鮮血の記憶
「シールズ隊長!!シールズ隊長!!」
私の右腰辺りで呼ばれたような気がしたが私は気をとめる余裕などなかった。私は無我夢中に走り続ける。間に合うかもわからないモノを追い求めて。銃弾が肩口をかすめるが不思議と痛みは感じずむしろ身の引き締まる思いだった。眼前には4人ほど敵はいるが、そんなものにゆっくり相手をしている暇が刹那もなかった。私はその4人を4連撃で切り捨て足を止めることなく駆け抜ける。もうどれぐらい経つだろうか、この戦いが始まって、探し始めて、戦場には、まだこちら側の部隊は800敵方は900といる。もう終わりにしたいその気持ちで気が狂いそうだ。もう仲間の死は見たくない。
「あああああああ!!!!」
と叫びながら残った最後の気を振り絞る。そうするとようやく見えてきた。
だがしかし、それは一人の黒のパワードスーツ姿の男が銃口を目の前の前屈みに蹲る同じ格好をした男に向けている光景だった。。すぐ横には倒れた人が5,6人はいるだろか。
「やめろおおおおお!!!!」
そんな断末魔を私が発した時にはもう遅かった。
ーーバンッ!ーー
という重々しい銃声が体にビリビリと響き渡った。
私は眼前に広がる凄惨な光景に顔を引きつり、目を大きく開けて、呆然と立ち尽くすことしか出来なかった。あまりのショックで私は声すらも出せなかった。
「そんな....嘘..でしょ..」
という絞り出したかすれ声が刹那と静まりかえった。戦場には大きく響き渡った気がした。だがそれを大きくかき消すように銃撃した男は
「フハハハハハハ!」
と高らかに笑っていた。私は激しい憤りから絶望に満ちた体を素早く動かし怒りに満ちた声と共にその男に斬りかかった。その叫び声は狂気に満ちていたと思う。
「ハッ!」
と布団を激しくめくり上半身を起こした。私は目元を拭うとなぜか右目の辺りから一滴の水が頬の辺りまで垂れていた。その水は朝日に照らされ儚くも美しかった。