37教皇の着座。
押し黙るマレトに、マリスが赤子を預ける。
「ゴメンな、マイト。お母さんを、守ってやれなかった。お父さんは、どうしたらいい...。」
赤子は、小さな手を目一杯広げてマレトの頬を張る。今度は、違う手で別の頬を張る。
マレトが、呆けた様に項垂れるとマイトが両手で父親の頭を包み込む。
「アァアァァアァァー、ごめんマイト !アァァー !」
マイトが、それでもマレトの頭を撫で続ける。
「オ.ト.ウ.タ.ン。」
マレトが、立ち上がる。
「お父さんが、悪かった。きっと、お母さんを見つける。マイト、ありがとう。ずっと、お父さんの傍にいてくれ !」
「オ.ト.ウ.タ.ン ! オギャ !」
マレトが、マジカル-コンテナから透明なクリスタルのケースを取り出した。
そこには、白金のオーラに包まれたマコトが横たわっていた。
「アバ、アヴァ、キュー!」
マイトが、笑ってる。手を伸ばすが、触れない。
「ヴゥゥ、バッバッ、ヴゥー !」
父親に、振り返ってじっと見つめる。
「今は駄目なんだ、マイト。お母さんは、しばらく戻って来ない。魂魄が、この次元にいないんだ。」
赤子が、イヤイヤをする。
「そうだな、お父さんもつらいよ。でも、お母さんはきっとマイトを見てる。いつかって?明日かも知れないし、エッダ様みたいに永遠かもしれない。でも、待とう。お母さんも、一人ぼっちで頑張ってる。マイトも、頑張れるな !」
「お義父さん、母上お話があります。兄さん、姉さんに付き添ってやってください。ドミヤ先生、お義母さんマイトをお願いします。」
オレは、別室に二人を連れて行った。
「殿下、大丈夫ですか?少し、休まれた方が。」
「ありがとうございます、マレトでいいですよ。これからお義父さんは、教皇として皆に敬われるのですから。」
母は、何か気付いたらしく大きく頷いていた。
「どう言う事ですか、殿下?」
「陛下が、二度目の顕現をしました。兄さんが、抑え込みましたが...。恐らく、退位するでしょう。」
「ビリドが、ですか?」
「はい、兄さんは勇者に覚醒しています。兄さんがいなければ、とっくに帝国は滅んでました。」
「しかし、勇者とはいえ...。」
「もちろん、色々な者達の犠牲の上でもあります。私は、これから帝国の復興とマコトの...。」
「マレト、いいのよ。後は、妾が話すわ。モラド、エッダ教の教皇になってマレトの上に立ってよ。」
「ちょっと待って、ミーちゃん。エッダ教って、何だ?教皇なんか、イヤだよ。」
「あらら、エッダ教知らないの?今、マレトが作ったのよ。教皇位、いいじゃない。」
「はぁー、そんな柄じゃねーんだが。マレトにだけ、つらい思いさせるのはな。ミーちゃん、ありがとう。ウチのを、立ち直らせてくれて。お互い、つらいだろうに。これからも、頼むよ。」
「わかったわ。わたし、ダンナを叱りにちょっと行ってくるわ。」
「オフクロ、オヤジは悪い事はしてない。ほどほどに、してやってくれ。」
「オフクロって呼ぶな、バカ息子。先に、お前を血祭りに上げてやろうか?」
「すいません、お嬢様...。」
「オーホッホ、オーホッホッホ !」
皇后陛下が、優雅?に出て行った。




