86親子ゲンカ。
式典の朝、アルフヘイムの晴れ渡る空を見上げながらコテージで朝餉をいただく。
大聖堂では、祝福の鐘が鳴らされる。
側仕えに用意させたカトラリーを握り、一斉にスープに口をつける。
「母上、お話を窺ってもよろしいですか?」
「何かしら、マレト。」
「私は、誰の子ですか?マコトも、誰の子ですか?」
みんな、違う方向に視線を逸らす。
「何を言っているの、二人とも妾の大切な子にちがいないではないか。」
マコトが、マイトに叩かれて泣き出した。
「マイトが、ボクのおやつ取った!ビェ~ン、ウワヮーン!」
マイトが勝ち誇って、プチゼリーを食べ出した。
「フンッ、ジュル!」
何なの、何でボクをいじめるの?
「マコト、マイトは小さいんだから少しくらいあげなさい。お前、母親だろ!」
「ウェーン、ウワァーン!」
しょうがなく、マコトを抱き上げるマレト。
背中をポンポンしながら、あやす。
「まったく、自分の息子とおやつの取り合いして泣かされるなんて...。」
マイトがポテポテ歩いて、プチゼリーをマコレに渡す。
「あら、マイト。マコレにも、くれるの?いいお兄ちゃんです、ね。それに比べて、お母さんは。」
カミロが、褒めている。
むぅっと、頬っぺたを膨らましていじけるマコト。
「マレト、マコはマイトに母だと認識されてないんじゃないか?小っちゃいお友達だと、思われてるぞ。」
「はぁ、この年で二人の子持ちかぁ...。オレ、大丈夫なのか?母上、すいません。訳のわからない事、言ってしまいました。ゆっくりしたら、皆さんを交えてお話を聞きたく存じます。」
「うむ、わかりました。さっ、時間がありません。食べたら、礼拝堂へ向かいますよ。」
朝餉が終わると、アキトが迎えに来てくれていた。
ボムライダーを改造した、ボムタクシーがずらりと並ぶ。
「アキト、朝早くからすまんな。ルアンの機嫌は、治ったか?」
「はい、奉納舞の衣装を見ながらご満悦でしたよ。兄さん、姉さんは戻ってこられたんですね。」
「ただいま、アキト。大きく、なったね。ルアンとボクを、守ってね。」
「はい、喜んで!姉上、相変わらず小っこいですね。では、お気をつけて!」
アキトは、来賓の出迎えに向かった。
「ミルス、マレトが何か感づいたのぉ。」
「マリスお姉ちゃん、どうしましょう?」
「本当の事は、まだ言えぬじゃろう。ンっ、起きなさいアンタ!」
「何だ、何かあったか?」
教皇は、居眠りしていたらしい。
妻にどつかれて、慌てふためいていた。
「まったく、マレトの事ですよ。どうしたら、よいものやら。」
「そんなの、アキトに任せれば良かろう。マレトの信頼も厚いし、我々の中で一番の常識人じゃ。アイツは、とっくに知っておるのだろう。こちらは、助けを求められたら動けば良い。」
「あら、モラドがまともな事言ってるわ。聖母の加護かしら?」
「勘弁してくれよ、ミーちゃん。」




