92秋人に執心。
真も退院して落ち着いたので、仕事に戻ろうかと思ったら秋人と瑠亜パパが家に来た。
「はい、出産祝いだよ真ちゃん。」
「ありがとうございます、ほら舞香よかったですね。」
進藤局長が、凄く大きなラッコのぬいぐるみを渡す。
「うーん、真ちゃんに似てべっぴんさんだ。私も、早く孫が欲しいな秋人。」
「お義父さん、瑠亜ならきっとかわいい子どもが生まれますよ。」
「ハッハッ、式を急ぐかな。とりあえず、喪が開けてからだな。」
場が、ピリついた。
元総理が、凶弾に倒れた。
散々オレ達兄弟をこき使い、何の詫びも無く。
守ってやれなかった、危険性はあったのだ。
これからの事を考えねば、なるまい。
「兄さん、西町先生から連絡あっただろう。こっちに、来てるんだ。」
「あぁ、仕事に戻る前に顔を貸せって言われたよ。」
「今から、会いに行く。一緒に、来て欲しいんだ。」
そして我々は、市内の時計屋に来ていた。
この小さな店は、西町代議士の実家だ。
二階にある検査室に、通された。
「済まないね、狭くて。二人共、立派になったもんだ。この間は、時間が無くて申し訳なかった。」
「いえ、そろそろ戻ろうと思ってたんで。」
「相変わらず、つれないねー。そんなに、秋人君が大事かい?」
「兄さん、何の話?」
「子どもには、関係無いことだ。」
「兄さん、成人年齢変わりましたよ。」
「あっ、そうだな...。」
希人が、秋人の頭をガシッガシッ撫でる。
「仲がいいんだね、二人は。」
「進藤君、まだ説明はまだかな?」
「はい、先輩から言われた方が話が早いでしょう。」
「あっ、秋人君の結婚話はもう無いから安心してくれ希人君。あの後、こってり吾朗に怒られたからな。」
一人蚊帳の外でポカーンとする、秋人。
「心配するな、秋人。お兄ちゃんが、お前を守ってやる。」
「気持ち悪いから、やめてください兄さん...。」
「ふふっ、吾朗君増々二人が欲しくなった。無理、だろうか?」
「無理ですね、二人の思い通りにこちらが動くならですかね。と言うか、そろそろ本音で話ましょう先輩。」
「希人君、私を押し上げて欲しい。対価は、何でも払う。」
「とりあえず、何をすれば?」
「秋人君をくれないか。」
「お断りした筈ですが。」
「あの~。」
「あー、済まん。進藤局長が外務省を退職して、私の公設秘書になってくれる。私の後継として、秋人君を一緒に育ててくれるそうだ。」
「私が、先生の後継ですか?一介の、警察官ですよ。」
「何を言うかね、私は小さな頃から君に目を付けていたんだよ。」
「兄さんならまだしも、私はあまり勉強も得意で無いし。」
「政治家に学問など、必要ないよ。まぁ、私はそのおかげで人から先生とバカにされてるけどな。君の様な周囲に愛される人徳が無いと、上には上がれないんだよ。元総理は、みんなに愛されていたんだよ。」
ほぅ、さすが西町先生。人を見る眼は、冴えまくってるな。
オレを選ばないあたりは、研ぎ澄まされた処世術ってところか。
「秋人を買ってくれるのは、ありがたいです。秋人が嫌でなければ、オレは構いませんよ。」
「秋人君、どうだろう?私は、この国の道筋を間違った方に進めたくない。私の代で基盤を作って、君達兄弟に行く末を委ねたい。是非、私を踏み台にしてくれたまえ。」
「わかりましたと言いたいのですが、申し訳ありません。先生、危うくうんと言いそうでした。何で、こんなところで燻ってるんですか?後継にしてくれなくても、全然兄も私もできる限り協力しますよ。お義父さん、西町先生の為に頑張ってください。ところで、兄さんじゃダメなんですか?」
「希人君、言ってもいいのかな?」
「吾朗さん、何を知ってるかはわからないですけど覚悟があるならよろしいですよ。」
気づいてやがる、まっ西町先生までで口止めしないとな。
「私達は、人間だからね。わかるだろう、秋人君?」
「あぁ、魔王ですもんね兄さん。」
「お前なぁ、言葉選べよ。」
「人殺しって言わないだけ、ましでしょ?」
「はぁー...。でっ、お前どうするんだ。」




