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54話 予期せぬ来訪者

〜〜〜〜〜〜〜〜



「ただいま……って、誰もいないか」


 寄り道せずにそのまま探偵事務所に帰宅、真鶴さんは居ないようだ。そういえば誰かを迎えに行くと言ってたけど……


「誰を迎えに行ってるの?」


 雫に聞いてみる。


「私も聞いてないけど……なんとなく嫌な予感がするわね」


 そう言い残して自分の部屋に入って行く彼女。嫌な予感って、そんな大袈裟な……


 私はその事務所に入る、今日はこれからバイトだ。それまで少しゆっくりしてようかな。


 そのままソファーに寝転びスマホをいじる。と、そこにアリスがやってきた。


「あげはー! お腹すいたわ! 何かないの?」


 彼女は子供のようにそう叫びながら私のお腹の上にちょこんと座る?


「……まだ晩御飯の時間じゃないでしょ、てか重いし」


 私は彼女を持ち上げてテーブルの上にどかす。


「誰が重いですって!? 私はこう見えても──」


 ギャーギャーと喚き立てるアリス。相変わらず賑やかな影霊だ。


「あーっ、もう! そこの机の中にポテチ入ってるから、それ食べてなよ!」


 私は真鶴さんのデスクを指さす、あのデスクの引き出しの中はよくお菓子が入ってる。


「最初に言いなさいよ!」


 彼女は私から降りてデスクの方に引き出しを開けてお菓子を持って部屋を出て行った。


「……影霊とは思えないくらい個性的だなぁ」


 私が知っている限り、影霊ってのは話も通じないし問答無用で襲ってくるし。でもあの()だけは雰囲気が違いすぎる。


「ホント、やかましい人形ですね」


 揚羽の声、何処からかヒラヒラと綺麗なアゲハ蝶が飛んできて反対側のソファーに止まる。


「揚羽どこ行ってたの?」


 気配がしないと思ったけど。最近、彼女はこうしてたまに蝶の姿で外に行ってしまうことがある。


「別にただの散歩です、私だって必ず四六時中アナタとずっと一緒にいなきゃいけないってわけでもないんですから」


 いや、まぁそりゃそうだけど……


「それにしても──」


 と、彼女はダラけた姿で寝転び、スマホをいじる私をジロジロと見る。


「なに?」


 私はスマホを机に置き起き上がる。


「いえ、そんなダラダラとしてていいのかなと。未来の灯曰く、世界に変化が起きるまであと七ヶ月しかないんですよ?」


 ズバッとそう直球な言葉を投げてくる、全く耳が痛いよ。


「わかってるって……でも今のところハッキリしてるのがそのリミットだけだから」


 今ハッキリとわかっているのは、来年の二月というリミットだけ。何故東京が──世界がああなってしまうのかは謎に包まれている。


「呑気なものですね」


 と、揚羽のその言葉に若干イラッとしてしまった。


「わかってるって! だから……真鶴さんは色々調べてくれてるし、霧も古い文献を集めてくれたり」


 雫や灯も、来るべきときに備えて日々鍛錬を続けているらしい……あれ、でも私は……


「確かに、私何も役に立ってないかも」


 勿論私だって、多少トレーニングはしている。でも積極的にあの未来をどうにかしようと動いているかと言われると……


「──私は待ってますよ、アナタがちゃんと"戦う理由"を見つけるまで」


 そう言い残して、スッと消えていく彼女。


 戦う理由か、前に彼女と約束したんだっけ。結局保留のまま今まで何となくここまできたけど。


 みんなは、私の話を信じてくれて破滅の未来をどうにかしようと動いてる。私はどうだろうか?



「ま、そもそもあの未来が簡単に変えられると思ってるなら思い上がりもいいとこだけどね〜、いくら試したって無駄な事もあるんだよ?」



 あの謎の女性の言葉が、あれからずっとひっかかり続けている。


 ……なんか思い出したらイラッとしてきた。"どうせお前なんかには無理だよ"みたいな態度が。


「あーっ!! もう! 難しい事考えるのやめたやめた!」


 とにかく、今は自分にできる事を一つづつこなしていくのがいいだろう。


 と、そこに真鶴さんの愛車のエンジン音。彼女が戻ってきたようだ。


「人を迎えにいくって言ってたけど、もしかしてココに連れてきたりして」


 だとしたらどんな人なのだろうか。前の職場……研究所の同僚とか?



 そうして数分後、探偵事務所のドアが開かれる音。入ってきたのは真鶴さんと……


「──誰?」


 学ランを着た謎のロリっ娘だった。開口一番に彼女はそう呟く。


「……えっと、真鶴さんこちらの方は?」


 私は真鶴さんにそう聞いてみる。


「あれ、言ってなかったかしら? 人を迎えにいくって」


 いや、それは聞いてるけど聞きたいのはそういう事じゃなくて──


「あげはー!! ポテチもう一袋貰っていいか……あれ、真鶴と……アナタ誰?」


 そこに、空気を読まずやってくるアリス。


「!? 影霊! タロウ!!」


 そのロリっ娘はバッとアリスから距離をとり、スタッとテーブルの上に乗っかる。


「あ、ちょっと待って──」


 彼女を止めようとする真鶴さん、だが次の瞬間……


「グォォォン!!!」


 床に魔法陣のようなモノが展開され、そうして雄叫びを上げて白い獣……ライオン? みたいな生き物が出現! って、いやいやどうなってんのこれ!?


 その白い獣は……パクリとアリスを咥える。


「ぎゃー!! 助けてー!! マルカジリされる!!!」


「……オレサマオマエマルカジリ!」


 こ、この子喋った!?

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