艶街娘と自慰仙人①
「さて、まずは市場で串肉屋台をやっているチンクさん夫妻です。休息宿ラブホテルは如何でしたか?」
「凄かったよ!受付の所に見た事も無い本物みたいな絵があってさ!部屋は広くて凄い柔らかいベッドがあってさ!風呂もあってさ!俺もカミさんも風呂なんて初めて入ったけど最高だったぜ!説明書きの通りに体と頭を洗ったらカミさんが綺麗になっちまってさ!思わずベッドで3回も、いってぇ!本気で殴るなよ!」
「煩い!こんな沢山の人の前で恥ずかしい事を言わないでよ!私は料理が凄く気に入ったわ!食べた事ない料理だったけど最高に美味しかった!あとスイセン?とか言うトイレも良かったわ!」
大抽選会の当選者達はミーアからの説明の後。
自分達でランクEから客室を選んで休憩2時間を利用。
無料の食事一品も堪能して。
パートナーも堪能して。
結構な人数が結構盛りまくってスッキリした顔でエライマンの街へ帰って行った。
そして街の中央広場まで送り届けられた当選者達は大抽選会で使われたステージの上に立って。
司会者の見るからにカツラっぽい男から順々にインタビューを受けていく。
完全に素人の喋りなのだが案外観客が集まって、そこで語られた言葉に驚き。
羨ましがり。
懐疑的な目を向けたりして。
休息宿ラブホテルの名はアイトの狙い通り急速に広まる事となった。
「わっはっは!ちん長ちん長!」
「こんなに早く亀頭に乗るとは。流石はマスターです」
「わっはっは!ヒショ君も言う様になったではないか!これからは私の事をベーションを付けて呼ぶことを許そう!」
「光栄ですマスターベーション」
二人の馬鹿みたいな会話は放っておくとして。
マスタールームにいるアイトはテレビモニターに映るフロントの様子を観察して上機嫌になっていた。
当初はヤーサン時代と同様に一人遊び目的の冒険者達ばかりに愛されていた休息宿ラブホテルだったが。
例のラブホテル観光ツアー以来ちん長に、、、順調にカップル客を増やしていた。
そして特筆すべきは。
「例のパネルで客室を選ぶ人が随分多いよな。ここまでとは予想してなかったわ」
フロントの反対側。
要するに出入り口の横にあるパネルの前には3組のカップルがいて、パネルに触れて客室の写真を変えて遊びつつ入室する客室を選んでいた。
もっぱら水族館にある仕掛けがついた水槽の前で遊ぶ子供の様に燥いで、存分に楽しんでからランクEの客室を選んで部屋へと転移していく。
ラブホテルのエントランスが盛況なのは本来クリスマスイブぐらいなので、多少ラブホテルのイメージとはずれてしまうが。
異世界でラブホテルをやるとこんな反応になるのかとアイトとしても新鮮な気持ちになるので、特に手を入れたりするつもりは今の所無い。
「浮気カップルとか不倫カップル用に裏口を作るのもありだよな。今の所はそういう利用客が少なそうだからまだ作る気はないけれども」
ヒショに構想を伝えている通り。
前世と同じく出来るだけ他人と顔を合わせずに部屋に入りたいと考える客が増えれば裏口を作るのも検討するのだが、今はまだその時期じゃない。
アイトが作るラブホテルが外の世界の人間達にどう受け入れられるかは外の世界の人間達が決めれば良い。
アイトはあくまでも好き勝手やって好き勝手覗いて好き勝手アシストするだけなのだ。
因みに一つ補足をしておこう。
アイトがエントランスに作った例のパネルだが、これには更なる仕掛けがある。
仕掛けと言うか、これがないと例のパネルだけで部屋選びが完結しなくなってしまうのだが。
アイトの前世にあったラブホテルだとパネルで部屋を選択した場合。
パネル近くの何処かから鍵が排出されるか、フロントのスタッフから鍵を受け取らなければならないのだが。
休息宿ラブホテルの場合は部屋へと直接転移するので鍵がそもそも存在していない。
今まではエマが受付業務をして客が順番に転移するのでそれほど複雑な仕組みは必要無かったのだが。
今回例のパネルを導入するに当たって、アイトは指紋認証と顔認証による生体認証を実装した。
今までも客室を利用した上で金を払わない客を追い出した際、再入場を禁じる為に入口に生体認証は導入していたのだが。
エライマンに移ってからは全員の顔認証と指紋認証をこっそり行っていて、何もしなくても客自身が選んだ客室へと転移する仕組みにした。
それって前世のラブホテル超えてね?ってやつだ。
だが、それぐらいはやらないと色々と面倒臭そうだし。
何よりもノリで作れるんだから作っちゃえば良いじゃんどうせ外の世界に生体認証なんて知識は無いしプライバシーだってガバガバなんだから。
そうやって開き直って色々やっちまってるのがアイトなのである。
やたらと長くなった補足はこの辺にして。
今の所、カップルは例のパネルで。
一人遊びに来た客はフロントで客室を選ぶ傾向が強くなっている。
一人遊びの男性客は少しぐらい女の子と喋りたいという下心がありつつ。
「お、エロイマンの艶街娘ちゃんは今日も来たのか。この子は本当に数寄者だよな」
「一時期の蒼剣の様に毎日来られていますね」
実は一人遊びに来るのは男性だけではない。
女性にも一人遊びの高みを目指す者が現れたのであった。
昔々、、、ではなく現代。
エライマンと言う街に大層ムッツリスケベな街娘がおったそうな。
娘の名前はジーナ・クチョナニス。
両親は頑固な職人で人付き合いは最低レベルだが腕は立つので一人娘のジーナは親の手伝いでそれなりの小遣いを貰っていたのだそうな。
そんな風にして貰った小遣いを使う事無く貯め込んでいたジーナは最近有名なエロースポットの休息宿ラブホテルへと興味をひかれ。
淫好奇心の向くままに休息宿ラブホテルへと赴いたそうな。
ジーナはラブホテルで見られるスケベ過ぎるびでおの沼にどっぷりとハマって30倍もスケベを拗らせたのだそうな。
休息宿ラブホテルは魔性のエロースポットでジーナの貯めていた小遣いはどんどんと目減りして。
遂には残り銀貨3枚まで減ってしてしまったのだそうな。
それでも気が付くとラブホテルの入口に立っていたジーナは塔の突端を見上げて。
こんなにも太いモノが入ったとしたら私はどうなってしまうのだろうと考えたそうな。
シンプルに死ぬぜ確実に。
グレイ・ティンポッキと言う男がいる。
彼は商業ギルドの副ギルドマスターを父に持つ小金持ちである。
そんなグレイは最近エライマンの街で話題になっている休息宿ラブホテルに興味を持ち。
金はあるのでどんなものかと遊びに行ってみた。
“領主のフォルカーが絶賛する宿”として認知されていて“夢の様な体験が出来る宿”と利用した事のある者から評判の宿ではあったが。
グレイにしてみれば言う程は大した事が無いだろうと考えていた。
グレイは金があるので貴族が利用する高級宿も何度も利用した事があった。
夢の様な体験だって旅先で入った娼館で最高の娼婦を抱いて何度も経験している。
何せ金はある。
フォルカーは貴族にしては質実剛健な所があるので、自分よりも良い思いをした事が無いのだろうと内心ちょっと舐め腐っていた。
だからフォルカーが絶賛したとて庶民にとっては楽しめるのだろうが、グレイには然程の面白味も感じさせない宿なのだろうと考えた。
何せ今まで親から貰った金で良い思いを沢山して来たのだから。
そんな舐め腐った気持ちで休息宿ラブホテルを訪れたグレイは。
ラブホテルで彼の人生を大きく変える事となる出会いを果たし。
欲の心を捨て去った菩薩の様な表情になってエライマンの街へと帰還した。
今日もグレイは親から貰った金を休息宿ラブホテルで溶かし続けている。
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作者のモチベーションを上げるなら数字が一番だって昔どこかの偉人が言ってた気がする。
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