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79話 死んでくれる?

 辺りは静まり返り、人工の砂浜に打ち寄せる波の音だけがひっそりと響いている。


「あ、バッグ……」


 完全に忘れてたけど。バッグの中にアリスいるんだっけ。


 私は足元に置いていたバッグの中を覗き込む。


「……zzz」


 気持ちのいいくらい呑気な寝息を立てていた。多分さっきの天空橋明乃の話が抽象的すぎて中で聞いているうちに眠くなってしまったんだろう。


 私はぴょんと跳び、砂場から離れた場所にバッグを置く。そうして再び灯の元に戻ってきた。


「お待たせ」


 私は胸の蝶の飾りを手に持ち刃を展開。いつでも戦えるように臨戦体制を整えた。


「────!」


 その時だった、モゾモゾと砂浜のあちこちが盛り上がる。


『特定、反応があったのは海浜公園の砂浜の中から』


「中? それってどういう……」


 と、灯が言いかけたがすぐに言葉を切る。そうしてモゾモゾとしたものが沢山湧いてきている砂浜を見渡す。


「また、数が多いパターンですか」


 手裏剣を投げ、四つに増やして周りを飛ばす。そうしてグロックを構える。


 モコモコと盛り上がってた部分からズボッと、勢いよく"それ"が飛び出してくる。


「お出ましみたいだな」


 現れたそれは、ミミズのような……結構大きいし海岸のあちこちからモコモコと飛び出てる。一体何匹いるんだろうか。


「さしずめサンドワームってとこか? ファンタジーものじゃお馴染みだな」


 確かに、その手の作品じゃよく見かける。でもああいうウネウネ系のモンスターとセットでお馴染みなのが──


「触手プレイとか嫌だよ?」


 拘束されてあんな事やこんな事……もお馴染みだ。


「捕まったらイベントスチル解放だな、気をつけろよ?」


「灯こそ!」


 そうして、私たちは砂浜に向かって駆け出す。ぴょんと階段を飛び越え砂浜に着地。戦闘に入る。


 ビュン……と向かってくるサンドワームを手裏剣で八つ裂きに。黒い粒子となり霧散していくワームの影霊。


「──ッ!」


 間を入れず、後ろ方向からもサンドワームが襲いかかってくる。


 私は即座に振り向きソイツに手を向ける。ビュンビュンと手裏剣が飛んでいき同じようにサンドワームの身体を切り刻む。


「熱烈すぎる歓迎……!」


 と、その時足元の砂が微かに震えたような感覚を覚える。私は後ろに飛び跳ねくるりと一回転し着地。


「キシャァァァア!!」


 甲高い鳴き声を出しながら地面から勢いよく飛び出してくる二匹のサンドワーム。


 右手に持っているグロック18Cを両手で構え、銃口を向けトリガーを引く。即座に連射される9×19mm退魔弾。


 ズサッ……と体勢を崩して倒れる二匹のミミズども。


「ふう、やっぱしっかり狙わなくてもいいから楽」


 パラパラと適当にばら撒いても大体当たってくれる。


 私も、もうすっかりマシンピストルの虜になってしまったようだ。


 予備のマガジンに交換し弾を再装填。


「しっかし、数が多いなぁ」


 この数十秒の間にも四体も襲ってきた、砂浜にはまだモコモコしているのが無数にある。


「気が遠くなってきた……」


 と、その時だった。少し離れた場所にズシンと白いライオンが着地、その勢いのまま周りに湧いていたサンドワームを鋭い爪で八つ裂きにする。


「タロウ……って事は」


「遅くなったわね」


 スタン、と私のそばに着地する雫。


「遅いよ……見ての通り、やたらめったら数が多くて」


「みたいね、まあなんとかなるわよ」


 スッ、と彼女の愛武器でもある薙刀を下に構える雫。そうしてそのままぴょんと跳躍しモコモコが多い方に向かっていく。


「タロウ! 右です!」


 ふと砂浜へ降りる用の階段の方を見ると、桜子ちゃんがいた。どうやらタロウに指示を出しているみたいだ。


「これで全員、っし! 気合い入れていくか!!」


 気持ちを切り替え、再びグロックを構える。



〜〜〜〜〜〜〜〜



「はぁ……はぁ、数多すぎない?」


 もう何十匹倒したのだろうか、モコモコは減る気配がない。


 お台場の砂浜は結構広い。やたら数多いし結構疲れてきた……


「ちっ、多すぎだろ」


 と、私のそばに寄ってきた灯が呟く。


『まだ半分も削ってないっぽい』


 霧からの無情な宣告。私はチラリと遠くの方を見る。


 雫も桜子ちゃん&タロウもそれぞれあちこちに湧いているサンドワームを相手に戦っているが……多分二人もそろそろ疲れてきてそうだ。


「お困りのようね!」


 その時だった、背後からよく知った生意気な人間(?)の声が聞こえる。


「ふふん、あげは! ついにこの時が来たわね!!」


「ちょ、隠れてなよ! なんで出てくるの……」


 私が何のために安全な場所に置いてあげたと──


「隠れる必要なんてないわ! こういう時の為の技を覚えてるもの!!」


「は? 何言って……」


 その時だった、左腕に巻いているMG-COMがピコンと音を鳴らす。


『憑依システムを起動します』


「え……」


 気気がつくと、私の身体はまたアラハバキの力を借りる時みたいな優しげな光に包まれる。


「ちょ、あげはその姿──」


 灯が驚いたような声を出す、私はそれをスルーして私は赤い空に手をかかげる。


 何故だかそうしろという感覚をがしたからだ。


「みんな死んじゃえー!!!!」


 そんな言葉が自然と口から出てきた。お台場の砂浜一面にあちこちに百を超えそうな黒い魔法陣のようなものが現れる。


 砂浜に響くサンドワームの甲高い断末魔、そうしてモコモコは全て消えていった。


「──え、ぜ、全部倒した?」


『もしかして、即死魔術……?』


 霧の声が聞こえる。


「そ、即死魔術?」


 私は改めて自分の格好を見る。水色の可愛らしい服、まるでお伽噺「不思議の国のアリス」の主人公みたいな格好だ。


「……」


 私はMG-COMを確認する。ディスプレイには「No.002 アリス」の表示が。


「やっぱそういう事か──」


 ……どうやら私はまだ新たな力を手に入れたようだ。

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