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75話 虹の橋

〜〜〜〜〜〜〜〜



「別に……いいですよ」


 桜子ちゃんから帰って来たのは意外な返答だった。


「え、ホントに? よかった……」


「私が先輩の誘いを断ると思ってたんですか?」


 ジト目で私の事を見る桜子ちゃん。


「え、あはは。どうだろう」


 まあ何がともあれ、桜子ちゃんからオッケーを貰えた。なんとかこれを機に彼女との距離を近づけたいものだ。


「ちなみに何処にいく予定なんですか?」


「うーん……まだ決めてないけど、お台場とかどうかな?」


 昨日、丁度何処にいくか悩んでいた時にテレビで特集をやってた。せっかく遊びにいくならああいう都会的な雰囲気の場所の方が良さそうだ。


「お、お台場ですか!」


「うん」


 それにせっかく夏なんだし。夏といえば海、とはいえ私たち東京を守る退魔巫女、影霊使いは東京から出れない。


 この東京都内で一番海を感じられるのは多分あそこしかないだろう。


「ご、ごほん。いいですよ、一緒に行ってあげないこともないです」


 なんだかやたらソワソワしている桜子ちゃん。もしかしてずっと生きたかった場所なのだろうか。


「よし、じゃあ決まりだね……じゃ、いつがいい?」


「直ぐにでも行きましょう!」



〜〜〜〜〜〜〜〜



「ほわぁ、あれがレインボーブリッジ……初めて見たけど大きいですね……!」


 臨海部をグングンと進むモノレールの窓越しに見える大きな橋をキラキラとした視線で眺める桜子ちゃん。


「……なんか大袈裟な反応だなぁ」


 と、灯。急な話だったのに彼女は直ぐに駆けつけてくれた、なんだかんだ言って灯も桜子ちゃんの事はかなり気にかけてるみたい。


「はぁ、なんで私まで……」


 眠たげにしている雫が呟く。彼女は行くのに乗り気じゃなかったけどなんとか説得してエアコンが効き過ぎている彼女の自室から連れ出して来た。


「まあまあ、こんな機会でもないとみんなで揃って何処か出かけるなんてないでしょ」


 一応霧にも声をかけたけど、まあ案の定部屋から出てこなかった。まあわかってたけど。


「不思議ですね……運転手さんもいないのに動いてます!」


「まあ自動運転だから」


 その後も、ただひたすら緩い会話は続いていく。


「……思ったんだけど、桜子ってどんな場所に住んでたの?」


「なんですか西嶋先輩、唐突に」


「いやいや気になってさ」


 確かに、それは私も気になっていた。いったい彼女はどんな場所に住んでいたのだろうか。


「影霊使いとして、私が生を受け今まで鍛錬を積み重ねて来た地を明かすことはできません!」


 キッパリとそう言い放つ彼女。


「へぇ、そういうもんなんだな」


 納得したようなしてないような様子の灯。


「私は大体の場所知ってるけど。真鶴から聞いた事があるわ、確か奈良県の──」


「あー! 北條先輩!? ちょっとちょっと余計なこと言わなくていいですから!」


 っていうかなんだ、雫は知っていたのか。なら今度こっそり教えてもらおうかな。


「──ってか今更だけどさ、なんで私と雫は苗字呼びなの?」


 と、灯が唐突にそんな事を言い出す。


「確かに、あげはは名前呼びなのにね。ずっと気になってたわ」


 そういえば確かに、灯や雫は苗字呼びだけど私は名前呼びだ。なんでだろうか?


「えーっと、それは……」


 何故か急に口籠る桜子ちゃん。


「あげは先輩は……なんというか、そういう方がしっくりくるというか……苗字で呼ばなくても良い雰囲気なんです!」


 ん? それってもしかして舐められてるって事──いやいや考えすぎか。


「よくわからんけど、私らも名前呼びで良いぞ? なあ雫」


「別に、私はどっちでも」


 ま、雫はそういうのどうでも良さそうだしね……


「わかりました、ではこれからは名前で呼ばさせていただきます」


「って、硬い硬い! もうちょい気楽にしていいから!」



 そんなこんなでモノレールは進み、レインボーブリッジの中を通っていく。そうしていよいよ目的の場所に。


『お台場海浜公園、お台場海浜公園〜』


 レインボーブリッジを通り、最初の駅である"お台場海浜公園駅"に到着する。


「んっー! はぁ、今日はあちーな……」


 駅を出ると出迎える真夏特有のカンカン照りな日差し。


 八月に入り、いよいよ夏真っ盛りな暑さが東京にはやってきた。


 熱い日照りが地面を照らす。空を見上げると今日は気持ちのいいくらいの快晴であった。


「まず何処いくよ?」


 と、灯が私たち三人に聞いてくる。


「あ、じゃああそこ行きませんか?」


 桜子ちゃんは携帯を取り出して画面を見せてくる。そこはお台場にある有名な大規模アミューズメントパークであった。


「いいね、そういえば私も行ったこと無いんだそこ」


「決まりだな」


 と、私とあげはは桜子ちゃんの意見に同意する、しかし──


「……えぇ、私そういう喧しそうな場所苦手」


 露骨に嫌そうな顔をする雫。


「それよりもっと静かな場所でゆっくりと休み──」


 言い終わる前に、灯は雫にヘッドロックをかけ桜子ちゃんに背を向ける。


「……アホ! 空気読め!」


 ヒソヒソとした声で雫を叱る灯。


「はぁ!? 離しなさいよバカ灯!! なんで私が怒られなきゃ……」



「行こっか桜子ちゃん」


「え、は、はい」


 まったく、賑やかな一日になりそうだ……

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