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53話 見極めが必要

「あれ、灯は?」


「あの娘なら部活の助っ人に行ったわ、相変わらず忙しい人ね」


 と、雫が素気なく返答する。部活の助っ人ねぇ……相変わらず頼られてるなぁ灯って。


 そういえば灯って別に特に何処の部活に入ってるという訳でもないんだよね。


 何というか退魔巫女という"仕事"があるから、何処か特定の部活に入る事を避けているような感じだ。助っ人でそのモヤモヤを発散しているような感じに見える。


「そういえば、まさかまた屋上であの力を……」


 雫は私が屋上で何をしていたのか勘付いている様子だった。


「あー、まあね」


 雫とか霧、灯は既に私が新しく手に入れた力について知っている。特に霧なんかはこの機能に興味津々な様子であった。


 なんかこの機能はある人たちの力と似ているらしい。揚羽もさっきそんな思わせぶりなこと言ってたけど。一体どういう事なのだろうか。


「似てるってどういう事だろうね?」


「私も正直言って詳しくは知らないけど、昔は影霊の力を借りて影霊と戦ってた人たちがいたの」


 それは初耳だ、そんな人たちがいたとは……


「昔って事はもしかして今はいないの?」


 雫の言葉、"戦ってた人たちがいた"という過去形なのが気になった。


「……言い方が悪かったわね。確かに今は殆ど……いや一人だけしかいないわ、昔はもっと沢山いたらしいんだけど。"現役の"影霊使いはこの日本にはその一人しかいないの」


 何故か「現役の」という部分をやたら強調する雫。引退した影霊使いもいるという事だろうか。


「へー、いるんだ。どんな人なんだろ」


 とても気になる、影霊と戦う人なら私たちの仲間なのだろうか。


 ……いや、同じ退魔巫女同士でもあんな仲悪いのにそんな単純な訳ないかぁ。


「私はあんまり会いたくないわね、面倒くさいし」


 なんだか嫌そうな表情の彼女。うーん、一体どんな()なのか、気になるなぁ……私が会う機会はあるのだろうか。



 その後、特に会話するとこともなく歩く私達。


 そうして学園を出て最寄り駅、ホームへのエスカレーターを降りているその時であった。


「……そういえば、あれから南野柚子から連絡は?」


 雫が唐突にそんな事を書いてきた。


「え、まあちょくちょく色々話してるよ」


 柚子とは結構な頻度で連絡を取り合っている、と言っても別に大した話題ではない。なんというか世間話の延長みたいな内容ばっかだ。


 正直悪い気はしないというか、なんか友達が増えたみたいで私的には嬉しかったりする。


 もちろん、雫の事情も私は知っている。彼女の家族……あの事件の黒幕が南野の家であるかもしれないという事を。


 だから、南野家の人間と親しくするのはどうかなと思ってるんだけど……


 でも、今まで柚子と接してきた感じ、彼女にそんな"裏"があるようにも思えなくなってしまった。


 まあ「スマホだけのやり取りで何がわかるんだよ!」って言われそうなのはわかってるけど。


「来週、一緒に遊びに出かけることにしたよ」


 だからこそ見極めたいと思った。自分自身で彼女の事を。彼女の家がが本当にそんな事をするような外道であるのかを。


「……そう」


 エレベーターを降りた雫はスタスタと先に行ってしまう……やっぱり、怒っちゃったかな。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜


-東京駅-



「あーっ! なんなんですかこの迷路みたいな構造は!」


 東京の鉄道網、その心臓部でもある東京駅。その構内で一人の少女が彷徨い歩いていた。


「人も多いし……帰りたいです……」


 学ランに黒いミニのプリーツスカートという若干コスプレがかった格好をした彼女。


 若干、子供が背伸びをして格好つけているみたいな雰囲気が漂っている。


 周りを行く人々はその時代がかった服装に若干驚き半分、また彼女の可愛さに見惚れ半分みたいな視線を送る。


「日本橋口……あ、あっちですね多分……」


 駅の表示板、スマホの地図などを駆使しつつ彼女はなんとか目的の日本橋口にたどり着いた。


「────はぁー、しかしホント凄い光景ですねこれ」


 駅ビルから出た彼女を待ち受けていた光景、それは周囲に林立する高層ビル群。彼女はそれを見て驚きのため息を漏らす。


(まったく……とても同じ日本とは思えません、私の住んでた場所は原始時代か何かだったのでしょうか)


 そう心の中で思いながら東京の街並みをキョロキョロ見渡す彼女。


「あ、そうだ……真鶴さんに着いたって連絡しなきゃ」


 鞄からスマホを取り出す。と、そこに激しいエンジン音がら聞こえてきた。


 荒ぶる音を立てながら、派手な色をしたスーパーカーが道路の傍に止まる。


「桜子ちゃーん!」


 ガルウィングのドアが開かれ、運転席からひとりの女性が出てくる。少女はスマホをしまいその女性の元に。


「待たせちゃった?」


「いえ……私も今ここに出たばっかりで、ホント迷路かと思いました」


 そう呟きながら、少女は助手席の方に乗り込む。


「ま、初めて来る時は迷うよね〜……上京するときに一番初めに経験する驚きよね」


 女性も再び運転席に乗り込む。


「じゃ、ひとまず探偵事務所(私の家)の方に行きましょうか」

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