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89話 突撃、南野家お宅訪問①

〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 江戸川花火大会から一週間ほどが経った。あれから割と色々あったんだけど……まあその説明は後ほどしよう。


「え? 本当にここが家? デカすぎじゃない?」


 大きな門の前に立ちつくす私と灯。私たち二人は今南野家邸正門前にいた。


 目の前には、なんだかまるでお城の大手門のような大袈裟な作りをした建物が。


「あげはが驚く気持ちもわかる、私も最初見た時は腰抜かしたし」


 うんうんと頷く灯。


「ってか、めちゃくちゃ長閑なとこだねここ」


 改めて、屋敷の周りを見渡す。少し遠くにはあの高尾山見える。


『あげは達が暮らしてるあばら家とはまるで別世界ですね』


 と、揚羽。おいおい沖宮ビルをあばら家呼ばわりとは失礼な。真鶴さん泣いちゃうぞ。


「お待ちしておりました」


 門の前には和服を着た女の人が、南野家の人だろうか。


 私たちはその人に連れられて屋敷の中に、屋敷の中もそれはもう。めちゃくちゃ広いし豪華だし。とにかくヤバい。


 和服の女の人に連れられ、彼女の私室に向かう。


「……あ、猫」


 部屋に向かう途中、渡り廊下でなにやら可愛らしい黒猫とすれ違った。やたらこっちをチラチラ見ていたっぽいのは気のせいだろうか?


『今の、姫神ですね』


「え、揚羽それホント?」


 って事はあの子が柚子の姫神? 猫なんだ……どんな変身するんだろ。


「こんにちは、お二人とも」


 そうして部屋の前に。襖が開かれる、中にはこれまた華麗な和服美少女が。


「……暑くないのそれ?」


 と、灯が開口一番にそんな事を突っ込んでみせる。


「夏用ですし、それにエアコンも効いています」


「ふーん、そう」


 確かに部屋の中は涼しかった。


「よっこらせ」


 灯が座る、私も隣に。


「で、なんで呼び出したんだよ」


 灯がそう切り出す。そう、今日私たちは柚子にお呼ばれして彼女の屋敷にやってきたのだ。


「はい、色々とご報告しなければいけない事が。それと二人に見てもらいたいものがありまして」


 そうして彼女は語り始める。


「花火大会の翌日。私は正式に家の者にも北條家、西嶋家と協力体制を取る事を通達いたしました」


「……反対とかされないの?」


 家の対立は根深いと聞くし、素直にオッケーしてくれるものなのだろうか。


「反対の声も幾つかありましたが、私の決定には皆従ってくれるようですわ。私は南野を率いる退魔巫女なのですから」


 まあ、家のトップがそう堂々と宣言するなら。みんな従うしかないだろう。


「後程家の者たちにアナタ達二人を紹介します」


「あー、だから私とあげはなんか?」


「そうです、北條と西嶋の人間をここに招く事なんて本来はあり得ない事なのですが……」


 なるほど、今日呼ばれたのはそれもあるのか。それにしても北條の代表は私でよかったのだろうか?


 霧はどうせ部屋からは出てこない、雫は──。あの娘も多分ここには来たがらないか。


 ……うん、私しかいないな。


「はぁ〜、面倒くさいなぁ。私そういう堅苦しい格式ばったヤツ苦手なんだよなぁ」


 面倒くさそうにため息をつく灯。気持ちはわからなくもない。


「それと……ですね、あれから私も家の中を色々と調べてみました」


 そうして柚子は立ち上がり、襖を開ける。


「あそこにある蔵、それから他にも数カ所」


 縁側、庭園の隅に見える古そうな蔵を指さす。


「いかにも何か眠ってそうな感じだなぁ」


「たしかに」


 灯の言う通りだ。何か重要な資料が眠ってそうな匂いがプンプンする。


「どうだったの?」


 私は蔵の方を見つめている柚子にそう聞いてみる。


「……実際に見に行った方が早いと、行きましょうか」


 そうして、私と灯は柚子に連れられて蔵へと向かう。


「でっか……これだけで普通の一軒家くらいデカいぞ……」


 灯の言う通り。かなり大きな蔵だった。


 扉は開け放たれていた。私たちはそのまま蔵の中に入る。中には沢山の木箱や、和風アンティークな風味が漂う小物などがゴロゴロと置かれている。


「なにか参考になりそうなモノはそこにまとめてあります」


 柚子は蔵の一角を指差す。そこには蔵の雰囲気に似合わない現代的な段ボール箱が置かれている。


「どれどれ……」


 私は箱を開けて中を覗いてみる。中には古めかしい書物やよくわからない小箱などが詰め込まれていた。


「これで全部? 多いね」


 私は柚子にそう聞いてみる。


「お恥ずかしい話なのですが、蔵の捜索はまだ終わっていないのです」


「……え、どういうこと?」


 柚子は何やら蔵の隅っこに行き手招きをする。私と灯もそちらに行ってみると──


「地下?」


 そう、そこの地面には地下への扉と思われるものが。


「それと、ここの蔵と似たような場所もあと二箇所ほどあります」


「……そっちもまだ?」


「いえ、そちらは家の者に。あまり目ぼしいモノは無さそうですが」


 どうやら、残り二つの蔵は期待外れだったようだ。


「……この地下はまだ見てないのか?」


 灯が興味深々な様子でそう聞く。


「はい、まだ確認していません」


「──っし、じゃあ行くか。ほらあげは、柚子。開けるの手伝え!」


 絶対そう言うと思った……まあでも、確かに気になるし。


「柚子、いい?」


「もちろん」


 許可も取れた、よし。じゃあ開けてみるか……

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