67妻の叱責。
「よく頑張りました、秋人。」
「姉さん...。」
マコ姉ぇなのか、ずいぶん小っこいな?
ちょっと前の、幼女の頃みたいだ。
ついに、幻想を見出したか。
終わったな、これで何もかも...。
「秋人、今度はおねえちゃんが助けてあげる。」
すっと、頭を撫でられた。
「お姉ちゃん、兄さんが...!ウゥー、ワー!」
「ボクに、任せて!秋人、この人誰?」
「イワノフさんだ、私を守って...。瑠亜の従兄弟です、かけがえのない友です!」
「瑠亜の?じゃ、はい!」
マコ姉ぇが、イワノフさんに手をかざした。
「ゲホッ、グホッ!ウー、秋人君...。」
イワノフさんの口から黒い塊が吐き出されて、そのまま気を失った。
「姉さん、何を...?」
「魔石で、かパッてした。もう、大丈夫だよ~。」
魔石って、何だ?かパッって、何だ?
さっぱり、意味がわからん!
「秋人は、その人を連れて退がって。」
「ボクは、旦那をシバきに行くから!」
「へっ、はい!」
怖い、お姉ちゃん怖い...!
「希人、もういいよ。ボクは、大丈夫だから。これ以上は、ダメだよ。じゃないと、殺しちゃうよ!」
「ウオー、ガァー!」
兄さんが、吼える。
いや、魔王から黒い槍が無数に姉さんを貫く。
「姉さん!」
マコ姉ぇは、全身を金色に光らせて槍を弾いていた。
背中に、銀翼が生えていた。
そのまま歩く様な足取りで、魔王に近づく。
「こらァー!」
姉さんの拳骨が、兄さんの頂頭部に落とされる。
ふえっ、何それ?
ぇえー、兄さんから炎が吹き出して苦しんでいる。
「秋人!消火器どこ!早く、消して!どうしよう...!」
何やってんだ、姉さん...。
あっ、イワノフさん起きた。
「秋人君、ここは?」
「イワノフさん、兄さんが燃えてる。消せませんか?」
「うん?あっ、消す位なら。コールガの加護を我に!」
ふぅ、消えた。
マコ姉ぇが、兄さんをこっちに蹴っ飛ばした。
「秋人君、あの幼女は誰だい?」
「あぁ、引きこもりのニート。いや、兄さんの妻でマコト姉さんです。」
「妻、姉さん?」
だよなァ、今のならともかくあの姿じゃなァ。
マコ姉ぇが、こっちに来た。
「秋人、何か言ってたでしょ?お.仕.置.き.、かなぁ!」
「ううん、ううん何も!姉さん、これ。」
私は、拾っておいたバレッタを渡した。
怖い、姉さん怖い!
「大精霊エッダ様、慈愛と加護に感謝申し上げます。」
えー、イワノフさん何やってんの?
姉さんに、拝礼してるよ。
「苦しゅうない、面を上げー!」
誰だよ、暴れん坊幼女かよ。
「秋人、希人をお願いね。ボクは、大丈夫だから帰るね。スニ⚪️カーズ、上げる。二人で、食べて。じゃぁねえー。」
そして、兄さんに深い接吻をする。
消えた!何だ、夢か幻か...。
「イワノフさん、大丈夫ですか?」
私は、水を取り出し先程のス⚪️ッカーズと共に差し出す。
「ありがとう、先の御方が希人の奥さんかい?」
「はい...、多分。間違いないとは、思うのですが...。様子が変わってるので、ちょっと...。」
「だろうね。あの方は、人外だ。希人も、魔王なんだろうけど...。あの方は別格、創造の神エッダ様だ。」
「何ですか、そのエッダって?」
「ありとあらゆる事象を産み出す存在、いや存在ですらない。何もかも、だよ。大変だね、堀谷家は。」
よくわからんが、とにかく凄いらしい。
やっぱ、お姉ちゃんだ。
「これどうします、イワノフさん?」
今やザンネンな存在になっている希人を見ながら、秋人が呟く。
「ウー、おえっ!」
意識が戻り、何かを吐き出す希人。
「わっ、ビックリした!兄さん、兄さんですよね?」
「何、言ってんだ?秋人、水くれ!」
「良かった、あっ姉さんから電話ですよ。」
鳴りだしたスマホを、希人に渡す。
しばらくして、スマホを切る希人。
「帰るか、秋人!」




