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52話 新たな力

〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 放課後、今日は何事もなく過ごせた。影霊さんたちも空気を読んでくれたようで嬉しい。


 私は人目を盗み学園の屋上に向かう、ウチの学園の屋上は基本開放されてるけど実はあまり人はいない。謂わば隠れスポットみたいになっている。


 特に最近は雨ばっかだし、まあ今日は偶然降ってないけど。


 階段を登り屋上に、そうして周りのビルから見えない死角となっている場所にいく。え? 何でこんなコソコソしてるのかって?


 そりゃ、試したい事……というか、ある力のトレーニングがしたかったからだ。


「あれ、使うんですか?」


 と、隣に現れた揚羽が嫌そうな顔をする。


「うん、慣れておきたいし」


「私はあまり使うべきじゃないと思いますけど」


 なんだか微妙な雰囲気の彼女。


「まあ確かにあの人が追加した機能だし、怪しさ満載だけど……これ、勝手に暴発しちゃうんだよね」


 あの女性の事は普通に信用できないというか、目的も正体もわからない相手からもらった機能を使うのは私もどうかと思うんだけど──


「たまに制御が効かなくなってさ、勝手に起動しちゃう事あるんだよね、ならちゃんとコントロール出来てちゃんと使えるようになった方が良いかなって」


「"制御が効かない"って時点でヤバさMAXですね、ホントに大丈夫なんですかそれ」


 まあ確かに、危険だと判断したら直ぐに使うのを辞めた方がいいだろう。


「……じゃあ、始めるよ」


 私は自分の左腕に付いているMG-COMを確認する。インストールされている機能の中から……そのソフトウェアを起動する。


『影霊憑依システムを起動します』


 機会音声が流れる。


「──力を貸して、アラハバキ」


 そう私は呟く。するとMG-COMがふわりと光だして……私の身体も優しげな輝きに包まれる。


『起動認証確認、No.001の力を解放します』


 そのアナウンスと共に、着ていた学園の制服は消えて全く別の衣装が私を包む。


「……ふう、これでちゃんと変身できたのかな」


 私は自分の身体を今一度確認する、ちょっと露出度の高い衣装。基本はスクール水着みたいな感じなのだろうか。腰には半透明なスカートが付いている。


 そうして、特徴的なのは脚や腕のアーマーのようなもの、胸の部分にはあの土偶の顔を模したようなバッヂ。


 全体的にSFチックな風味なんだけど、あの遮光器土偶を思わせるような意匠が多い。


 言葉にするのはすごく難しいんだけど……あれを流行りの「女の子に擬人化したらこんな衣装になりました!」みたいなイメージそのものだった。


「なんか、露出度高い……恥ずかしいんだけど……」


 退魔巫女衣装も大概だけど、こっちはもっと肌が見えてる。かなり恥ずかしい。


 ちなみにアラハバキというのは、あの影霊に付けた名前だ。


 アラハバキという主に東北に伝わる神様がいて、その神様は遮光器土偶のような姿という説があったらしい。その出典が偽書とか言われてるから本当かどうかは定かではないけど……


 とにかく、なんともピッタリな名前なのでそこから頂戴した。


 私は今そのアラハバキの力を借りて変身している、ちなみに前に試したらなんとレーザーも撃てた。ついでに簡易的なバリアみたいなものも張れた。


 一見チートっぽいけど、物凄く力を使うというか……精神力が持っていかれるような気がする。使うとすごく疲れるしとても連発できるようなモノではなかった。



 あの女性に無理やり追加された機能はなんと、影霊の力を借りて変身できるというモノであった。


「ふう……ありがと、もういいよ」


『変身を解除します』


 その機械音声とともに、私の身体は再び輝きに包まれる。そうしてもと着ていた学園の制服姿に。


「てっきり召喚して使役するタイプかと思ってましたけど、まさかあなた自身が変身するなんて」


 私も最初はそう思ってた、まさか自分が変身するタイプだったとは。


「ちょっと似てますけど……違う力なんでしょうか」


 なにやらブツブツ考え込むように呟いている揚羽。


「何と似てるって?」


「なんでもありません」


 そう言って揚羽はスッと消えてしまった。


「……なんだったんだろう、まああいいか」


 あの()が思わせぶりな事を言うのはいつもの事だ。あまり気にしないでおこう。


「それにしても、この機能……ホント謎だらけだなぁ」


 一応、一通りの使い方はわかったような気もしなくもない。だけど影霊を取り込める条件が全くわからなかった。


 どうやら単純に倒すだけじゃダメっぽい。この二週間ちょっとで何体か倒しているけどMG-COMは全く反応しなかった。


「ま、その辺は真鶴さん達の調査待ちかなぁ」


 その手の細かい分析とかは真鶴さんや霧に任せておいた方がいいだろう。


 と、そこに誰かの気配。屋上に誰か入ってきたようだ。私は入口の方を見る。


「あ、雫」


 入ってきたのは雫だった。


「ここにいたのあげは」


 私は彼女の元に行く。


「どうしたの?」


「いや、あなたが見当たらなかったから……」


 なるほど、一緒に帰りたかったのか。


「ごめんごめん、じゃあ帰ろうか」


「な、べ、別にあなたと帰りたかったわけじゃ──」


 と、テンプレみたいな反応を見せる彼女。雫のこういう所すごく可愛いぁ……

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