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47話 ひとまず解散

「……今日はもう解散するか? なんか色々あったし……また後日改めてということで」


 灯が二人の様子を見てそう呟く、確かにまさか途中であんな目に遭うなんて思ってもいなかったし、出来ればこのまま四家会議は打ち切りにしたい。


 ……私の事も誤魔化せるしね。


「ちょ、なにを勝手に──」


「それがいいね、お嬢もさぁ今日は抑えて抑えて。ってか私この後スケジュール詰まってるから早く帰りたい」


 確かに舞花さんって忙しそうだしなぁ、トップアイドルだし。


「待ちなさい、まだ話は……」


 そうして、まだ何か言いたそうな柚子を強引に引っ張って舞花さんは去っていった。


 ……と思ったら柚子が再び戻ってきて。


「アナタの連絡先を教えなさい」


 と、私に言ってきた。


「え、あぁ。わかったよ」


 強引に拒否するのも変だろうし取り敢えず連絡先を交換しておいた。


「アナタは、私の仲間と考えていいのですか?」


 と、柚子が妙な事を聞いてきた。


「えっと、どういう意味?」


「……なんでもありません、忘れてください」


 私の答えを待たずに柚子は去って行った。今の質問どういう意味なんだろう。


「はぁ、行った行った」


 灯が「ようやく解放された〜」的なニュアンスでため息をつきそう言った。


「あげは、話してもらえるかしら」


「え、あぁ……わかったよ」


 兎も角、私が先程まで体験していた事を三人には話しておかなければならないだろう。


「私、また未来に行ってた」


「え……」「ま、マジかよ?」


 雫と灯の驚き声が重なる。まあそりゃそういう反応になるよね。


『未来っていうと、また八年後に?』


「あ、いや今度は五年後だったよ。まぁ状況は八年後とあんまり差はなさそうだったけど」


 そうして、私は五年後に迷い込んだ直後の状況をみんなに話した。


「そいつ! 私らの前に現れた奴と同じ格好!!」


 と、灯。やっぱり分かってはいたけど、どうやらみんなの前に現れたのもアイツだったようだ。


『謎の人物、怪しすぎる』


 時間跳躍が可能で尚且つ影霊みたいな反応がする、間違いなく普通の存在では無いのだろう。


「あの人がなにしたかったのかもイマイチわからなかったしなぁ……」


 結局、何故私を未来に連れて行ったのか。その理由は完全にはわからなかった。


 彼女はテストがどうたら言ってたけどその目的は完遂されたのだろうか?


「で、その後この辺り探索して……探偵事務所の方に行こうと思ったんだけど……」


 記憶を辿る、私はチラリと灯に視線を向けた。


「……? どうしたんだよ」


 頭に「?」を浮かべる灯。こうしてみるとやっぱり、未来で会った彼女とは違うなぁと感じる。


「いや、会ったよ。未来の灯に」


「マジで!?」


 これでもかという程驚いてみせる彼女。


「どんな感じだったんだ? 未来の私は」


 興味津々な様子の灯、まあそこら辺は気になるよね。


「えっと……凄く大人っぽくてかっこよかったです」


 なんか、本人の前でこういう事言うのちょっと恥ずかしいんだけど。


「お、もしかして未来の私に惚れちゃったか?」


「あと少し向こうにいたら惚れてた……ってなに言わせるんだよ!!!」


 ノリで変な事を口走りそうになってしまった、危ない危ない。


 ……今更だけど、彼女がちょっと泣いたりしてたのは隠しておこう。こういうのはあんまりペラペラ喋らない方がいいだろうし。


「はぁ、さっさと話を続けてもらえるかしら」


 私と灯に呆れたようなイラついた様な視線を向ける雫。私は未来の灯から聞いた話をみんなにもする。


「……で、その後なんか影霊が出てきて、灯と一緒に戦って……それでその後変な場所に飛ばされてさ」


『変な場所? というと?』


 うーん、どう説明したらいいのだろうか。


「なんか、空? 足元がゆらゆら水面みたいに揺れててさ、下に東京が見えた」


 灯と雫は「何言ってんだコイツ」みたいな表情になる、いやだってしょうがないじゃん、そう表現するしかないんだからさ!


「と、ともかく! そこでまたあの人に会って、なんか色々話した」


 未来を変えたいか? とか、未来ってそんな簡単に変わらないよ? とか。


「まーだアイツかよ、ホント何者なんだ?」


「そうね、気になりすぎるくらいだわ」


 二人は黙り込んでしまう、多分彼女の正体を考えているのだろう。


「あー! ダメだ考えたってわかんねー!!」


 まあそりゃそうだろう。私も全く心当たりなんてないし。


「……取り敢えず帰りましょうか」


 お手上げといった感じの雫。


「あ、じゃあ商店街の方寄ってこうぜ! 腹減って倒れそう〜」


 

 そうして、四家会議は途中で発生した様々なアクシデントにより、微妙な感じで終了したのであった。



〜〜〜〜〜〜〜〜



「あの娘、もしかしてヤツらが探している"姫"じゃないかしら?」


 黒塗りの高級セダン、その車内でぼんやり外を眺める柚子はそう呟いた。


「えー、なんで?」


 隣でスマホを弄る舞花がそう返す。


「なんとなく……ですけど」


「ふーん、もしそうなら面倒だね。ただでさえ北條家と仲悪いのに、あの厄介な連中まで参戦してきそう……」


 柚子は心の中であげはの事を思い浮かべる、どこか知っているような雰囲気の彼女。


(おかしいですわね、彼女とは初対面のはずなのに……)


 いったい、この感覚はなんなのか。考えてもわからず彼女は困惑する。


「そんなにあの娘のこと気になるの? 一目惚れでもしたのかな〜、まあ確かに可愛かったからね!」


「……」


 返答はなかった、舞花のからかいが聞こえないほど真剣にあげはの事について考え込んでいるようだ。


「つまんな……あ、運転手さんここで止めていいよ? 電車使って現場行くから」


 そうして車は止まる。


「じゃ、またねお嬢」


 舞花はさっさと車を降りて行った。柚子は彼女に目もくれる事なく、ぼんやりと外の景色を眺め続ける。



(北條あげは、アナタは一体何者なの……?)

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