ある女の肖像画
ある女の肖像画
その女は24歳
身長は160センチ、体重48キロ。
髪は肩までのサラサラした黒髪で、
色白の肌に二重の瞳。手足は長く、多くの男性が彼女に恋をする、に決まっている。
その女は喫茶店の店員だった。
店の8割が常連客で、モーニングはドリンク代だけでトーストと卵がついてくるのが売りで、ランチタイムはナポリタンが人気で、ディナータイムはビーフシチューがよく出る。
その女はエイリアンだった。ウラウラ聖から来た異星人であった。詳細は本人が拒んでいるので避けておこう。
と、その女の紹介はこの程度である。
つまり、この女はなんのとりえもないのだ。
喫茶店の店員といっても、まともに仕事もできない。
いつももたもたしていて、よく店員がつとまっている、といった感じだ。
店長からはいつも注意されているが、なおったためしはない。
プライベートでも、この女には特になんの特徴もない。
まず、テレビをみないし、本は読まないし、スマホもいじらない。
ひたすら1LDKの部屋のベッドに横になってぼーっとしている。
虚無、という言葉がふさわしいのかもしれない。
趣味もない。よって、この女の部屋にはベッドと机くらいしかない。
あとはあなたの妄想力でこの物語をカバーしていただきたい。
おわり