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74話 デートって自分から誘うには勇気がいるよね

「うーん、何処がいいかなぁ……」


 エアコンの効いた涼しい探偵事務所の中、私はスマホで良さげなスポットを探す。


「そういえば、桜子ちゃんって凄い田舎から来たとか真鶴さんが言ってたっけ」


 彼女は今までずっと、かなりの僻地で影霊使いとしての鍛錬を重ねて来たらしい。


「何処がいいのかなぁ……」


 ってか、そもそも場所を選ぶ前に先に誘った方がいいのかなぁ、断られたら無駄になりそうだし。


「やれやれ、全くアナタは人生で初めて女の子をデートに誘おうと思ってるウブな少年ですか?」


 ソファーに寝そべって漫画を読んでいる揚羽がからかう様にそう呟く。


「……確かに、なんかそんな状況だね私」


 スマホを机に置き一息つく。


「はぁ、どうするかなぁ」


 なんの気なしに、リモコンを取りテレビを付けてみる。


 と、その時だった。机の上に置いたスマホが着信音を鳴らす。画面を見てみると……柚子からの電話だった。


「もしもし?」


 取り敢えず電話に出る。


『こんにちは、あげは』


 と、電話越しでも礼儀正しそうな彼女の声が聞こえる。


「どうしたの?」


『この前の組織の施設への潜入がどうなったのか、一応聞いてみたくて』


 どうやら彼女はこっちサイドが行った"潜入作戦"を気にしているようだ。


『ヤタガラスには南野(ウチ)の家の人間もいます、大体の事はわかるのですが……実際に先頭だって"彼女"と対峙したアナタに話が聞きたくて』


 と、柚子。


 そうか……ヤタガラスって退魔巫女の家の遠縁に当たる人たちが所属してる、なら当然南野家の人もいるのか。


「柚子ってヤタガラスの事知ってたの?」


『ええ、それは勿論』


 もしかして、知らなかったのは私だけなのかな。


「……まあいいか、それで彼女っていうのは──」


『天空橋明乃の事ですわ』


 まあ、そりゃそうだよね。


「ってか、逆に私が聞きたいんだけど。あの人ってなんなの?」


 テンプレみたいなマッドサイエンティストである天空橋明乃、彼女の容姿はスティーブンにそっくりだった。一体彼女は何者なのだろうか。


『彼女は"国立超常生物研究所"の生き残りですわ』


 柚子の口から聞いたことがある名前の単語が出てくる。


「超常生物っていうのは影霊の事?」


『ええ、勿論。国は影霊の事を"超常生物"と呼称しているようですわ』


 ヤタガラスの正式名称にもその単語は入っていた。"陸上自衛隊対超常生物部隊"だったっけ。


 "国立超常生物研究所"か……多分真鶴さんや紫電さんが出向して研究を手伝っていたという場所だろう。


 天空橋明乃もその研究員だったという事だろうか。


「生き残りっていうのは?」


『そのままの意味ですわ、今から五年ほど前だったか……その研究所は事故で消滅しました』


「しょ、消滅?」


 なんだか物騒な話になってきた。


「それってどういう意味?」


『……私にも、この事故の概要に関しては特級の国家機密になっているようです』


 国……なんだか話のスケールがかなり大きくなってきた気がする。


『その時の生き残りの中に天空橋明乃もいました。事故以降の彼女の足取りは不明だったのですが──』


「あの組織のトップにいた」


 その事故を生き延びた彼女は、その後"組織"で影霊の研究を続けている……人の命まで使って。


「あの人は一体何がしたいの?」


『さぁ、マッドサイエンティストの考える事は私にはわかりませんわ』


 まあそれもそうか。ああいう人の考えを常識で測れるとは思えないし。


『あげはは、彼女と会話してみてどう感じましたか?』


「……どうだろう、なんだか話が通じる相手って感じじゃなかったけど」


 何かの目的があってああいう行動をしているのは間違いないだろう。だがその目的が全く測れない。


「──あ、そうだ」


 そういえば、彼女は……未来を知っているような口ぶりをみせた。



「あぁそうか。君も見たんだね、あの光景……まさか"混沌の姫"本人に会えるなんて思ってもなかったよ」



 彼女はそんな事を言っていた。


 ……そういえば今更だけど"混沌の姫"ってなんだろう? 私がそうみたいな言い方だけど。


「柚子、"混沌の姫"って何か知ってる?」


 私は彼女にそう聞いてみた。


『え……ど、どういう意味ですの?』


 すると柚子は、あからさまに動揺しているみたいな雰囲気を出す。


「いや意味というか、天空橋明乃が私の事そう呼んでた」


『…………』


 流れる沈黙。そうして──


『し、知りませんわ』


 この反応は明らかに何か知っている。混沌の姫とやらがなんなのか。


 隠してるのかなぁ。なんでだろう、仲良くなれたと思ったけど……話してはくれないのだろうか。


「そう、ありがとう」


 無理矢理追求するわけにもいかないので取り敢えずここは引き下がった。



 そうして、しばらく天空橋明乃について話して電話は終わった。


「はぁ……」


 仲良くなったと思ったのに、ああも露骨に何か隠し事されるとちょっと傷つくなぁ……


 でも、私も柚子には未来の事とか話してないし。お互い様かな。


『はい! 今日はここお台場にやってきました〜』


 テレビでは、私のモヤモヤした気分とは正反対のテンションで芸能人がお台場のデートスポットの紹介をしていた。

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