調査の序章
「やっぱりできたてのサンドウィッチは最高だ。このふわっ挟まった感じとシャキシャキのレタスがいいんだよな~。できたてじゃないやつはペタってくっついたりしててあんまり好きじゃないんだよな~」
「それ分かるかも。私も卵サンドの卵が温かくてほろほろしてる方が好きだもん。冷めてるとべたーっとした感覚があって苦手かも」
俺たちは今目の前の膨大なデータから一時脱却して食堂に来ている。というより現実逃避をしている。
「それでどうするのあれ。流石に全部ゆっくり見ている暇はないんじゃないの?」
「たしかに。こういうのはどう交代で見ていくっていうのは。そしたらノンストップで見続けられるんじゃない。」
「でもそれだと見落としが出るんじゃないか。一人の目にはどうしても限界がある。」
「じゃあどうするのよ。流石に一回目に二日以上も時間をかける訳にはいかないわ。他の班にも迷惑がかかるし。」
「こういうのはどうだ。あれって多分全部が戦闘シーンだったり重要な場所じゃないと思うんだよ。だから、1.5倍速くらいで見ていけばいいんじゃあないか。そしたら最速で約35時間で終わるつまり重要なところは等倍にするとしても二日以内には終わるんじゃないか。それで二回目以降はどうでもよさそうなところはスキップして見ればもっと短縮できると思うんだ。」
「たしかにそれなら早く終わりそうね」
「それじゃあ、とりあえずみんな食べ終わったから早速見に行くか。」
「そうだね。」
「俺はちょっとトイレ行ってくる」
そうして俺たちは教室に戻ってきた。いまいるのは科学班だけだった。科学班はどうやらコードスピルステスで有効な武器についての会議中のようだ。向こうも未知との戦いになにをしていいかすぐに結論が出ないようだ。
俺はまた教卓の中からプロジェクターを取り出して黒板に投影した。そこには俺たちを見下ろすように52:02:10の文字が立ちはだかっていた。
「うえっ」
と声を漏らすも俺は再生ボタンを押してその倍率を1.5に合わせた
「ゲルマロボットソレガイマカラオマエタチニタタカッテモラウキタイダノナマエダモジドオリ...」
「!!??」
その映像が流れたと同時にビスマスは教室のドアを大きく開け叫んだ
「おいお前らGRの名前がわかったぞ!その名前は...」
「「ゲルマロボット」」
「それが今からお前たちに戦ってもらう機体の名前だ文字通り機体は敵国ゲルマ帝国の軍人を模倣したものだ。」
「その映像の男のいうとおりだGRはGermaRobotの略でゲルマ帝国の軍人の模倣だ。俺たちの見つけた書籍によると100年前俺たちのテルル国とゲルマ帝国で大戦がありその時互いの兵が100人をきるまで戦いその結果互いの国が戦闘続行不可能となり停戦したと書かれてる。その時から我々テルル国はこのテルル学園を設立してゲルマ帝国に負けない精鋭の育成に尽力している。と書かれている。」
「なるほどなそんな歴史があったとは。ということは、GRが銃を使って戦うのは。」
「ああそうだ。ゲルマ帝国の軍人は主に銃を使って戦闘を行う。」
「だろうな。でもそれだと剣を主に使って戦う俺たちの方が不利なんじゃないか?なぜ俺たちはこんなにも互角に戦えたんだろうか。」
「コークスお前のいうとおりだテルル国は大戦初期兵の四分の一を失った。だが俺たちにはゲルマ帝国より圧倒的に進んでいたら科学技術を駆使して戦況をひっくり返した。」
「この国ってそんなに科学技術が発展していたのか?」
「今はどれくらい差があるかはわからないが当時は天と地ほどの差があったそうだ。何でも自身の身体能力を3倍にするパワードスーツを開発したそうだからな。」
「それは今はある5倍のやつの原型か?」
「そこまではわからない。とりあえずテルル国はそれを駆使して戦ったがそれでも向こうの銃撃を完全に回避しきることができず。均衡した戦いが続いたそうだ。」
「なるほどな。情報提供ありがとう。」
「そういえば、お前らは何か見つけたか?」
「まだなにも。というか今から映像を見る。」
「は?まあいい、なにか見つけたら随時報告を頼む。」
そう言うとビスマスは教室を後にして図書館のある方へ歩いて行った。
「それじゃ俺たちも調査を開始するか」
「そうだね。」
そういうと俺は再び再生ボタンを押した。もちろん1.5倍速で。
「ソレデハテストヲカイシスル...」
という言葉と共に生徒たちはそれぞれ走っていった。