82聖器の行方。
「ヴァーリ、なぜ貴様がグングニルを持っておる。それは、聖器であろう?」
「さぁな、そんな事は知ったこっちゃない。色々とこちらに干渉してくれたせいで、多大な迷惑を蒙った。このまま、大人しくしとけばいいものを。」
「この様な面倒な魔法陣を作りおって、暇つぶしに神々をエサにさせてもらったがな。さっさと、あの小っこいのを喰わせろ。しからば、邪魔者はおらね。全ての理は、ワレの物だ。」
禍根は、絶たねば終わらぬか。ならば、顕現するしかないな。
グングニルが、抑えてくれればよいが...。
「ウオゥー、フグッ!」
ん?
顕現しない、なぜだ?
しかし、この感覚は...。
ビリドと同じ?勇者か?
魔王の息子が、勇者に...ありえん!
いくらマコトの魔力があろうと、DNAを書き換えようと魔王は魔王だ。
「何を、ブツブツ言っておる。黙って、死ね!」
ヘズの全身から、黒い槍が無数マレトに着弾する。
マレトの身体が、蝕まれる様に熔けていく。
左手にあったグングニルが板状になって、マレトを包み込む。
身体が一回り大きくなって、黒い樟気が霧散する。
「何?貴様、復讐神ヴァーリではないな?」
「ガタガタ、うるさいわ!<フェビロ>」
ヘズの身体が、魔木に変わった。
『ヴァーリ様、この魔木はどうされますか?』
「鋤いて、紙にでもしておけ。そろそろ、聖典も完成させねばならぬだろう?」
『ありがとう存じます、ヴァーリ様。』
さて、戻るか。
だだっ子の、お待ちかねだ。
小っこいマコトが、いじけていた。
あぁ、どうしよう。
我慢、できない!
あんな甘々なの食べたら、悶絶死してまう。
やってもうた、泣かしてまった。
オレが、泣きたいわ。
もう、どうなってもいい。
食べよ!
オレのマコト...、うー死にそう!
「マレト、あのオッサンは?グングニルは、どうしたの?」
マコト、機嫌治ってないなぁ?
「ヘズは、聖典の材料にした。グングニルは、オレが取り込んだ。マコト、平気か?」
「うっ、マレトが...。でも、大丈夫だね。何で?」
「何でだろうね、アハッハッ...。」
「隠し事してるでしょ、マレト!洗いざらい、吐きなさいよ。」
ブンスカ、マコトが殴りつけてくる。
全く、どこまでかわいいんだ。
「悪いが、オレにもわからん。念じればできるから、奥の間を閉じなさい。」
マコトが眼をつぶると、奥の間が閉じられる。
「ねぇ、何で魔力無いの?ボクって、ただの役立たずなの?どうしたら、いいの?」
ボロボロ泣き出したマコトを抱っこして、背中をポンポンする。
「マコトには、オレがいるだろう。何があっても、大丈夫だ。とりあえず、工房に行こう。少しは、何かわかるかもしれん。」
うわっ、寝ちゃった。
どんだけ、神経太いんだ。
まっ、かわいいからいいか。
母上達に聞かねばならぬ事も、たくさんある。
一度、戻ろう。




