会場となっております」



 20時…謁見が12時だったから約8時間程経った今、僕達はセバスさんに連れられ謁見の間より少し小さめの門の前にいた。



「既に出席者は集まられておりますのでどうぞお入りください」


「分かりました」



 今回の主役はラザマンドさんとパトラさん。


 主役は最後との事だが…平民が貴族を待たせるなんてしていいのだろうか?


 答え、問題ない。


 だってラザマンド商会は今まで贔屓していたスケルツォ商会を吸収し大商会となるからだ。


 ここでラザマンドさんに悪感情を持てば美を追求する貴族はその時点で他家に後れを取る事になるだろう。


 だから懸念と言えば…



「ラザマンド商会会頭、リベーラ・ラザマンド様、冒険者ギルドフルール支部ギルドマスター、パトラ・メイガス様ご入場です」



 そう、飢えた獣の様に利益を求める貴族達のアプローチだ。



(うわ…視線すご…)



 目を伏せ憂いと冷たさを演出しながら堂々と歩くラザマンドさんとパトラさんに付き従う僕。


 会場は謁見の間の1.5倍程の広さで床は全て真っ赤な絨毯。


 中央は金色の支柱同士を白く太い紐で四角く区切られ、その周囲には見た目美しい料理が乗せられた丸テーブルが散りばめられている。


 そのテーブルを貴族達が各々グラスを持ちながら囲っていて、僕達の登場で一斉に視線が向けられている。


 その奥は一段高くなった広場があってそこにも丸テーブルと少ないながらも貴族が居て、更にその奥で一段高くなった場所にルクス達王族が玉座に座っている。


 この段差は地位を表すもので、一番下は男爵、子爵、伯爵位のフロアで、一段上は侯爵、公爵位のフロア、最上段は王族のみのフロアとなっている。


 そしてその段差は決して階級が下の者は登る事は出来ず、上の者が下の段に降りて話しかけるまで話す事が出来ないのだ。



(…見た感じ、謁見の間にいた人数と合わない…シュバルツ家との繋がりから悪事を暴かれて処されたかな…?)



 白雪を貶した奴等の顔が軒並み見えない理由を推察しながら内心ざまぁみろとほくそ笑んでいると、僕達が潜った扉が閉まり最上段からカツンと杖が床に突き立てられた音がする。



「皆の者、今宵はラザマンド商会会頭リベーラ・ラザマンドと冒険者ギルドフルール支部ギルドマスターパトラ・メイガスの祝賀だ。無礼講とまではいかぬが礼節を以てこの祝賀を楽しむと良い。…ローゼン王国に栄光と安寧を」


「ローゼン王国に平和な繁栄を」



 決められた文句を唱え皆がグラスを一気に傾ける。


 僕も習ってオレンジジュースを飲み干せば祝賀パーティー開始となる合図として楽団が扉から現れ、テキパキと準備を始めゆったりとした曲を演奏し始めた。



(おお…これが貴族の社交パーティー…凄いなぁ…)



『俺』は元々貴族だが、幼い頃から才能無しと見限られ拷問の練習台とされていたから参加した事はない。


 思うのは…こんな多くの料理の殆どが食べられず廃棄される悲しさだ。


 一人で残さず食うのには到底無理な量だし、がっつけば品位を疑われる。


 結果残す事になるのだが…まぁ、そういう事が出来る事も貴族としてのステータスなのだろう。


 絶対に理解出来ないが。



(さて…誰が最初に話しかけてくる…?)



 開始してから10分…今の所ラザマンドさん達に話しかけようとする家はいない。


 というより牽制し合っているのだろう。


 男爵位の家が先に話しかければそれ以上の貴族位の家が間に割り込んできたり、商談をしていればそれ以上の好条件で掠め取られるかも知れない。


 かと言って先に話しかけられては…という思惑が複雑に絡み合って僕達にチラチラと視線を送るだけの状況だ。


 流石なのは一段上の貴族家…堂々として落ち着きながら他家の動向を伺っている雰囲気がある。


 この場で無くてもいつでも交渉が出来ると算段を付けているのか焦った様子はない。


 このまま何事も無く済めばいいなと思いながらラザマンドさん達が食べる料理を小皿に盛り付けていると…



「何なのかしらあの子…侍女の癖にあんなドレスを着て…」



 そんな声が聞こえ、チラリと視線を向ければまだまだ若い少女とも言うべき貴族令嬢が嫌味な視線を送りながらコソコソと話し合っていた。



「私もあれぐらいのドレスならお父様に…」



 ふっ、存分に羨ましがってくれ。


 そしてラザマンドさん達との良好な関係を築けず買えなくて存分に悔し涙を流してくれ。


 …そんな声で気付いたが、このパーティーにはどうやら謁見には姿を見せなかった子供、いわゆる次期当主となる跡取りの参加も多い事に気付いた。



(娘を持つ家は出来ないが、次期当主の息子、もしくは次男ならラザマンドさんに婚約を申し込むっていう手も使えるか…明らかに歳の差があるけど政略結婚ならあり得る。『俺』の記憶では55歳の男が12歳の少女を嫁にもらったっていう話もあったし…)



 政略結婚の恐ろしさを感じつつ更に10分ほど経った頃、ゆったりとした曲が少しだけテンポが上がり、中央に仕切られていた紐と支柱が撤去された。



「…シオン、ここからは社交ダンスが解禁になる。気を付けろ」


「畏まりました」



 表情はにこやかのまま声色低く忠告してくれるラザマンドさんに近づき警戒する。


 そして僕を護衛してくれるユウリさんも僕の傍にピッタリと寄り添い防御を完璧に整える。



(これで誘い難いだろうけど…それでも押し通る強者はいるんだよな…)



 そんな心の声が聞こえてしまったのか、鉄壁の防御をまるで紙を破く様に諸共せず僕達に近づいて来る人がいた。



「…シオンさん、私と一曲如何かしら?」



 ララティーナさんと苦笑するラウルさんだ。



「ララティーナ・フォン・ローゼン王女殿下…この平民で侍女の身の私でございますか…?」


「あら?聞こえなかったの?」


「い、いえ…そう言う訳ではございません…私と踊ればララティーナ・フォン・ローゼン王女殿下の格式に傷が―――」


「へぇ、王族の頼みを断る…と?」



 ぐっ…この場でそんな事して見ろ…どれだけルクスが釘を刺してくれたとしても無礼討ちだ…!ラザマンドさん…!助けて…!



「…私の侍女はまだ拙いのでお手柔らかにお願い致します…」



 ら、ラザマンドさぁん!?そんな全てを諦めた遠い目をしないで!?



「ふふっ、ちゃんと主の許可も下りたのよ?主と王族に恥をかかせるつもり?」



 ああ―――もう駄目だ、こうなったらやけだ。



「……畏まりました。この卑しい平民の身でララティーナ・フォン・ローゼン王女殿下を引き立たせ飾れる事を光栄に思います」



 差し出された手に自分の手を重ねチラリと咎める様に視線を向けると済まないとばかりに目礼するラザマンドさん。


 そしてその隣ではラウルさんがパトラさんを社交ダンスに…え?パトラさんも社交ダンス出来るの…!?



「さて…エスコートはしてくださるのよね?」


「…はい、お誘い頂いた素敵な淑女に恥をかかせるような事は一切致しません。忘れられない夜の思い出にして差し上げます」


「あら、とても情熱的…」



 ララティーナさんがクスリと笑うので僕も満面の笑みアタック。



「ふふっ」



 くっ…!効かない…!


 …そんな事よりも身長差だ。


 ララティーナさんは目測170㎝あるかないか、対する僕は150㎝になるかどうか…ララティーナさんが履いているヒールも含めれば30㎝近い差が生まれようとしている。


 アンリさんは身長の差は必ずしも関係ないと言っていたが…それは僕がベテランだったらの話だ。


 僕はまだダンスを習って一週間でとりあえず踊れる様になったばかり…身長の差をカバー出来るような技術は無い…どうしたものか。



「緊張しているの?」


「…いえ、淑女の前で紳士が緊張するはずもありません」


「じゃあ、この手の震えは?」


「…これ程までに素敵な淑女をリード出来る名誉に魂が震えているのです。その震えが伝わってしまったのでしょう…安心してください」


「…ふふっ」



 必至にアンリさんが教えてくれた社交ダンスの基礎を頭の中で反芻させ、そこに殺しで必須となる気配を消す技術で知らずに震えていた手の震えを止め、緊張で定まらない視界と煩い心臓を落ち着けてスッと顔から表情と温度を消す。



「あら…凄いのね?」


「ええ、私は紳士ですから」



 優しく背中に右手を回せばララティーナさんも僕の右肩に優しく触れ、開いた手を僕が握り込む。



「―――いきます」


「ええ」



 そして楽団の音楽に合わせてまずゆっくりとステップ―――あ、あれ?何だか段々曲のテンポが…



「ふふっ、あんなゆったりした曲、私には合わないもの。ついてこられるかしら?」


「っ!?」



 一気にララティーナさんの動きが早くなり、リードする所か僕の身体の主導権を奪う様にララティーナさんが踊り始める。



「あら?足は踏まないのね?」


「…淑女の足は繊細なガラス細工。紳士の私が踏むはずがございません」



 全て冷静沈着を装っているが内心は冷や汗が滝の様に流れている。


 一瞬でも気を抜けば足を踏みそうに…否、ララティーナさんがワザと僕に足を踏ませようとしている。


 そんな時、アンリさんの言葉が脳裏に過る。


 “社交ダンスは貴族社会の戦場”


 正に今、僕はララティーナさんに馬乗りになられてナイフを首に突き付けられている絶体絶命の状態だ。


 そして同じ曲を踊るもう一組…ラウルさんとパトラさん。


 あちらのペアは淀みなく優雅で情熱的でダイナミックで自然と目を奪われてしまう。


 きっと周りの観客もラウルさんとパトラさんのペアを―――あれ?


 …そうか!ララティーナさんは僕と戦ってるんじゃない!ラウルさんとパトラさんのペアと戦っているのか!



「…ようやく気付いたのかしら?」


「…ええ、恥をかかせず済みそうです」


「だったらもっと来てちょうだい」


「畏まりました」



 そこから僕はララティーナさんの誘導に逆らわず身を委ね、身体をダイナミックに動かして小さな身体をより大きく見せる様に大袈裟に手足を舞わせ、時には僕もララティーナさんを誘導して挑戦的に引き寄せる。



「…あちらの動きが良くなりましたね」


「ああ、シオンが気付いたんだろ」


「もっと行けますか?」


「逆に上品なままで付いてこられるか?アタシは荒々しいぜ?」


「ふふふ…なら私も今だけは紳士であり、心内に狼を宿す獣になりましょう」


「いいねぇ」



 ラウルさんとパトラさんがニヤリと笑うといきなり速度が上がり、楽団も釣られる様にして曲のテンポを上げ始める。


 更にワザとこちらにぶつかりそうになるぐらい急接近したりと荒々しい動きに変わり始めていた。



「お兄様…やってくれるわね…」


「仕返ししますか?」


「出来るのかしら?」


「私は目には目を歯には歯をを信条としていますので」


「…ふふっ、いいわ。やりましょう」



 ララティーナさんを抱き寄せ身体を回しながら身体を剥がす…イメージとしては紐を巻いた独楽。


 その独楽になったララティーナさんが一番映える場所に置き、気持ちよく場を独占するラウルさんとパトラさんの動きを制限させて代わりに僕達が場を支配していく。



「白雪、髪を纏めて」



 僕もクルクルと身体を回しながら近づき、広がった真っ白の髪を白雪に束ねてもらって棚引く線に変える。



「…!踊りながら髪型を変えるなんて奇抜ね?」


「僕の髪が邪魔になってララティーナ王女殿下のお姿を隠してしまうので。お気に召しましたか?」


「ええ、とても」


「これから激しく動きます。このままこの場を支配してしまいます」



 そう言ってこちらに身を預けようとしているララティーナさんの膝と腰を支え、彫像を掲げる様に持ち上げて全視線を髪とドレスをふんわり棚引かせるララティーナさんに集める。



「力持ちなのね?」


「羽の様な軽さですよ」


「ふふっ」



 その後も両者一歩も引かぬ場の支配合戦を繰り広げ…10分。



「…はっ…はっ…」



 最後のバイオリンの音で僕達は涼しい顔ながらもじんわりと浮かぶ汗とドクドクと主張する心臓の音を感じながらお辞儀し、喝采の拍手を浴びた。



「はぁ……久しぶりにいい汗を掻いたわ」


「お相手を務められて光栄でございます」



 取り繕う様に、スカートの中に溜まった熱を吐き出す様にカーテシーをララティーナさんに披露すると、パトラさんも略式ながらカーテシーをして笑顔のララティーナさんとラウルさんを見送る。



「はぁー…なかなかやるじゃねーの」


「最初は知らず知らず潰される所でした」



 お互いすまし顔で軽口を言い合いながらラザマンドさんの元へ戻ると、さっきのダンスをきっかけにそこかしこで男性が女性を誘い和やかな社交ダンスが繰り広げられる。


 それはまるで僕達がこの場の主役である事を掻き消す様で…本当に社交ダンスは貴族社会の戦場なんだと思わせる光景だった。



「アンリ…恥ずかしくない様シオンを育てろと言ったがあそこ迄…」


「い、いえ…私が教えたのは先程のダンスではなく今のダンスでして…ララティーナ王女殿下のリードとそれに合わせたシオンの状況判断の賜物かと…」


「いえ、アンリさんが教えてくださらなければあの場に立つ事も叶いませんでしたし、ララティーナ王女殿下、ラザマンド商会に恥をかかせていました。ご指導頂きありがとうございます」



 ふっ、僕は出来る男だからしっかり周りを立てるのだ。


 そしてさっきの社交ダンスを起点に徐々に男爵家や子爵家の面々が見え透いた欲を必死に隠しながらラザマンドさんと会話を始めた。


 僕はそんな話をラザマンドさんの隣で目を伏せ大人しく聞くのだが…



(…下卑た視線だ)



 僕やラザマンドさんの身体を足先から頭まで舐めまわし見下す様に見つめてくる男達。


 こんなの貴族社会では日常茶飯事なのだろうが…本当に気分が悪い。


 というより、今やラザマンドさんは王室御用達のラザマンド商会の会頭で、王族にも目を掛けてもらっている侍女がいるという状況を分かっていないのか…?



「―――だから我がオーソン子爵家がラザマンド商会に資金提供をしてもいいと考えるが…光栄だと思わんかね?」



 しっかり整えられピンと跳ねた口髭を摘まみ撫でる古典的な男が上から目線でラザマンドさんに提案するが…



「有難い申し出でございますが、我々ラザマンド商会は嬉しい事に資金面で援助を必要としておりません。もし贔屓にして頂けるというのであれば是非商品をご購入頂けると商人冥利に尽きます」


「…そうか。商人というのは調子がいいと途端に態度もよくなるのだな。この話を受けておけばよかったと後悔しない事を祈っているんだな」


「ええ、毎朝毎晩しっかりと祈らせて頂きます」



 憎らし気な視線を送りつつ皮肉と飲みかけのワインを残し背を向ける男…スケルツォ商会を飲み込んだ情報を仕入れていれば資金面ですり寄っても無駄だと気付けただろうに。


 謁見からこの祝賀パーティーまで十分に時間があったのだから貴族の地獄耳の様な情報網なら耳にしててもいいはずなのに、それでも資金面でアプローチしてきたのならただの馬鹿か鮮度のいい情報を仕入れられない子爵とは名ばかりの力不足の家だ。


 もし仕入れていて別のアプローチを掛けてたとしてもこちらを一方的に食い物にする魂胆が見え透いてる奴の援助は御免だが。


 きっと何かしらのちょっかいを掛けてくるだろうが…そうすれば破滅するのはえっと…オーソン子爵家の方だ。


 ちゃんと聞き流さず覚えてた僕は偉い。



「お疲れ様です、リベーラ様」


「ああ…ありがとうシオン」



 苛立つ現実を飲み下せる様にワインを差し出せば一息に飲み干してしまうラザマンドさん。



「―――はぁ、本当に鼻につく者ばかりだ…シオン、私は笑えてるか?」


「はい、しっかりと笑みが固まって張り付いておりますので安心してくださいませ」


「…早く引き揚げたいな」


「ええ、私もリベーラ様と気持ちを同じにしております」



 ラザマンドさんから空になったワイングラスを受け取り、周りに見えない様にグラスに手を翳してワインと同じ色のなんちゃってサイダーを注いで渡せば目を見開き張り付いていた笑顔が解けて優しい笑顔に変わる。



「ありがとうシオン、気分がスカッとした」


「恐れ入ります」



 そう、自然に笑った方がラザマンドさんは綺麗なんだ。


 だから侍女の僕がその主人を支え主人の魅力を引き出す…完璧だ。


 それからも何人か相手をしてはなんちゃってサイダーで気分を直し―――



「…シオン、最後の正念場の様だ」


「畏まりました」



 ラザマンドさんからすればこの場で王族以上に気を遣う存在、フェアレイン侯爵家が一段下に降り、他家の注目を集めながら僕達の元に近づいて来た。



「―――どうやら上手くやっている様だな」


「……」


「…これはフェアレイン侯爵家当主、『ダグラス・フォン・フェアレイン』様、次期当主と名高い『リゲル・フォン・フェアレイン』様…この場までお越しくださるだけでなく、その様なお言葉を頂けるとは商人として嬉しく存じます」



 ラザマンドさんに声を掛けたのは現フェアレイン侯爵家当主のダグラス・フォン・フェアレインさん。


 短く整えられた僕と同じ綺麗な白髪に薄紫の瞳。


 目元は冷淡な印象を与える程に鋭く、口元もこれ以上上がらないと思わせるきつく一文字に結ばれている。


 ラザマンドさんが35歳という事を考えればおおよそ50歳程と邪推出来るが、その見た目は若々しく身体も鍛え続けているのかこの場に居る肥え太った貴族とは明らかに存在の格が違う。


 冷血漢…それが僕の第一印象だ。


 その隣にいるのが子息、ラザマンドさんの義兄か義弟のリゲル・フォン・フェアレインさん。


 背中まで伸びた長い銀髪と銀縁の眼鏡に隠れた紫の瞳。


 当主とは違って鍛えられているものの、そこまで身体の主張は激しくなく髪や眼鏡も相まって利発そうな雰囲気を漂わせている。


 ただ…今の目元と口元は苦々しく歪んでいて、それが地位の低い者と話すのを嫌がっているのか、それとも元フェアレイン家のラザマンドさんと対面するのが嫌なのかは今は分からない。


 謁見の前に会ったリュートさんとは本当に違う雰囲気を纏う二人に僕は余計な刺激をしない様、ラザマンドさんの少し後ろで目と頭を少し伏せて話に耳を傾ける。



「…それで?お前の荒唐無稽な理想は叶えられそうか?」


「…大変ありがたい事にルクス陛下にスケルツォ商会が持つ全店舗の利権を賜りましたので問題なく理想に近づけているかと」


「そうか」



 …あれ?ラザマンドさんが言ってた折り合いが付かないって何だ…?僕からしたら子の行く末を案じる父親にしか見えないけど…。



「…貴様がリベーラの侍女か」


「はっ、名をシオンと申しますダグラス・フォン・フェアレイン侯爵様」



 うっ…僕に話が飛んできた…。



「謁見の時の大立ち回りといい、先程の主を差し置いてのララティーナ王女殿下との社交ダンスといい、侍女如きが随分目立っているな」


「…華々しい場でのお目汚し、大変申し訳ございません」



 まぁ、貴族からしたら面白くないわな…。



「ルクス陛下の覚えめでたくとも余り調子に乗らん事だ。貴様が目立ち勝手に恨まれ何処で野垂れ死のうがどうでもいいが、貴様の行い一つで主人の品格を疑われ、その矛先が主人に向く事もあるのだ」



 …やっぱりだ、言い方は確かにきついし平民は平民らしくという信条なんだろうけど…これ、ラザマンドさんの事を心配してるんだよね?



「はっ、ダグラス・フォン・フェアレイン侯爵様のお心遣い、この卑しい心身にしかと刻ませて頂きます」



 僕が両膝をついて敬礼するとラザマンドさんは苦々しく表情を歪ませるが…なるほど、親の心子知らずというものか。


 多分、ダグラスさんはとても口下手で、貴族である事に誇りを持っているから高圧的な言い方になってしまうのだろう。


 そしてラザマンドさんは平民を見下す様な発言や言葉を性格的に真に受けてしまって両者に微妙なすれ違いが起きている。


 だからと言って僕が間を取り持つなんて烏滸がましい事だし、まだここで顔を合わせたばかりで本当にダグラスさんが僕が思っている様な人なのかも分からない。


 ダグラスさんのこの言動は素であってラザマンドさんを案じる言葉ではないかも知れないし、ラザマンドさんもそれを分かっているから折り合いが合わないと言っているかも知れない。


 だからここは何もせずジッと相手が去るのを待つのが僕に出来る事だ。



「リベーラ、お前も自分の傍に置く侍女の首輪をしっかり締めて管理しろ。今回の一件で微妙な力関係で保っていた貴族の均衡が一気に崩れた。そして力を失った家、恩恵を受けていた家はそれを取り戻すべくお前を中心に動く。そんな時に侍女が勝手な事をしでかし、取り返しの付かない事になればどうするつもりだ?」


「……」



 …これはちょっと僕も物申したい。


 元はと言えばフェアレイン家とシュバルツ家のごたごたに巻き込まれただけなのに何を言っているんだ?と。


 その貴族を今回の一件で排除出来たのにお礼の一つも無いのか?と。


 それもまぁ、貴族からしたら微妙な力関係で保っていた均衡なのだろうが…本当に貴族は面倒だと心の中で物申しておこう。



「努々忘れるな、今回の一件はそれ程までに貴族と王国の行く末を晴らすと共に曇らせたという事を」


「…ご忠告…感謝致します…」



 そう言ってラザマンドさんも頭を下げ、踵を返すダグラスさんを送ろうとするが…



「…リベーラ」



 今まで一言も喋らなかったリゲルさんが苦しそうにラザマンドさんの名前を呼んだ。



「…如何なさいましたか?リゲル・フォン・フェアレイン様」


「……リゲル」



 背を向けながらもリゲルさんをひと睨みするダグラスさん。


 その視線に身体をビクリと震わせながらも意を決したのかラザマンドさんの耳元に顔を近づけ呟く。



「…母上が危篤だ」


「っ!?」



 とても小さな呟きだったが僕は【聞き耳】の上位互換である【風の声】の才能を持っている…まさかの一言にラザマンドさんにチラリと視線を向ければ目を思いっきり見開いていた。


 その反応でリゲルさんの声が聞こえていなかったダグラスさんも察したのか諦める様に目を伏せもう一度こちらに向き直る。



「…リゲル、何故フェアレイン家じゃない者にその事を伝える」


「父上…」


「リベーラはフェアレイン家を捨て、フェアレイン家とは何の関わりを持たない平民の商人となり下がった者だろう。何故その事を伝えた?」


「それは…母上がもう一度リベーラの顔をと…」


「これはフェアレイン家の問題だ」



 ダグラスさんの言葉にリゲルさんだけじゃなくラザマンドさんの表情も歪む。


 一時期は家族だったとはいえ、今はラザマンドさんもフェアレイン家から出た身の上で自分でもフェアレイン家とは関係ないと言っていた。


 その手前、一目見たいなど言う事は出来ないだろう…だって無関係なのだから。


 だったら何故、無関係のはずのダグラスさんが出会い頭に事業が上手く行っている事を褒めて、ラザマンドさんが無駄に貴族の被害が受けない様に僕に忠告した?


 それは…心配だからだろう。


 やっぱり僕の感じた事は間違いないみたい、本当にこの親子は貴族だなんだと建前が複雑に絡まり過ぎた不器用過ぎる親子だ。



「…時間の無駄だ。次期当主としての顔見せは既に済んでいる、ここにはもう用はない。帰るぞリゲル」


「……分かりました」



 そう言って二人して背を向けて去ろうとし、ラザマンドさんはそんな二人を止めようとして…やめた。



「お止めにならないのですか?」


「ああ…私はフェアレイン家じゃないからな…」


「左様でございますか」



 ラザマンドさんがそれで良いと言うのならいいんだ。


 だって今の僕はラザマンドさんの侍女で、これ以上何も言わずにいるのが正解なのだから。


 お節介を焼くのはこのタイミングじゃない、ただのシオン、『何でも屋 猫の手』の店主シオンになってからだ。



「…シオン、ワインを持って来てくれ」


「畏まりました」



 気分を落ち着ける為に飲むのなら構わないけど、深酒をする様なら止めないとな…何て思いながら空いたグラスをウェイターが持つ銀トレイに乗せ、ワインが入ったグラスを受け取ろうとした時、



「きゃあ!?」



 ワザとらしい悲鳴が僕の後ろで響き、僕は頭から紫色の液体を被り白かった髪が紫色に変わっていく。



(…やられた)



 ラザマンドさんが傷心中で、心配になったアンリさんとユウリさんがラザマンドさんの傍にいるタイミング、僕が完全に一人になるタイミングを狙われた。


 ドレスには汚れ防止の魔法陣を仕込んでいるからワインを弾いているが、僕の白い髪と高級な赤い絨毯にワインが染み込んでシミを作っている。


 僕にワインを掛けた令嬢はドレスを羨んでいた令嬢で、その場で尻もちをついてあたかも僕が突き飛ばした様に演技をしている。


 これが舞台なら主演女優賞だ。



「き、貴様!我が娘エリュンを突き飛ばしたのか!?」



 そして涙を零しながら口元に笑みを浮かべる令嬢を真っ赤な顔で抱き起す男はラザマンドさんに資金提供を持ち掛けて断られたオーソン子爵家の男。


 まさかこんなに早くちょっかいを掛けてくるとは…主演男優賞はお前のものだよ。



「……大変申し訳ございませんでした」


「大変申し訳ないだと…!?私を誰だと思っている!?平民が子爵家の令嬢を突き飛ばし、足に怪我を負わせたのだぞ!?」



 うわぁ…多分足首を思いっきり握りしめて赤くしたんだろうなぁ…白い肌だから赤いのが良く映える。


 紫と白になった髪を垂らし、これが貴族の品位かと呆れながら唾と怒声を浴びていると僕の目の前にラザマンドさん達が立ち塞がる。



「私の侍女が申し訳ございませんでした。ご令嬢のお召し物も汚れてしまったでしょう、回復魔法が使える者の手配、新しいお召し物のご用意をさせて頂き、慰謝料もお支払い致しますのでどうかこの場は…」


「貴様…!それで我が娘が心に負った傷が金や物で癒えると思っているのか!?これだから金勘定しか出来ない商人は!!」



 わぁ…何でもありだなこの人。


 金や物で何とか出来ると思ってるのは商人よりもお前ら貴族だろ。



「その侍女の首を差し出せ!それで償いにしてやる!」



 その言葉で同じ一番下のフロアではクスクスと僕とラザマンドさんに対して嘲笑が生まれるが、侯爵位以上が上がれるフロアでは何を馬鹿な事をと静観、王族の最上段も新たな膿を見つけたとばかりに蔑む様に静観している。



「…それは出来かねます」


「なら貴様の商会の利権を全てオーソン子爵家に寄越せ!」



 結局は金じゃん…そんな事を思っているといきなり閉じている扉から重苦しい濃密な魔力が膨らみ―――



「…!?」


「…え?…お父様…?」



 顔を醜く歪め大口を開けながら唾を撒き散らすオーソン子爵家の男がピタリを動きを止めた。



(これは…失伝した禁忌の魔法(ロストマジック)の『時止め(ステイシス)』…)



 一度受けた事がある僕だけが知っている魔法…この状況にはラザマンドさんを含め、王族の皆も目を見開き驚いている。


 さっきまで足を痛めていたはずなのに立ち上がり固まってしまった男を揺する令嬢…皆がその光景を見つめている時、後ろから扉が開く音がし―――



「…エルルがどうしてもと言うから来たのだけれど…どういう状況なのかしら?外にまで醜い怒鳴り声が聞こえてたのだけれど」



 無骨な木の杖を持つ黒いホルターネックのドレスで着飾った『叡智(アーカイブ)』メルクリア・ユニコードと、僕が作ったドレスを身に纏ったエルルさんが現れた。

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