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55話 影霊使いは気難しい

「こらっ!! タロウ!! そんなモノ食べたらお腹壊しますよ!!」


 白いライオンのような獣を叱りつける彼女。


「オレサマハラヘッタ、ダカラマルカジリ」


 その獣は悪びれる様子もなくそう呟く。


「あーっ!! 噛むなー!!」


 と、ジタバタもがくアリスの叫び、流石にちょっと可哀想になってきたので……


「その娘ウチの仲間だから! 放してあげて!」


 私がそうロリっ娘とその獣に言うと、彼女は「仲間?」と私の言葉に反応してこちらを向く。


「もしかしてアナタ……タロウ! 放してあげて!」


 彼女の言葉をようやく聞き入れたのか。タロウと呼ばれた獣はアリスを口から離す。


「歯形が……歯形が……」


 ようやく解放されたアリスがこちらに逃げる様にやってきて、私の陰に隠れる。


「大丈夫だって、何もなってないから」


 どうやら本気で噛みついたわけでは無かった様だ。


「戻りなさいタロウ!」


 ロリっ娘がそう叫ぶと、再び床に魔法陣の様なものか展開された。そうしてタロウはキラキラと光に包まれて消えていった。


「……えっと、それで結局そちらの方は?」


 私は改めて真鶴さんにそう問いかける。


「紹介するわね、この娘は私の姪っ子よ」


 姪っ子か……真鶴さんに負けず劣らず中々個性的な子みたいだけど。


 まずこの時代がかった格好は何なのだろうか、今日日学ランを私服にしている女の子なんて聞いた事ないんだけど。どこかの制服なのだろうか?


佐倉桜子(さくらさくらこ)です、よろしくお願いします」


 礼儀正しく頭を下げて自分の名前を名乗る彼女。見た目からして小学生くらいだろうか、セミロングの髪には名前を強調するかのように桜色のハイライトが入っている。


「あ、北條あげはです。訳あってここに居候させてもらってます」


 取り敢えず私も自分の名を名乗っておいた。


「君何年生?」


「……中学三年生ですが」


 え、小学生じゃないの……?


「桜子ちゃん、百合々咲の中等部に通うことになったからよろしくねあげはちゃん!」


 桜子ちゃんの後ろに立った真鶴さんがニコニコと笑いながらポンと両肩に手を置く。


「はぁ、そうなんですか」


 転校生という事だろうか。


 というか、色々と気になりすぎるんだけど。先程の白い獣は一体なんだったんだろうか?


 あれって……影霊だよね、それっぽい気配を感じたんだけど。


「すみません、さっきのは一体──」


 と、そこに雫がやってきた。


「騒がしいわね……って、アナタは……」


 桜子に反応する雫。


「お久しぶりです雫さん」


 桜子は雫の名前を呼ぶ。二人は知り合いなのだろうか?


「雫……この子の事知ってるの?」


 私は雫に小声で聞いてみた。


「ええ、前にちょっとね」


 ちょっと、か……そのちょっとが気になるんだけど。


「丁度さっき話したばっかでしょ、彼女が今日本で唯一の影霊使いよ」


 雫が言葉をつづける。なんとなく予想はしていたけど、本当に彼女は"影霊使い"とやらだったのか。


「という事はさっきの影霊は……」


「私の相棒ですが何か?」


 当たり前のようにそう返答する桜子ちゃん。驚いた、ホントに影霊を使役できる人がいるのか……って、よく考えたら私も似たような感じか。


「それより! アナタも影霊使いなんですか?」


「え、いや私は退魔巫女で──」


 一応似たような力も使えるよ、と教えた方がいいのか迷ったけど、なんか説明するのが面倒だから止める事にした。


「なんだ……つまらないです、折角貴重な仲間を発見したと思ったのに」


 心底ガッカリした様子の彼女。


「真鶴さん! 私の部屋は何処ですか? さっさと行きましょう」


 そう言って桜子ちゃんはさっさと事務所を出て行ってしまった……ん、部屋? もしかして……


「彼女、ここに住むんですか?」


「ええそうよ、三階に空いてる部屋があるから」



〜〜〜〜〜〜〜〜



「影霊使い、ね……それにしても何でまたそんな娘がウチに?」


 自室に戻った私はベッドに寝転び、新しく現れた"影霊使い"とやらについて考える。


 彼女は真鶴さんの姪っ子らしいが。という事はもしかして真鶴さんもそうなのであろうか?


「ねー、揚羽はあの娘の事どう思った?」


 私は部屋にいるであろう揚羽にそう聞いてみる。


「どうって言われましても……特に何も、普通の影霊使いだとしか」


 普通か……そう言われても私、"普通の影霊使い"を知らないしなぁ。


「そういえばさっき、例のあの力試したとき"何かと似てる"みたいな事言ってたけど、それって影霊使いの事だったんだね」


 若干あの言葉が引っかかってたけど、ようやく今理解できた。


「……そうですね、でも影霊使いなんて今の時代に生き残っていたとは驚きました。私もこの目で見たのはいつぶりでしょうか」


 その口ぶりからして、既に居なくなった存在と思ってたのであろうか。


「あの娘、ここに住むのかぁ……あ、柚子から連絡きてた」


 スマホを確認すると柚子からのメッセージが入っていた。二人で遊びに行く件に関してだった。


『お返事頂きありがとうございます、早速ですが来週の日曜日に……』


 ……遊びに誘うってテンションじゃないでしょ、業務連絡?

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