90聖女の行方。
「マレト、ビリド話がある。」
「伯父上、内密でありますか?」
「そうだ、人払いを頼む。」
「ビリド、弧児院長室の確認をしてくれ。」
しばらくして、お呼びがかかった。
「義兄上、陛下こちらへ。」
ビリドが、隠し部屋の扉を開ける。
「伯父上、国許から何か?」
「耳が、早いな。どこまで、知っている?」
「早急ではないが、埒が開かないのでしょう?」
はぁー、面倒くさい。
次から次へと、問題を持ち込みやがって。
「跡取りなら、王女様がおられるではありませんか?私としては、王子様達に何の不満もありませんよ。」
ダスリ国王の第一夫人は、アカテ共和国の前国家主席の娘であった。
第一夫人は王子達と組んで、アカテ共和国の諜報部と前法皇を帝国領内に手引きした。
結果、マコトは長い眠りについた。
私もマレトも、ナジロ王国を責めなかった。
内心、腸が煮えくりかえっていたが!
後継ぎは、第二夫人の娘に決まった。
「王女が、出奔した。引き戻すのが、難しいんだ。」
「伯父上、それはそちらの家庭の問題でしょう。こちらに、責はありませんよ。」
「済まん、確かに言う通りだ。ただ、出奔先がラトリアだ。我が国だけでは、抱えきれん。」
「大丈夫ですよ、港が無くても交易はできますから。あるにこした事は、無いですけど。問題は、王女様でしょ?元王妃様は、大丈夫なんですか?」
「陛下、それは内政干渉です!」
「いいんだ、ビリド。私が、甘かったんだ。ミルスやカミロの母親の二の舞に、なってしまった。マコを返してくれないか...!」
はっ、?
「伯父さん、今何て?」
「申し訳ないが、形だけでいいからマコを返してくれ!」
「義兄さん、マレトは知らないんだ!」
「えっ、何だって!何で、こんな大事な事知らないんだ。じゃぁ、自分の事も...か?」
「これ以上、余計な事言うな!ダスリ、国ごと滅ぼすぞ!出て行け!」
ビリドが、ダスリ国王を追い出した。
隠し部屋に、沈黙の時が流れる。
託児所に着いたマコが、一目散に駆け寄る人物。
長年、託児所の面倒をみてるラリーネ先生だ。
「先生、お久しぶりです。マコ、お母さんになったんだよ!」
「あら、マコがお母さんなら先生はおばあちゃんね。」
「今日ね、いっぱいお菓子とオモチャ持って来たの。お友達と、遊んでもいい?」
「いいわよ、おやつの用意が出来たら呼んであげるわね。」
「すまんな、ラリーネ。留守中、変わった事は無かったか?」
「あなた、お仕事大変そうね。単身赴任は、楽しいのかしら?子供達も大きくなったし、私も帝都に行こうかしら。」
「何度言っても、帝都に来ないではないか。俺は、お前と一緒に暮らしたいのだ。」
「あら、うれしい。領地の経営もあるし、託児所の先生も楽しいのよ。」
「そうか、なまじっか有能な妻を持つと損だわい。」
「はーい、みんなオヤツの時間ですよ。」
「ウワーン、ウエッ、ヒック、ア~ン!」
何だ、マコが泣きながら一人の男の子にブーたれてる。
「泣いたって、これは貸してやらねーぞ!」
「ボクにも、貸してよ!」
はぁー、小さい子とオモチャの取り合いで泣かされるなんて...。
皆さん、こちらがかの有名な聖女ですよ!




